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2017年8月

2017年8月25日 (金)

Kobo: データベース用ランチャー更新(FW4.4.9298以降に対応)

行間・余白の有効化やコレクション作成などデータベース変更ランチャーのアップデート。

FW4.4.9298からコレクション作成スクリプトに修正が必要になっていたのと、日本でも最新FW4.5.9587が自動で落ちてくるようなので、ランチャーを更新。本家ランチャーがH2O Edition2に対応するかどうか様子を見ていたが、動きがないようなので、とりあえず。

Lancher_v06_2
下のアイコンが変更。一番右が終了ボタン。その隣のカメラはスクリーンショットだが、もちろんランチャーにしか使えない。本家ランチャーならcoolreaderやゲームその他のスクリーンショットを撮れるのかもしれない。


◎対応FW
FW4.4.9298以降(現時点での最新FW4.5.9587で動作確認している)
FW4.4.9298でデータベースに変更があり、それに合わせてコレクション作成スクリプトを修正しているため、それより前のFWではコレクション作成できなくなる。FWのバージョンを確認してからインストールを。

* FWとランチャーの対応は以下の通り。
・FW3.19.xxまで: ランチャー をv0.4(v0.5以降は使えない)。
・FW4.0.xxx 〜 FW4.2.8110まで: v0.5を。
・FW4.2.8283 〜 FW4.3.9084まで: v0.5 + update_for_fw4.2.8432.zip(差分アップデート)で。
・FW4.4.9298以降: v0.6(今回の更新版)

*おそらくH2O Edition2では動作しない。本家ランチャーが未対応のため。KSMもH2O Edition2ではまだ動かない模様。本家ランチャーのフォーラム"Support for Kobo Aura H2O Edition 2"のスレッド参照。
また、Aura Oneも動作未確認(持っていないので)。本家ランチャーはもちろんAura One対応済みなので動く気はする。
gloとgloHDで動作確認。


◎更新内容
・本家KoboLauncher最新版のpbchess_2017.06.13_kobo.zipに更新。
 http://pbchess.vlasovsoft.net/en/index.html
・FW4.4.9288でのデータベース変更に合わせて、コレクション作成スクリプトを修正。
 「Kobo: FW4.4.9298アップデート」参照
・CFW Pusの不具合を修正
 「Kobo: FW4.5.9587アップデート」の記事のコメント欄参照。


◎インストールの注意点
・KoboLauncher_for_db_scripts_v0.6.zipを解凍、その中の画像ファイル000_db_scripts.pngを先にkobo端末にコピー(PCにつないだkoboのドライブのトップに置く)。
・それで一度USB接続を解除してケーブルを抜くこと。koboは「コンテンツを処理しています・・・」の画面になる。
・処理終了後、ホーム画面に画像のサムネイルが出現するのを確認すること。
この画像
000_db_scripts
これが出ないうちはインストール作業を先に進めてはいけない。サムネイルが見えたら、念のためもう一度再起動しておくのが確実。
・この後、再びUSB接続したkobo端末の .koboフォルダにKoboRoot.tgzをコピーする。

かならずこの手順を守ること。KoboRoot.tgzを先に端末にコピーしたり、面倒だからと画像と同時にコピーしたりすると、サムネイルが見えただけでランチャーが勝手に起動するなど端末の動作に異常が出る。
また、あわせてfmonでkoreaderを動かしたい場合も、ランチャーのインストール・動作確認が完全に終わってからにすること。その後に端末を念のため再起動、それからkoreaderのサムネイル用画像のコピーから順に手順通りに。


◎新規インストールではなく、アップデートしたい場合
・KoboRoot.tgzでアップデートするだけ。サムネイル用の画像はインストールし直す必要はない。
・ただし、koboCFW.confやapplications.iniは上書きされてデフォルトに戻るので、変更している場合はバックアップを取っておくこと。また、バックアップを戻したり、設定ファイルやスクリプトその他を書き換えたら、端末をかならず再起動。


◎FWをアップデートしたら
/etc/init.d/on-animator.shがFWアップデートで上書きされてしまうので、このファイルをインストールし直す必要がある。ランチャー全体をインストールし直してもいいが、同梱のreinstall_on-animatorフォルダにon-animator.shのみ入ったKoboRoot.tgzがある。


ダウンロード: KoboLauncher_for_db_scripts_v0.6


ダメ文字対策したdosfsckもFWのアップデートで上書きされてしまうので、それを元に戻すスクリプトなんかもランチャーにあったほうがいいのか? 

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2017年8月20日 (日)

ドイツ語多読本: Dirk van den Boom: Die Welten der Skiir 1: Prinzipat

2017年ドイツSF大賞(Der Deutsche Science-Fiction-Preis)ドイツ語ベスト長編
Laudatio 2017 Bester deutschsprachiger Roman

三部作らしいが、むしろ、上・中・下の上巻という感じ。つまり、三部作なら一冊ごとにそれなりに話は完結していそうなものだが、いいところで次巻に続く、という終わり方をしている本作。まったく話は終わっていない。第2巻はもう出ているが、第3巻は今年の秋に出る予定。作品として完結していなくても賞を出すのか・・・という感じがしないでもない。

Dirk van den Boom: Die Welten der Skiir 1: Prinzipat

100,000語

地球が異星人スキイールに侵略・占領されて200年。地球は宇宙から隔離され、科学、技術、学問、情報など様々な制限が加えられ、文明のレベルは落とされている(たとえば飛行機にすら乗れない、ごく当たり前の治療薬もない)。その代わりにスキイールの保護下で平和な暮らしが保証されている。その地球に「目覚め」の時がやってきた。独り立ちする時期が来たとみなされたのだ。課されていた制限は撤廃され、スキイール帝国の他の種族との交易も可能になり、帝国集会に議席・投票権も得る。そこで帝国集会に地球からも代表団が送られることになる。だが、地球の「目覚め」を合図に、帝国内でひそかに計画されていた陰謀が実行に移される。そこに帝国に対する抵抗組織も絡んできて・・・。その激動の真っ只中に巻き込まれていく地球代表団のメンバーたち、そして、これからの地球の運命、向かうべき方向はいかに・・・というような話。

SF的なアイディアやロジックの妙というより、ストーリーで読ませるタイプの小説だろう。複数のストーリー・ラインを次々に切り替えながら、そこかしこに謎めいたほのめかしを残して緊張感を維持しつつ、意外な展開で読者を驚かせる。


以下もう少し詳しく。興味のある人向け。

昆虫型の異星人スキイールは宇宙の900もの文明を束ねる帝国の支配者。帝国は3つの組織によって支えられている。Protektorat(どう訳すべきか?)は帝国の領土拡大、防衛を担い、Patronatは占領地の「精神の浄化」(教化、思想教育)を担当する宗教的な組織、Prinzipatは現地の統治を担当(警察などはPrinzipatの所属)。3組織は協調しながら帝国を運営しているのではなく、競合関係にあるらしく、政治的駆け引きや策謀、主導権争いがある。それが帝国を揺るがす大事件につながっていく。

そんなスキイールの内部の政治は地球代表団にも反映されている。代表団のトップ、大使のフロークハート・エーダーはPrinzipatの所属(地球政府はPrinzipat)、Patronat所属のヨラーナは代表団の動きを監視し、さらには色仕掛けでエーダーを懐柔するようにも指示されている。エーダーの秘書ビクサ・リーは、帝国の全種族の7割は素手で殺せるという特殊訓練を受けているが、それを隠して代表団入り。後に彼女は抵抗組織に属していることがわかる。代表団は全部で4人、もう一人は学者のトルゲンだが、彼は地球を出発する直前、死体で発見される。

支配階級の権力争い、そこに絡んでくる抵抗組織の動き、それらに代表団、地球はどう関わっていくのかという政治ドラマの様相に、殺人事件の犯人探しというミステリ的展開も織り込んでくるプロット、そして、宇宙SFならではのスペクタル、圧倒な力で帝国にカタストロフをもたらす「破壊者」が出現する・・・。

構成は、章ごとに語りの視点となる人物を入れ替えながら(1人称ではない)、全体として一つの物語を紡いでいく形。エーダー視点の章の次にはビクサ・リー視点で物語が進められる、という具合。そういうふうにして代表団メンバーの動向が語られるのはもちろん、地球でトルゲン殺しを捜査するマーケンゼンの視点、陰謀の首謀者の視点、陰謀の証拠を偶然見つけてしまう貨物船の航海士アマータ・カントの視点など、複数のストーリー・ラインが次々に切り替わりながら語られていく。そのため展開は単調にならないが、話があちこちに飛ぶ印象はあるかもしれない。

とはいえ、どのストーリー・ラインも最後には予想外の事実、意外な展開があったりで、少なからず驚きが待っている。それは読んでのお楽しみ・・・なのだが、世界最長のSFシリーズで、知名度あるローダン以外、ドイツのSFに興味を持つ人がどれだけいるのやら。ローダンをおもしろいと思うなら、これも十分におもしろいと思うが・・。

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2017年8月13日 (日)

ドイツ語多読本: Perry Rhodan Neo 2: Utopie Terrania

ローダンNEO第2巻、翻訳より一足先に。

電子書籍の原書はもちろん日本語版より安い。もちろん読むのは翻訳のほうが楽だけど。

Perry Rhodan Neo 2: Utopie Terrania

40000語
表紙は第1巻に続き、宇宙船アエトロン? それとも艦載小型艇のほうか? 


翻訳は予約受付中(8/24発売)

日本語版の表紙は第1巻に続いて人物。たぶんアルコン人のトーラ。今後ヒロイン的な役割でも担うことになるのだろうか? 今のところ地球人など下等生物としか思っていないようだが。


この巻では、月から地球に戻ったローダンたちの動向、それと、第1巻と同じように、もう一つの話が並行して、交互に語られていく。

地球で病気の治療ができる、とアルコン人クレストを連れて、地球に戻ったローダン。ゴビ砂漠に着陸して、アルコンのテクノロジーを使って周囲にシールドを張る。そこを包囲し、爆撃する中国軍のBai Jun将軍。シールドは破れないものの、そこから出ることもできず、アルコン人クレストの病状は悪化していく・・・。

もう一つのストーリーは前巻で登場したアメリカ国土安全保障省のエージェント、アラン・マーカントの逃亡劇。地球に帰還するスターダストを撃ち落とそうとする国土安全保障省を裏切り、追われる身になったマーカント、逃げる途中で出会ったトラックの女運転手とのドラマがあり、スターダストがゴビ砂漠に着陸したニュースを知ると・・・。そして、ラストに第1巻のジョン・マーシャル、シドのストーリーにつながる人物が登場して、続きの展開が気になるところで第2巻終了。

日本語版第1巻の解説で、「次巻では"ローダン無双"が展開するはず、個人的には序盤最大の見せ場のひとつと思っている」とあったので期待して読んでみたが、いや、ローダンは砂漠でシールドにこもっているだけだったし・・・。ようやくラストで、周囲のジャミング装置を破壊、全世界に向けて大胆な宣言をしたので、大きなドラマ展開があるのは、この次の巻以降じゃなかろうか・・・。

それにしても、ローダンは、人間よりもはるかに文明が進んでいるアルコン人と堂々とわたり合って、巧みな駆け引きで地球への帰還も果たしたわけだが、考えてみれば、口八丁で相手の弱みにつけ込んでいるだけ(その超テクノロジーを使って協力してくれないと、クレストの病気は直せないぞ)とも言えなくもないな、今のところ。

次巻以降は読むとしたらもう翻訳でいいかな。ドイツ語で読むのは翻訳の出ていない本にしたいし。

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2017年8月10日 (木)

ドイツ語多読本: Perry Rhodan Neo 1: Sternenstaub

時代を2036年に移したペリー・ローダンの新シリーズ、Perry Rhodan NEOの翻訳が刊行開始されたので、記念に原書を読んでみた。

とりあえず第1期のVision Terrania編8冊の翻訳が7月から毎月1冊ずつ出るらしい。ドイツではNEOのほうもすで150冊以上出ていている。隔週で新しい巻が出るので、翻訳が追いつくことはないだろう。


Perry Rhodan Neo 1: Sternenstaub

48000語

オリジナルの『ペリー・ローダン』シリーズは知らないので、どこまでオリジナルをなぞっているのかよくわからないが、オリジナルへのオマージュでありつつも、新要素、新展開があるのだろう。

月面ステーションとの通信が途絶えたので、その救出に向かうローダンら4人の宇宙飛行士たち。だが、実は月で発見された未確認の人工物の調査が隠された目的。打ち上げ失敗続きの危なっかしいNOVAロケットで一か八かの出発をするスターダスト号、月に着いたと思ったら、いきなり攻撃を受け不時着、攻撃の出どころにたどり着くと例の人工物、超テクノロジーを持った異星人との交渉に臨むローダン・・・と、ハラハラドキドキの展開。おまけに、超テクノロジーを持った異星人への恐怖、またその技術によって力のバランスが崩れる懸念を抱いた、アメリカをはじめとする大国の思惑も絡んできて・・・。まあ、とにかくローダン大活躍。

そんなローダン側のストーリーとは別に、もうひとつ地球での話があって、ローダン側の話と交互に語られていく。それはストリート・チルドレンを保護する施設の話。施設の責任者のジョン・マーシャル視点から描かれる。施設で暮らすシド少年とスターダスト号打ち上げを見る場面からはじまるが、このシド少年が奇妙な能力を持つらしく、その能力を使って資金難に陥った施設を救おうとしたために・・・という話。

この2つのストーリーがどう結びつくのかは、第1巻では不明のまま。でも、次の"Perry Rhodan Neo 2: Utopie Terrania"を読んでみたら、この巻の最後でようやくつながりが少し見えてきた。安心を。


翻訳はこちら

ドイツ語オリジナルの表紙は月で発見された異星人の宇宙船アエトロン号か。日本語訳はローダンの半身を正面から描いていて、対照的。

ドイツ語原文を読んだ感じと翻訳で違和感があるものかどうか、興味本位で翻訳も読んでみた。

翻訳は読みやすいと思ったが、ローダンと相棒のブルの言葉遣いが対等でないところには違和感があるかも。ブルはローダンに対して「です・ます」、ローダンはブルに対して「だ・である」で話しかける。アメリカ人だし、年は1歳しか違わず、テストパイロット時代からの親友らしいし、もっと対等な口のききかたをする感じで読んでいた。それとも、階級は少佐と大尉で違いがあり、ローダンは船長なので、身分の差を気にする日本人の感性にはそのほうがいいのか。

一文一文照らしあわせて読むなんて面倒なことはしていないが、読みやすさ・わかりやすさを考慮してか、少し変えている個所はありそう。
たとえば、冒頭部分は"Er lächelte ..."(「彼は笑顔を作った」)を何度も繰り返しているが、翻訳では繰り返しを省略している。原文はたぶんわざと繰り返してレトリック的な効果を狙っているのだと思うが、翻訳はそれより簡潔な表現を求めたのかもしれない。
また、細部のアイテムの変更っぽいものもあるようだ。スターダスト打ち上げの時にシドは自作の宇宙服を着ていけず、それっぽく見せようとしてかChromstreifen(クロームの金筋?テープ? ストライプ状ものの気がする)を上着にくっつけていたが、翻訳ではそれが金属のバッジになっていたりする。
とはいえ、物語の本質に関わらない細部だし、翻訳だけ読むならとくに違和感を感じることもないだろう。訳文は読みやすいと思ったが、感じ方には個人差があるだろうから、まあ人それぞれか。

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