ここ数年新しいモデルを買っていないので、なんとなく買ってしまった。あと数年はkoboの6インチにi.MX7 dualが搭載されることもなさそうだし、まあいいか、と。
たいして使っていないし、今後印象は変わるかもしれないが、とりあえずの感想。
◎触ってみた感じ
・gloHDより小さく感じるのは横幅が狭くなったため。その分ベゼルも狭くなっている。コンパクトになったのはよい。
・ベゼルはgloHDよりマットな表面になっているので、外光の反射は少なくなり、安物プラスチック感も減少。その代わり、背面はプラスチック感増大。gloHDの背面はラバー的な触感があるが、ClaraHDはもろプラスチック。カバーなしで使うので感触はよくない。カバーをつける人には関係ないだろう。
・逆にパネル自体の外光反射はgloHDよりも眩しくなっている。でも、わざわざ外光をディスプレイに反射させて読む人もいないから、たいした問題ではないだろう。
・ベゼルとディスプレイの段差が小さくなったのはよい。が、フラットが個人的には最善。タッチが楽だから。
・重さは166gで180gのgloHDよりスペック的には軽い。最初持ってみた感じだと、あまり差はないと思ったが、本を読んで持ち続けていると、やはりClaraHDのほうが軽いか、という気はしてくる。
6インチ最重量級のKindle Paperwhiteのような200gを超えるものと比べたら、もちろん軽い。
・電源ボタンが下部に移動。2012年からまったく形が変わらないKindle Paperwhiteやそれ以前のkindleと同じ位置で、何やらなつかしさを覚える。ボタンは作りがゆるい。このあたりKindleはしっかり作ってあって、不用意に電源ボタンがオン・オフされないので安心なのだが。
◎スペック的なもの、使用感など
楽天koboの商品ページに書かれているスペックは繰り返さない。
また、以下は手動で最新FWにアップデートした後の感想。セットアップ後のFWは最新版ではないので、それとは印象が違う可能性はある。
・出荷時(というよりセットアップ後の)FWは4.8.10959 (3e8cac4976, 2018/04/19)。
セットアップ時にFWは更新されなかったので、いつものように楽天は最新版FW(現時点では4.9.11311)を日本のユーザーには提供していないようだ。
・リセットホールはない。
最近のモデルにはないようだが、ランチャーのテストをしたりするので、物理的に再起動する手段がないのは不安。
・パネルの色はgloHDのほうが白い。
個体差はあるかもしれないが、ClaraHDのほうが灰色っぽい。つまり、白黒のコントラストはgloHDのほうがよい。よく言われるように、赤外線方式のパネル(gloHD)のほうが静電容量方式のパネル(ClaraHD)よりコントラストはいい、ということか。
・パネルは静電容量方式だった。
個人的にはこれは歓迎。赤外線方式は指以外が触れてもページがめくれたりするのが鬱陶しいし、段差にゴミがたまるとタッチの反応が悪くなるのも赤外線方式の弱点。そうでなくても、koboの赤外線方式のパネルは反応があまりよくなかった。一番安心してタッチできたのは静電式の初代auraだった。
・タッチの反応
FWによって変わる可能性があるが、最初は感度がよすぎる気がした。だが逆に、これまでのkoboの赤外線式のパネルの感度が悪すぎたと言うべきかもしれない。そのせいで、思わず強めにタッチ、スワイプする癖がついていたようで、gloHDと同じ感覚でスワイプすると、ClaraHDではダブルタップと認識されてしまうことがたびたび(右手で持ってそのまま片手でページめくりするので、和書はパネルの左側のタップではなく、スワイプでページめくりする習慣)。
文字物ではそういうことはないが、マンガはスワイプでページめくりしたつもりが、画面拡大されたり。ソフトタッチを心がけるようにしたら、問題解決。すぐに慣れるだろう。
・CPUはi.MX6SLLで新しいものに変更されている。
Kindle Oasisのようなデュアルコアのi.MX7 dualでもないし、従来モデル(i.MX6 SoloLite)と比べて劇的な変化はないと予想していたが、ホーム画面からタップして本を開くまでの時間などは短縮されている。ページめくりもタップならgloHDより速い(スワイプだと変わらない)。
別々に触っているとわかりにくいかもしれないが、ClaraHDとgloHDを並べて比べてみると、差は目に見えてあきらか。(同じ最新FW、同じ本、同じページで試している。ページめくりのスピードはFWによって変わることがある)
だが、スピードの差はCPUではなく、パネルの違いによるものの気がする。
ClaraHDの静電式のパネルは感度がよすぎると上で書いたが、タップに応答するまでの時間が短くなっているだけで、描画速度自体はgloHDと変わらないと思う。というのは、パネルにタッチしてそのまま一呼吸おいてからスワイプしてみると、ページめくりはgloHDと変わらないからだ。タップの場合は、タッチして指を離した瞬間から画面が切り替わり始めるまでの時間に差が出る。これは赤外線式から静電式に変わったパネルの差ではないのか?
・ゴースト(前ページの残像)
これまでとたいして変わらない気はする。昔は6ページごとに強制リフレッシュだったが、最近は章単位でのリフレッシュ間隔にすることができるので、何ページもリフレッシュなしで読んでいると、むしろゴーストは目立つかもしれない(これはClaraHDにかぎったことではなく、最近のFWならどのモデルにもあてはまるかもしれない)。
近眼乱視で本を読む時はメガネをかけず、顔を端末に近づけて読むのが癖なせいか、リフレッシュなしでページめくりが続くと、文字領域がうっすら黒ずんできて、上下左右の余白が白くぼんやり浮き上がって見えてきたりする。余白に残像は残りようがないから。文字領域の空白部分には白い文字がいくつも重ね書きしたみたいな跡が見えてきたり・・・。普通の距離に離して読むならそこまで見えないとは思う。
koreaderは画面斜めスワイプでリフレッシュできるが、koboにはそういう操作はない。ゴーストが気になったら、とりあえず画面をダブルタップ。メニューを出して素早く消しているだけだが、メニューを消すときにリフレッシュされる。
koboではマンガは毎ページリフレッシュする仕様なので、ゴーストの心配はしなくてよい。が、その分ページめくりはkindleとは比べ物にならないほど遅い。文字物では大差ないが。
・フロントライトは両サイドの下の方で光漏れ
mobilereadなどでも話題になっていたので、ひょっとしたらと思っていたら、案の定、光漏れの個体に当たってしまった。
明るい場所では問題ないが、薄暗いところでは両サイドの下のほうでベゼルから光が漏れているのがはっきりわかる。明るいところでしか使わないなら問題ないが、暗いところで読む人はおそらく気になるだろう。
どんな感じかは、mobilereadのスレッド(Light "bleed" at side issue )にあがっている画像を見てもらったほうがはやい。たとえば、#22、#65、#67、#104のポストの画像を参照。うちに届いたのは#77の画像のものに近い。
アップされている画像は、真っ暗な場所、あるいはフロントライトの明るさ100%で、あえて光漏れが目立つように撮られていると思うが、手元のClaraHDでは、明るさ10%、少し薄暗い程度の場所でも光漏れは見える。
さいわい自分で簡単に直せるようなので、やってみたらOKだった(下記参照)。
直してしまえば、フロントライトは均一で問題は感じない。
・ナチュラルライト
色温度の調節、ディスプレイの色味を黄色っぽくできるやつだが、まだよさがわからない。白い画面のほうが好きだから。
◎パッチ、ランチャー、koreader
・セットアップ直後のFWにパッチはない。楽天が今のところ最新FWを配信していない以上、パッチが必要なら手動で最新のFWにアップデートを。koboのあの上下の余白が無意味としか思えないなら、パッチは必須。
・ランチャー
動作確認した。本家ランチャーが6月にClaraHDに対応しているので、動いて当然といえば当然。
・koreader
この前リリースされたstable buildsの"koreader-beta-20180729"で、ClaraHDは正式にサポートされている。
インストールしてみたが、問題はなさそう。KFMonで起動している。
◎光漏れの直し方
youtubeに動画があがっているので、それを見て直した。
"Kobo Clara Review & Fix" を参照。
もちろん保証対象外の行為だろうから、壊してしまったら自己責任。運悪く光漏れの個体にあたってしまったら、まずはサポートに問い合わせてみるがいいのだろう。だが、楽天にアマゾンのようなサポートが期待できるとも思えない・・・。
簡単に言うと、殻割りして、四隅のネジを外してベゼルを取り、パネルの両脇にテープを貼る、それだけ。動画の通りやればよい。たいして時間もかからない。
・殻割りは動画のように爪ではできないので、いつものように100円ショップのもんじゃ用ヘラ(金属ではなく耐熱ナイロン製)を使用。もっと薄いもののほうがいいかもしれないが、十分いける。
・普通は電源を切ってから作業すると思うが、動画では電源を入れたままでやっている。おそらくテープを貼った後に光漏れのチェックをするためだろうと思う。念のため電源を切って作業をした。確認するときだけ電源を入れ、確認後は電源を切ってから作業を続けた。
・ベゼルは下部(koboのロゴがあるあたり)で、パネル・基板に糊付けされているので、外すときに注意。ベゼルは背面より脆い。
・使うテープは、動画の本人がこのブログに寄せたコメントによると、絶縁テープ。スーパーで売っているようなビニールテープで十分だろう。
・テープを貼る位置は、パネルの両サイドに灰色の線が走っているので、そこに合わせておけば大丈夫だろう。
・ベゼルにパネル・基板を戻す時には、USBスロットと電源スイッチがきちんとはまるように。
テープを貼るだけで直るんなら、作りが雑というか手抜きというか・・・。
◎殻割りしたので、もちろんついでに内蔵microSDをバックアップ。
microSDカードはこれまで通り、ただ引けば抜ける。
あとはPCでイメージバックアップ(クローニング)。linuxならddのコマンドを一行を打っておしまいだが、windowsユーザーは別途ツールをインストールする必要があるだろう。
これで内蔵microSDに障害が発生しても大丈夫。いつでも別のカードに入れ直して復旧できるし、ストレージ増量も可能。
--
ふう、長くなった。
とくに予想を裏切ることもなく、触ってみてがっかり、なんてこともなかった。gloHDとどちらに手が伸びるかと言えば、ClaraHD。コンパクトでちょっと軽いし、個人的にはパネルが静電式になったのが大きい。gloHDから買い換える必要はないという判断に変わりはないが、それ以前のモデルからなら検討の価値はある。