ドイツのtolinoの新モデルはkobo化
ドイツtolinoの新モデル発表。
Kobo Libra H2OとKobo Formaがそのままラインナップされている感じ。
端末を作っているのは今ではkoboなので、不思議な話ではない。ハードウェアを一本化したほうがコストがかからないのだろうし。
去年まではドイツ・テレコムの遺産が引き継がれていたが、今年はあきらかにkobo化している。
tolino vision 5はLibra H2Oだし、tolino epos 2はFormaにしか見えない。
ただしソフトウェアは従来通りのandroidベース。
誤解がないように言っておくが、あくまでもandroidをベースに作ったソフトウェアであって、androidアプリを好きにインストールできるようなものではない。中国のandroidを使ったE Ink端末みたいなものを想像するのはまちがい。
以前もどこかに書いたが、日本では楽天がtolinoを買収したみたいに言われたりもするが、tolinoからドイツ・テレコムが抜けて、koboがその後釜におさまっただけのこと。買い取ったのはドイツ・テレコムの持ち分であって、tolino全体を買収したわけではない。
tolinoはHagendubelやThaliaなど複数の書店と、端末やクラウドやらネットワークやらの技術開発・維持を担当するドイツ・テレコムの連合体だったが、数年前にドイツ・テレコムがtolinoから抜けて、代わりにkoboが技術開発部門の担当になった。
それを機に、以前からドイツで展開していた自社のkoboストアは店じまい。
元々amazonやtolinoの足元にも及ばなかったkoboストアを捨ててtolinoに参加、つまりは、名を捨てて実を取ったのかもしれないが、koboブランドとしてはドイツでは敗北したと言ってもいい。
koboは言ってみればインフラ担当で、電子書籍を売っているわけではない。koboはドイツで電子書籍を売るのをあきらめたということ。
書籍の売り上げはtolinoに加盟しているそれぞれの書店のもの。tolinoが書店の連合体なのでそうなるほかはない。
日本人にわかりにくいのは、tolinoというストアは存在しないというところか。書店の連合体がtolinoという一つの電子書籍書店を立ち上げたのではない。
tolino加盟の書店がそれぞれ自分のストアで電子書籍を売っている。だから、端末も買ったそれぞれの書店に紐付けられる。ただし、クラウドは共通なので、別の書店から買った本でも読めるという仕組み。こういうふうに書店同士で手を組めるのは、ドイツでは電子書籍も固定価格制になっているからだろう。このあたりは日本の電子書籍と事情が違う。
紙の本の売り上げが減る覚悟をしてでも、書店が電子書籍を売る決断をし、連合を組んだというところが、tolinoの強みだろう。そうしないとamazonに食われるという危機感があったらしい。本屋で電子書籍端末が紙の本といっしょに売られているというのは、日本ではちょっと考えられないが、読書をする側としてはそれがむしろ自然。本を読むための道具なんだから。