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2017年12月

2017年12月31日 (日)

ドイツ語多読本: Andreas Brandhorst: Omni

ドイツのSFの賞といえばクルト・ラスヴィッツ賞だが、その2017年のドイツ語長編部門受賞作。
Andreas Brandhorstは去年の"Das Schiff"に続き、2年連続受賞。

"Omniversum"と名付けられた宇宙を舞台にしたスペース・オペラ。
著者ホームページによると、"Omniversum"はシリーズ化するらしいが、それぞれ独立した1冊毎に完結した物語になるらしい。"Omni"はその幕開けにあたる巻。2冊めの"Das Arkonadia-Rätsel"も2017年に刊行済み。

時代は今からおよそ1万年後。タイトルの"Omni"とは、14ある超文明の連合体。このオムニの任務を実行すべく、銀河を旅してきたアウレーリウス、彼は地球人だが、オムニのテクノロジーで1万年も生きている。今回の任務は、パンドラ・マシンと呼ばれる、あるオムニ・アーティファクトを回収すること。強力な力を持つパンドラ・マシンが悪を企む者の手に落ちてはならない。そこに巻き込まれるのが、ヴィンツェント・フォレスターとツィノーバーの父娘。フォレスターはかつて汚い裏仕事もこなすエージェントをしていたが、そのしがらみでアウレーリウスを誘拐しなければならなくなる・・・。

Andreas Brandhorst: Omni

130,000語

父親と娘のコンビは珍しいと思うが、手に汗を握るストーリー展開。詳しく言えないが、フォレスターの思惑を超えるツィノーバーの行動あり、銀河の運命よりも娘の命を優先する父親魂ありと人間のドラマも熱いが、もちろんスペース・オペラらしくエキゾチックな星や宇宙の驚異の中で展開されるアクションも緊迫感があり、そして、本書冒頭にモットーとして掲げられているアーサー・C・クラークの「十分に進歩したテクノロジーは魔術と区別できない」を地で行くような、様々なオムニ・アーティファクトの驚異。ほとんどファンタジーで、そこまでできたら何でもありだなとも思えてくるが、エンターテイメントとしては十分にありだろう。
物語終盤、パンドラ・マシンを奪還できるか、敵の手に渡るかの瀬戸際のアウレーリウスのシーンは緊迫感があって、読み応えがあり。
そして、ラストはアウレーリウスのもう一つの任務があきらかになって、この巻は閉じられる。

本の最後に、この小説はアーシュラ・K・ル・グインとジョージ・ルーカスへのオマージュを含んでいると、著者の言葉がある。この本に出てくる通信デバイスの「アンシブル」はル・グインによるものだろうし、あと『スター・ウォーズ』でハン・ソロが閉じ込められる石版みたいなやつもでてくる。詳しい人ならもっと見つかるかもしれない。

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2017年12月29日 (金)

Kobo: Kobo Aura ONE コミックEdition、高速ページめくり動画

ようやくKobo aura One コミックEditionの「高速ページめくり」の動画が出てきた。


goodereaderの記事"Kobo Aura One Limited Edition 32GB Review"から。
連続ページめくりが出てくる5分あたりから再生。

Kindleはマンガでしか連続ページめくりはできないが、koboは文字本でも可能なようだ。それが強み。


ただ連続ページめくりの速度はkindleのほうが速く、ページめくりの速度も変えられる。
比較のためにKindleの連続ページターンの様子。

PC Watchの「Amazon「Kindle Oasis (第9世代)」レビュー【後編】」から。


Kindleと比較してみるとわかるが、ページめくりの速度はもっと上げたほうが実用的な気がする。
マンガは連続ページめくりの最中は画質を落としているように見えるが、文字本はそうではない感じ。ともあれ、Kindleと違ってマンガ以外の本でも同じ機能が使えるのは評価できる。


あとは、連続ページめくり機能が他のモデルにも提供されるかどうか。
コミックEditionだけFWが4.7.10364 で、他モデルの最新FWは4.7.10413で、どうもコミックEditionだけ別扱いしている様子。
kindleはだいたいどのモデルにも同じ機能を提供するが、koboだからなあ・・・。それに、コミックEditionは日本とアメリカ限定で、ひょっとしたら販売期間も限られている可能性もあるから、どうなることやら。


それにしても、今年も欲しいと思えるモデルがアマゾンからもKoboからも出なかったなあ。

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2017年12月17日 (日)

Kobo: FW4.7.10413 アップデート

リリースノートを見るかぎりでは、バグフィックス程度の変更にしか見えないが、4.6から4.7へアップデート。TouchとMiniは対象外。


◎ダウンロード
https://wiki.mobileread.com/wiki/Kobo_Firmware_Releases
自分のモデルがMark3、4,5,6のどれなのか確認してからダウンロードを。
インストールはFWのzipファイルを解凍したら、その中身を全部、.koboフォルダにコピー、USB接続を解除、再起動、でおしまい。

なのだが、FWのWikiページにひどい改竄があった模様(今は直っていると思われる)。不安ならこちらからダウンロード。
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?p=3625746#post3625746


◎更新内容
リリースノート参照。
mobilereadの"FW 4.7.10413"のスレッドを見ると、いつものdavidforさんはリリースノートに付け加えることはない、と言っている。

リリースノート:
・(ホームボタンのドロップダウンで)「Browse」 が「Kobo Store」に表記変更。(ただし、日本語では元から「ストア」で変更なし)
・「Top 50 Books'」が「Trending Now」に表記変更。(おそらくストア内か。未確認)
・WiFiセキュリティ改善(KRACKs対策?)
・バグフィックス:検索したWiFiネットワークのリストが見ている間に消えてしまう
・バグフィックス:ネットワーク接続が、パスワード入力中に切断されてしまうことがあった
・バグフィックス:予約済みの本が発売日になっても表示されないことがあった
・バグフィックス:段落の最後で終わるハイライトが保存されないことがあった

と、新機能の追加などはない。

が、aura ONE コミックEditionの製品ページにある「高速ページめくり」とやらはどうなったのか?

FWのWikiページを見ると、aura One コミックEdition用のkobo-limitededitionupdate-4.7.10364.zipなんてFWがある。また、davidforさんによると、コミックEditionをFW4.7.10413にアップデートするのは可能だろうが、推奨していいものかどうかわからない、とのこと。KoboはコミックEdition向けに今回のFW4.7.10413はリリースしない、と言っているそうだ。
ひょっとしたら高速ページめくりはkobo-limitededitionupdate-4.7.10364限定なのか? 

kobo-limitededitionupdate-4.7.10364のkobo_config.shを見たところでは、新しいコードネームがあるわけでもなく、従来のaura ONEと同じコードネーム("daylight")でモデルを識別しているようだから、高速ページめくりはaura ONEならコミックEditionでなくても可能な気はするが、実機を持っていないので試せない。

今回のFW4.7.10413で、gloやgloHDでは高速ページめくりはできない模様。

それにしても、コミックEditionはアメリカと日本限定発売だからなのか、高速ページめくりの情報がまるで出てこない。アメリカはKindle王国だろうからKoboは売れないだろうし、日本でもまあ売れてないのだろうが、どこのブログも取り上げていないし、mobilereadでも話題になっていない・・・。


◎パッチ
Instructions for patching firmware 4.7.10413
あの無意味なヘッダーとフッターを縮小するパッチ、ではなければ、フルスクリーンのバグフィックス・パッチは必須。

「体験版アプリ」(ゲーム類)復活パッチも出た。gloやauraでは何もしなくても復活しているが、gloHD(Mark6全部?)では新ホーム画面になってから、ゲーム類にはアクセスできなくなっていた。
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?p=3627323#post3627323
nickel.patchに追記した後、パッチをあてる。
アクセスするには、「ホーム」 > 「設定」 > 「体験版アプリ」で。gloHDで確認した。


ランチャー
gloとgloHDでは動作確認した。
gloHDでの4.6以降の画面回転問題はまだ続いている模様。
v0.6でランチャーが正常に終了しない場合は、とりあえず以下の差分をインストールすること。

ダウンロード:KoboRoot.tgz
v0.6用で、FW4.6以降向け。それ以外には使わないこと。

glo(Mark4)と初代aura(Mark5)では問題は生じない。gloHDは修正必須。
他のモデルは持っていないので未確認。連絡があれば対応。

また、v0.6はH2O Edition2では動かない。本家ランチャーは10月に対応したので、そのうち更新予定。


◎Koreader
動いている。ただ4.6以降、辞書に問題発生中。
いないだろうと思うが、辞書を使う人はここからsdcv-0.4-built-on-debian-stretch.zip をダウンロードして差し替えたほうがいい。

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2017年12月10日 (日)

ドイツ語多読本: Dirk van den Boom: Die Welten der Skiir 3: Patronat

第1巻2017年ドイツSF大賞、ドイツ語ベスト長編受賞作"Die Welten der Skiir 1: Prinzipat"、第2巻"Die Welten der Skiir 2: Protektorat"に続く、第3巻完結編。


Dirk van den Boom: Die Welten der Skiir 3: Patronat

10,000語

第2巻のラスト、帝国からの自立を決断した地球政府の大胆な行動から1年後、地球全体が防壁で囲まれ、帝国から守られている。だが、その防壁にほころびが出始める。帝国の再侵入を許せば、厳しい粛清が始まるに違いない。そこで政府は「破壊者」に残っている主人公の一人エーダーとコンタクトを取ろうとする。向かうのはもちろん第1巻からお馴染みの面々・・・。

帝国は帝国で、「破壊者」計画の責任者の処断も終え、第2巻で発覚したもう一つの陰謀、帝国全住民の意識支配計画の調査に乗り出すのだが、こちらでも予断を許さないストーリー展開が待っている。

そして、第2巻ラストで正体を表した「破壊者」のマスターは、かつての超文明ハッタのもとに向かうべく「門」を建設、着々と準備を進める。「門」の向こうにあるものは・・・?

ハッタが何者かがあきらかになると同時に、帝国をゆるがした「破壊者」計画と意識支配計画の真の理由が判明、そもそもなぜスキイールが宇宙中からハッタ・アーティファクトを回収してきたのか、その理由も明確になる。同時に、スキイールだけでなく、地球を含めた帝国内の知的生命の成り立ちすら説明される・・・。

その説明に驚きを感じられるか、あるいは納得できるかどうかは別として、いくつもの筋を組み合わせ、重ね上げながら語られてきたストーリーの最大の動因、謎にもラストで説明がつくし、それぞれの筋も意外な展開を見せるので、飽きずに読み進められるのは確か。

ただ難点としては、同時に追わなければならない筋が多すぎるので(多い時は6、7もあるだろうか)、全体の筋を見失いやすいことか。主人公が一人や二人に絞られているわけではないので、どこに焦点を置いて読めばいいのか落ち着かないし、主人公たちがストーリーを動かすための単なる駒に見えてきたりもする。あとは、ようやくこの巻で正体を表わす超文明のハッタ人。登場人物の一人が"banal"と言っているが、卑小、と言って悪ければ、あまり人間的すぎて・・・。

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2017年12月 2日 (土)

Kobo: Kobo Aura ONE コミックEdition、新ページ・ターン?

もうすぐ発売のストレージ増量aura ONE、ページめくりに改善があるのか? という話題。

blog.the-ebook-reader.comの"32GB Kobo Aura One Limited Edition Pre-Orders"の記事参照。
それによると、koboの商品ページに"new enhanced page-turn feature"がある・・・。

これはmobilereadでも話題になっていたが、さてどんなものなのだろう?
(関係ないが、koboのスレッドにたまに顔を出すRobertJSawyerさんというのは、SF作家のロバート・J・ソウヤー本人?)

で、その製品ページを見ると、
"Flip through all those pages more easily: Kobo Aura ONE Limited Edition’s new, enhanced page-turn speed lets you quickly skim through your story, so it’s easier to find your favourite passages."
とある。

ページをすばやくパラパラめくれるのか(kindleのマンガ連続ページターン?)、ページの飛ばしめくりなのか(koreaderのPage flipping mode?)、とにかくそういうページめくりのモードが追加されるのか、あるいは、単にページめくりのスピードがアップするのか? それとも、ページめくりの高速化などないのか(楽天の商品ページにはそんな説明はない)?

アメリカkoboの製品ページの説明を見るかぎりでは、Kindleのように高速ページめくりはマンガに限定されてはいない気はする。物語の好きな個所を簡単に見つけられる、みたいな書き方だから。

逆に言えば、マンガは高速化されない可能性もある。だから楽天のページにページめくりについての説明がないとか? マンガはいつまでたっても毎ページリフレッシュする楽天koboだし。

-- 追記 --
12/7の発売日に楽天の製品ページも更新されて、「高速ページめくり」機能なるものの説明が追加されていた。それによると、
「今回新たに追加された「高速ページめくり」機能により、読み返し・読み飛ばしが快適に行えるようになりました。
左右に指でスワイプ&長押しすると、紙のコミックと同じような感覚で、パラパラパラ…とページを戻る(進める)ことができ、探したい“あのシーン”をすぐに見つけられます。」
だそうだ。

製品ページの画像はマンガになっているので、マンガの高速ページめくりができるようだ。どんなものなのかまだ正体がつかめない。レビューも動画もない。
-- 追記おしまい --

文字本のページ連続めくりだとすれば、kindleにない特徴にはなるだろう。

さて、どうなることやら。

文字本の連続ページめくりだったら、NOOK GlowLight 3が実現しているようだ。
これはベゼル両側にボタンをつけたモデルで、値段はKindle Paperwhite程度。連続ページめくりの様子はこちらの動画など参照。

また、koboが始めたディスプレイの色温度の調節は、最近他社でも次々に採用されているようで、今ではkoboが作っているtolinoの新製品tolino Eposは当然としても、このNOOK GlowLight 3もそうだし、これから発売されるPocketBook Touch HD 2もディスプレイの色を変更できる。どこも製造はkoboと同じNetronixらしい。

それにしても、他社の製品を見ると、6インチで300ppiが普通だよな。300ppiないaura edition2がKindle Paperwhiteより高いとか、おまけに、サイバーマンデーだなんだでtolinoもNookも新製品でも割引してるのに、楽天koboはねえ・・・。大昔の旧H2Oの割引やポイント還元ぐらいだからなあ。

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