ドイツ語多読本: Dirk van den Boom: Die Welten der Skiir 3: Patronat
第1巻2017年ドイツSF大賞、ドイツ語ベスト長編受賞作"Die Welten der Skiir 1: Prinzipat"、第2巻"Die Welten der Skiir 2: Protektorat"に続く、第3巻完結編。
Dirk van den Boom: Die Welten der Skiir 3: Patronat
10,000語
第2巻のラスト、帝国からの自立を決断した地球政府の大胆な行動から1年後、地球全体が防壁で囲まれ、帝国から守られている。だが、その防壁にほころびが出始める。帝国の再侵入を許せば、厳しい粛清が始まるに違いない。そこで政府は「破壊者」に残っている主人公の一人エーダーとコンタクトを取ろうとする。向かうのはもちろん第1巻からお馴染みの面々・・・。
帝国は帝国で、「破壊者」計画の責任者の処断も終え、第2巻で発覚したもう一つの陰謀、帝国全住民の意識支配計画の調査に乗り出すのだが、こちらでも予断を許さないストーリー展開が待っている。
そして、第2巻ラストで正体を表した「破壊者」のマスターは、かつての超文明ハッタのもとに向かうべく「門」を建設、着々と準備を進める。「門」の向こうにあるものは・・・?
ハッタが何者かがあきらかになると同時に、帝国をゆるがした「破壊者」計画と意識支配計画の真の理由が判明、そもそもなぜスキイールが宇宙中からハッタ・アーティファクトを回収してきたのか、その理由も明確になる。同時に、スキイールだけでなく、地球を含めた帝国内の知的生命の成り立ちすら説明される・・・。
その説明に驚きを感じられるか、あるいは納得できるかどうかは別として、いくつもの筋を組み合わせ、重ね上げながら語られてきたストーリーの最大の動因、謎にもラストで説明がつくし、それぞれの筋も意外な展開を見せるので、飽きずに読み進められるのは確か。
ただ難点としては、同時に追わなければならない筋が多すぎるので(多い時は6、7もあるだろうか)、全体の筋を見失いやすいことか。主人公が一人や二人に絞られているわけではないので、どこに焦点を置いて読めばいいのか落ち着かないし、主人公たちがストーリーを動かすための単なる駒に見えてきたりもする。あとは、ようやくこの巻で正体を表わす超文明のハッタ人。登場人物の一人が"banal"と言っているが、卑小、と言って悪ければ、あまり人間的すぎて・・・。
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