« 2021年10月 | トップページ | 2022年2月 »

2021年11月

2021年11月 7日 (日)

Kobo LIbra 2 か Kindle Paperwhiteか? あまり表に出ていない情報も

ディスプレイ・サイズとストレージが同等のKoboとAmazonの新モデルを比較。

Kobo Libra 2 vs. Kindle Paperwhiteシグニチャーエディション

それぞれのスペックなどは製品ページで。

大きな違いは、Libra 2がページ送りボタンがあるのに対して、PWシグニチャーエディションにはない。逆にPWシグニチャーエディションはワイヤレス充電が可能で、フロントライトの自動調光機能がある、という点。

 

◯価格

海外での価格と合わせて比べると・・・

Kobo Libra 2: 23,980円 / $179.99

PWシグニチャーエディション: 19,800円  / $189,99

海外ではLibra 2のほうが10ドル安いのに、日本では4,000円以上高い。

電子書籍専用端末はごく一部のファン向けの製品。だから、売れないし儲けにもならないのはわかる。でも、これが楽天koboユーザーが納得できる価格設定だろうか?

ページめくりボタンという付加価値があるから、値段も高くて仕方がない、なんて話は通用しない。kobo本社(楽天の子会社)は海外ではまともな価格設定をしているのに、日本に来ると楽天が・・・。

 

◯ディスプレイ

Kobo Libra 2は、公式サイトがE Ink Carta 1200採用と言っている。E Ink社によれば、従来より反応速度20%、コントラスト15%向上したというもの。

PWがこの新しいCarta 1200を使っているのかどうか、公式のスペック表を見てもよくわからない。

ただ、新PW(第11世代)と旧PWとの比較レビューを見るかぎりでは、旧PWよりも文字が黒くくっきりとして、コントラストが上がったという評がほとんど。なので、ディスプレイに変更があった可能性はある。

個人的にはあまり信用していないgoodereader.comが最近の記事で、新PWはCarta1200だと主張している。アマゾンからそういうメールを受け取ったのだとか・・・。というわけで、

Kobo Libra 2: E Ink Carta1200

PWシグニチャーエディション: E Ink Carta1200(たぶん)

ディスプレイはハード的には同じものと考えていいのかもしれない。

新PWとLibra 2との比較レビューでは、ほぼ同等か、Libra 2のほうが若干きれいである、という評価が多い感じ。

 

◯CPU

Kindle、KoboともにこれまでCPUは基本同じで、ずっとNXPのi.MX6シリーズ。ほぼ優劣はなかった。ただKindle Oasisだけはデュアルコアのi.MX7で頭一つ飛び抜けていた。

Kobo SageはAllWinnerのB300に変更になったが、Libra 2と新PWは?

結論から言うと、

Kobo Libra 2: NXPの i.MX6SLL(前モデルから変わりなし。アップグレードなし)

PWシグニチャーエディション: MediaTekのMT8110(スタンダードモデルの情報だがシグニチャーエディションも同じだろう)

Wikipediaの"Amazon Kindle"のページ(英語版)に、新PWはOasisと同じi.MX7という記載があったのだが・・・

これは嘘くさいなと思ったので、調べた。ファームウェア(アップデート用のファイル)をダウンロードして中身を見ると、あたりがつく。(中身を見るにはKindleToolというやつを使う)

ブートイメージなどが入っているディレクトリの名前が、たとえばOasisなら"imx7d_zelda"、前PWなら"imx6sll_rex"のようになっている。

imx7dはi.MX7Dualだし、imx6sllはi.MX6SLLと予想がつく。(zeldaやrexは開発ネームみたいなもの)

で、新PWはというと、"mt8110_bellatrix"。

したがって、Oasisとは別のチップ。このmt8110ってのは何だ?とさらに検索してみると、KindleToolのソース(400行目)にコメントが見つかった。

Kindle PW5 (First Bellatrix board. No longer an i.MX SoC, but a MediaTek one: MT8110)

"PW5"は5番目のPaperwhiteの意味で、今回の新モデル第11世代のPaperwhiteを指す。

台湾のMediaTekのチップにになったわけだが、このMT8110の詳細はよくわからない。

ただ、旧モデルのPWより反応速度が上がったというレビューがほとんどで、Oasisと同等か少し上回るという評もある。性能的にはアップしていると考えていいかもしれない。

参考までに新PW(第11世代)とKindle Oasisの比較レビュー動画

Kindle Paperwhite 5 vs Kindle Oasis Comparison Review より

というわけで、CPUに関しては、チップを変えたPWが、旧モデルから変更がなかったLibra 2よりも性能は上だろう。

 

Koboはマンガで毎ページリフレッシュ(白黒反転フラッシュ)するのでページめくりが遅くて目障り、と何度も書いているが、Libra 2と新PWとの比較動画もあげておく。(文字本はマンガと違って毎ページリフレッシュはしないので安心を)

pcwatchの「フルモデルチェンジで画面が6.8型に大型化、ページめくりも爆速に!「Amazon Kindle Paperwhite(第11世代)」より

 

◯まとめ(個人的な感想)

ここ何年もディスプレイとプロセッサの進化がないまま続いていた。変化といえば、防水にするとかライトに暖色を追加するとか、ボタンをつけるとか、周辺的な部分の変更ばかりだった。

今年はようやく読書端末としての本質的な部分がアップグレードされた。つまり、Carta1200による表示クオリティのアップ。

E Inkディスプレイの質の向上は、2013年にE Ink Cartaが登場して以来と言っていいかもしれない。実を言えば、ディスプレイの表示クオリティは劣化していた。嘘だと思うかもしれないが、2018年のPWの表示はE Ink Carta採用の歴代PWの中で最悪(全部持っているので知っている。一番きれいなのはKindle Voyage。Oasisは知らない)。

それだけにディスプレイがよくなったのはうれしいかぎり。

で、Kobo Libra 2でアップグレードされたのは、このディスプレイのみ。新モデルとしてアピールできるポイントはほぼない。それに楽天がつけるあの値段・・・。

対して、Kindle PWはディスプレイだけでなく、プロセッサの変更で処理速度も向上。ディスプレイも動作速度もOasisに匹敵、あるいはそれ以上というレビューもあるほどで、新モデルとしての訴求力はKobo Libra 2よりも確実に上。

現段階ではこんな感じの感想。

バッテリーの持ちなど少し使ってみないとわからない点は、これから指摘が出てくるかもしれない。Kobo Sageはバッテリー消費が速いというスレッドがmobilereadに立っていたりするので、もう少し様子を見ようか・・・。

 

| | コメント (0)

« 2021年10月 | トップページ | 2022年2月 »