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2017年5月

2017年5月28日 (日)

ドイツ語多読本: Michael K. Iwoleit: Das Netz des Geächteten

2017年ドイツSF大賞、ドイツ語ベスト短編受賞作。

ゲームをテーマにしたSFアンソロジーに収録されている。Kindle版が見つかったので読んだ。

拡張現実のネットに繋がることが日常化している世界、ゲーム中毒の男の話。

Gamer所収

Das Netz des Geächtetenは9400語程度。

タイトルは「追放された者たちのネット」ぐらいの意味。

アルコールやドラッグやらの更生プログラムにあるような、依存症患者のミーティングの場面が冒頭。たがいに自分の体験を告白しあうみたいなやつ。それに参加しなければならなくなった主人公。何の依存症かというとゲーム。ゲームに熱中するあまり、人のアカウントを乗っ取り、金を盗んだりして、裁判所にネットからの強制ログアウト、二年間のネット接続禁止、更生プログラムへの参加を命じられている。

で、同じ参加者の一人が話しかけてきて、海賊版ネットがあると言う。HUD(ヘッドアップディスプレイ)のプロセッサを使ったやつだろ、あんなもの使えないと答える主人公だが、その男は100ペタフロップ相当の巨大並行マルチプロセッサが頭の中にあるだろ、と言って主人公に生体チップを渡す。主人公はそんな怪しげなものを使う気にならないが、ゲームに没入していた時のプラッシュバックに苦しめられ、思わずその生体チップのインプラントに手を出してしまう・・・というストーリー。

拡張現実がごく当たり前の世界。去年話題になったポケモンGOも拡張現実だろうが、この話ではスマートグラスのようなメガネか何かで拡張現実を体験しているらしい。外を見れば、アニメーション化されたロゴや広告、イフォメーションのバナーやフィード、交通標識などなどが外の風景と一緒に視界に現れる。それだけなく、拡張現実で自分の容姿にもいろいろ手を加えたりと、生の現実を直接見ることがほとんどないらしい。主人公は拡張現実がない世界のことは親の世代の話でしか知らないという。

ネットから追放されるというのは、つまり何の美化も施されない生の薄汚れた世界で生活するということ。そのうちに生体チップの効果が現れ始め、最初は視界のぎりぎり外側で何か動いた気がするが、そのうち線やら立方体やら円柱やら幾何学模様が見え、しだいに建築物の形をなしていく。現実の町に重なりあうようにして、もうひとつの町が現出していく。実際に町を歩き回りながらゲームにのめり込んでいく主人公・・・。

その拡張現実を知覚していく描写が個人的には新鮮でおもしろかった。
そして、きれいに伏線を回収しつつ、「追放された者たちのネット」を利用しているように思わせながら実は・・・というラストもきれいに決まった読み応えのある短編。


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2017年5月23日 (火)

ドイツ語多読本: Marc Elsberg: Helix - Sie werden uns ersetzen

Elsbergの"Helix"をようやく読んだ。前作"Zero"は読んだので、去年出た時に買っていたもの。

これで3作目らしいが、前2作はどちらも翻訳されているので(『ブラック・アウト』『ゼロ』)、これもひょっとしたら翻訳されるのかもしれない。ドイツ語の普通の発音では「エルスベルク」じゃないかと思うが、翻訳本では「エルスベルグ」になっている。人名なのでよくはわからないが・・・。

この人はおそらく話題のテクノロジーを取り上げ、サスペンスに仕立てる感じの作風が売り。
今回はタイトルの「螺旋」からも推測できるように、DNA、遺伝子の操作、ゲノム編集が人間、社会にもたらすものは・・・?

今年、SFのラスヴィッツ賞の長編部門にもノミネートされていている。2017年ドイツSF大賞にもノミネートされていたが、受賞は逃している。

Marc Elsberg: Helix - Sie werden uns ersetzen

130,000語

前作ではアメリカ大統領をドローンで追いかけ回し、それをネット中継するという派手な出だしで、読者を話に引き込んでいったが、今回もやり方は同じ。ミュンヒェン訪問中のアメリカの外相が演説中か何かに突然倒れる。慌てて駆け寄るボディガードたち、パニックになる会場。

検死解剖してみると、心臓になぜかドクロマークが浮き上がるという謎。ホワイトハウスのアドバイザー・チームの女性に事件究明が命じられる。死因はどうやらウィルスによるものらしく、感染経路を辿って行くと・・・。これが主要な筋の一つ目。

これと並行して、アフリカのタンザニアでは、害虫と干ばつの被害が広がる中、なぜか健康なトウモロコシが育つ場所が見つかる。どうやらドローンらしきものが何かを散布しているらしい。品種改良した種やら殺虫剤を売りつけて金儲けしているバイオ企業にとっては、そんなことをされては商売上がったり。というわけで、誰がそんなことをしているのか、追求を始めるバイオ企業の暗躍がもう一つの主要な筋。

さらに、不妊治療を受けている病院で、不妊治療どころか赤ん坊の健康、容姿や知能までも自由にできるデザインできるところがある、と教えられる夫婦。これが主要な筋の三つ目。半信半疑ながらも、行き先がわからないように窓の外が見えないようにしたチャーター機に乗り込む夫婦・・・。

さらにもう一つの筋では、飛び級で大学に入学、容姿もモデル並みの女の子、いつもボディガードを連れている、というより見張られている様子。その女の子がボディガードの目を盗み、失踪。それを必死に探しだそうとする母親(?)には何か特別なわけがありそう・・・。

もちろん、これらの話はつながり合っていて・・・という話。

ゲノム編集によってピンポイントで遺伝子を改変することができるようになり、それによって難病の治療が可能になったり、病気や環境の変化に強い植物を作ったり、肉が多くとれる動物・魚を作ったり、と様々な恩恵がもたらされると同時に、遺伝子を永続的に変えてしまうことの倫理的問題、さらにはデザイナー・ベビーのような、かつての優生学的発想の問題も想起させられる。もちろんそこには金の臭いがプンプンするわけで、利権やビジネスも巻き込んだ、おもしろいストーリーが展開できそうなテーマであることは確か。

ドイツ語で読む人向けにコメントしておくと、短い章で区切りながら、いくつかの筋を並行して追っていくので、続きが気になってテンポよく飽きずに読める。文章もエンターティメント小説なので平易だろう。




以下はネタバレを含んでいるので、出るかどうかわからないが翻訳を待っている人、ドイツ語で読む人は注意。

現在ゲノム編集でどこまでできるのかよくわからないが、デザイナー・ベビーがすでに存在していたら・・・というのがこの小説。10歳ですでに20歳の容貌だったり、身体能力が人間離れしていたり、知能も一般の大人以上、というか専門的な科学者以上、そんな子供たち・・・。そして、盛大にネタバレすると、事件を引き起こしたのは、デザイナー・ベビーのプロトタイプとも呼ばれる男の子と女の子の二人(10歳)。ウィルスを作ってアメリカの外相を殺したのも、タンザニアで無償で改変トウモロコシを提供していたのものも、デザイナー・ベビー研究を主導しているのも、実はこの二人・・・。

それがわかった時点で、小説としてもありえない絵空事と切り捨てる人も出てきそうな気はする。だが、彼らがそういう行動に出た理由は? そういうデザイナー・ベビーから見た視点が存在することが、この小説のおもしろいところでもある。デザイナー・ベビーのようなものを生み出していいのかどうか人はいろいろ論議するかもしれないが、まだ存在もしていないデザイナー・ベビーの側から人間、世界を見るという発想はしなさそうだから。そこがこの小説のSF的なところかもしれない。SFの賞にノミネートされているのもそれなりに納得できる。

SF的な設定に拒否反応を起こす人もいるだろうし、また逆に、SFだったらもっと先の遺伝子操作なんか当たり前の世界も描いてしまうから、SFだと思って読むと物足りなさが残るかもしれない。が、現代のテクノロジーがもたらす可能性と問題を提起しながら、それをサスペンス仕立てのエンターテイメント小説にまとめ上げているのは間違いない。


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2017年5月19日 (金)

Kobo: FW4.4.9344アップデート(追記:Mark6は4.4.9349)

外部SDカードに問題があった4.4.9298に予想通り、さっそく修正が入った模様。
アップデート4.4.9344。

◎ダウンロード
https://wiki.mobileread.com/wiki/Kobo_Firmware_Releases

自分のモデルがMark3、4,5,6のどれなのか確認してからダウンロードを。
インストールはFWのzipファイルを解凍したら、その中身を全部、.koboフォルダにコピー、USB接続を解除、再起動、でおしまい。

ただ、Mark6は問題のあるFWを拾った人もいるらしく、念のためダウンロードしたらmd5sumか、ファイルサイズをチェックしたほうがよい。(上記リンクからダウンロードしたものは問題はなかった)
パッチのスレッドの赤文字の警告を参照(正しいFWのmd5sumとファイルサイズが記載されている)。

-- 追記 --
上記のMark6の正常なFWはインストールすると、デバイス情報では4.4.9298ではなく、なぜか4.4.9349。それでmobilereadでも話題に。というわけなのか、Mark6のみFW4.4.9349が公式にダウンロードされるようになった模様。
パッチは4.4.9298のものがMark6(4.4.9349)ほぼそのまま使えるが、別扱いのものもある。いつも自分で作りなおしている辞書ウィンドウ・リサイズのパッチは別々に作る必要があった。nickelとlibnickel.soが4.4.9298と4.4.9349とでは違っている。
-- 追記おしまい --


◎更新内容
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=286503

バグフィックスのみ
○外部SDカードが認識されない問題を修正。

○ストアから購入した本を読み終えても、読了にならない問題を修正。

* 4.3.xから4.4.xへの更新内容については、前回の「Kobo: FW4.4.9298アップデート」参照。
ホーム画面、その他のレイアウトが変わるので、見た目は大きく変わる。

前回のFWは日本では配布されていない気がするが、問題が修正された今回の4.4.9344は日本でも提供されそうな予感。



◎パッチ
Instructions for patching firmware 4.4.9344
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=286510



ランチャー
v0.5+追加パッチで動く。
ただし、コレクション作成スクリプトに修正が必要(修正内容については、前回の記事「Kobo: FW4.4.9298アップデート」参照)。
そのうち修正したランチャーはアップする。

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2017年5月17日 (水)

Kindle:アップデート 5.8.9.2 & jailbreak関連

kindleアップデート、5.8.9.2
細かく番号を刻んできたので、大きな変更はなしでバグフィックスか。
アマゾンのページに詳細はない(5.8.9の時のまま)が、これはいつものこと。


◎ダウンロードページ
◯Kindle(新無印、第8世代)
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=202065490

◯Oasis
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=202037720

○PWマンガモデル
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201756220

◯PW3(2015)
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201756220

◯Voyage
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201630670

◯無印
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201605570

◯PW2(2013)
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201307450



◎jailbreak関連
jailbreak済みの人はアップデートしても大丈夫。実機で確認した。jailbreakは生き残る。
もちろん*.binは再インストールが必要。

だが、5.8.8の時点で新規のjailbreakはできなくなっている。
つまり、まだ5.8.7.x以前の人しか新規のjailbreakはできない。

また、マンガモデルはjailbreakは依然としてjailbreak未対応。
マンガモデル所有者の協力が得られていないらしい(電源を入れる前の端末を持っている人の協力が必要)。マンガモデルは日本限定発売なので、協力者が出ないんだろう。

それにパッケージ作成に必要なkindletoolなどのメンテナーさんが離脱中。実際、フォント、スクリーンセーバーその他パッケージの更新はまったく行われていない。だから、マンガモデルのjailbreakの可能性はなさそうだし、そして、もちろん5.8.8以降のjailbreakもこのままでは無理だろうな、という気配・・・。


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2017年5月11日 (木)

Kobo: FW4.4.9298アップデート

今月の新モデル発売に合わせたFWの更新。
mini以外の全モデル対象。

◎ダウンロード
https://wiki.mobileread.com/wiki/Kobo_Firmware_Releases

自分のモデルがMark3、4,5,6のどれなのか確認してからダウンロードを。
インストールはFWのzipファイルを解凍したら、その中身を全部、.koboフォルダにコピー、USB接続を解除、再起動、でおしまい。

-- 追記 --
mobilereadのFW4.4.9298のスレッドに、外部microSDカードが認識されない、認識されても本が見えないなどの不具合の報告が多数あがっているので、microSDカード利用者は用心、もしくはアップデート回避を。(ひょっとしたらaffiliate.confがRakutenbooksだと、自動アップデートはまだきてないかも?)
何かすると新たにバグもついてくる、いつものkobo・・・。
下のコメント欄参照。
-- 追記おしまい --

-- 追記もうひとつ --
外部microSD問題の回避方法(下のコメント欄参照)
microSDカードにボリュームラベル(ディスク・ネーム?/ドライブ・ネーム?)をつけると、認識されるようになる、と指摘をいただいた。
名前は何でもいいと思うが、まあアルファベットを使っておくのが無難かも。
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?p=3521702#post3521702 を参照。
Windowsなら右クリックして名前をつける、とか? linuxならdoslabelを使うとか。
とにかく名前がついてないと(ブランクだったり、未設定だったり?すると)、認識されないらしい。
これでやっとこのFWもどうにか使えるか、という感じ?
-- 追記おしまい --


◎更新内容
今回のFWは新モデル発売ということで、見た目に大きな変更。
リリースノートもあるが、いつものmobilereadのdavidforさんの情報に、適当に説明を補足。
https://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=3518621&postcount=31

○新ホーム画面
 過去のFWでも試験的に導入されていたものだが、今回のFWで完全導入。あわせて、旧ホーム画面は廃止。FWからコードも消えているらしく、パッチで復活させることもできない模様。
これはFW4.3.8842の時の新ホーム画面で、違うところもあるがこんな感じ。
Kobo_newhome Kobo_newhome_menu
○ホーム画面の左上(三本線)のメインメニューの項目変更
上の右側の画像参照。

○「ライブラリ」画面に行くと、「著者名」のコレクションが自動的に作成されている。

○「ライブラリ」画面で、「すべての本」、「著者名」、「コレクション」のタブが横に並ぶようになった。

○画面上部に出るメニュー、右上のアイコンが変更(WiFiなどのアイコンのところ)

○「すべての本」の「並べ替え」オプションに「追加日」がさらに追加。

○端末のロックが可能に。これは日本ではすでに提供済みだが、海外ではまだだったようだ。

あとはdavidforさんの個人的なメモ
○ブラウザ:2MB以上のファイルのダウンロードが可能に。また、ダウンロードをキャンセルしてもリスタートする必要がなくなった。
○読書記録の統計がおかしかったのが直った。
とのこと。

さらに付け加えておくと、
○体験版アプリが一部復活した。
「設定」 > 「体験版アプリ」で確認。スケッチブック、ナンプレ、脱出ゲームがある。ソリティアはないようだ。

○CFWの本棚スクリプトは修正が必要。
そのままではコレクションの作成ができなくなったので、CFWユーザーは要注意。ランチャーはそのうち修正する(下記参照)。

こんなところ。さらに、

○新ホーム画面の説明
https://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=3518639&postcount=37

上段、中段、下段で区別すると、
・上段左の表紙2冊:最近開いた本
・上段右:本が2冊しかないときには何か別のものが表示されるらしい。(が、以後は右側も開いた本の表紙になるようだ)

・中段左:「ライブラリ」画面に飛ぶ(固定)
・中段右:いろいろ変化する。自動作成された「著者名」コレクションや自分で作ったコレクション、おすすめ、関連する本、ウィッシュリストなどが表示される。
(ざっと触った感じだと、同期を取ったりすると「おすすめ」が、何かコレクションを開いたりすると、コレクションが表示されるようで、直前のアクションに従っている気がする)

・下段左:ストア(固定)
・下段右:いろいろ変化する。Pocketだったり、ストア内の「ジャンル」だったり(おすすめ?)、読書記録など、のようだ。

というわけで、ホーム画面やライブラリのレイアウト変更がメインの更新。


◎パッチ
Instructions for patching firmware 4.4.9298
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=286265



◎スクリーンセーバー
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?p=3463704#post3463704
KA1-4.2.8283-ScreenSaver-experiment2.zipを。
なのだが、新規インストールはどうも無理らしい。以前インストールしたgloはFWをアップデートしてもそのまま使えているが・・・。



ランチャー
v0.5+追加パッチで動くが、上でも書いたようにコレクション作成スクリプトに修正が必要。そのうちアップするが、修正は簡単、誰でもできるはず。

.kobo/db_scripts/cfw_scripts/createbookshelf.sh と
.kobo/db_scripts/cfw_scripts/createbookshelf+plus.sh をエディタで編集。エディタは改行形式がLF(Unix式)のものを使うこと。
下から22,23行目あたりの次の行を探す。

echo " Sub1.ShelfName,NULL,'false','true','false','' " >>$SQLCOMFILE
これを
echo " Sub1.ShelfName,NULL,'false','true','false','','' " >>$SQLCOMFILE
に変更(赤字部分、コンマ1つとシングルクオートを2つ追加するだけ)
あとは端末を再起動。
これで一応コレクションは作成できたが、データベースに詳しくないので、これでいいものかどうかはよくわからない。間違っていたら指摘を。Shelfテーブルに"LastAccessed"という項目が新たに追加されたので、その数合わせをしただけ。
CFWユーザーはtelnetを使うなり、KoboRoot.tgzを作り直すなり、自分で。

体験版アプリ復活のスクリプトは、旧ホーム画面廃止のため使えなくなった。

ファームウェアをアップデートしたら、上書きされた/etc/init.d/on-animator.shをランチャーのものに戻してやること。on-animator.shをKoboRoot.tgzにしたものはこれ。
reinstall_on-animator.zip


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2017年5月 6日 (土)

Kobo: H2O Edition2/aura Edition2の内部画像

公式発表のfact sheetにeMMCとあるのにわざわざ殻割り、内部にmicroSDカードはない、と確認したご苦労様な画像。

Kobo Aura H2O (2017) Teardown Reveals There’s No Internal Card Slotの記事参照。

ぼんやりした画像なので細かいところまでは見えない。わざと見えないようにしているのかもしれない。発売前に評価機をもらっているサイトなので。いずれにせよ、本格的なレビューは発売日以降なんだろう。

そして、aura Edition2の殻割り画像。
https://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=3516342&postcount=8
ここのリンク参照。

こちらの内部ストレージは、glo/gloHD/H2Oその他同様、microSDカードがささっている。換装可能だろう。

aura Edition2買うより、gloHDをまだ売っているところを探したほうがいいとは思うが、解像度・ppiにこだわりがなく、何がなんでもストレージ増やしたい、もしくはシステムごとバックアップしておかないと不安な人にはaura Edition2でもいいのかもしれない。

aura Edition2という名前だが、gloの後継機と言うべき。
というのは、6インチ初代auraは、
・ストレージはeMMCで、microSDカードではなかった
・パネルも赤外線方式ではなく静電式
・リフレッシュ間隔は現行モデルのような6ページ毎というひどい頻度ではなかった(koboでは唯一低フラッシュ波形技術採用。これはKindleその他ではもちろん使われている技術)
・前面はフラットで段差なし(今ではどこでも最上位モデルはフラットだが、初代auraはその先駆け)

つまり、aura Edition2は作りとしては初代auraとはまるで別物、gloの後継、glo Edition2と言うべきもの。gloHDからはあきらかにスペックダウンしているのでgloの名前は使えず、昔のauraの名前だけ持ってきて、Edition2と何やら進歩したかのように見せかけるという・・・?

それに、aura Edition2は日本ではこれから発売だが、カナダやアメリカでは去年のaura Oneと同時発売。大画面でブルーライトカット、軽量、薄型のaura Oneを大々的に宣伝する影で、スペック・ダウンしたaura Edition2をこっそりと出していた、と言えなくもない。

aura Edition2はどう見てもgloHDの劣化版。もうkoboの6インチは終わった感があって、これからはどうしたものか・・・。

新H2OはmicroSDスロットがなくなったのを除けば、軽量化・薄型化していて、6.8インチなのに重さはアマゾンの6インチKindle Paperwhiteとほぼ同じ。ディスプレイが大きいので横幅はPaperwhiteより大きくなるが、縦はそうでもない。あとはディスプレイの色を暖色方向に変更できる(ブルーライトカット)のも改良点なので、ストレージが8G以上必要な人を除けば、旧H2Oからの買い替えは十分にありかも。
レビューによっては、CPUは旧H2Oと同じだと言っているところもあるが、それはまちがい。i.MX5からi.MX6に変更されて、今のスタンダードのCPUになっている。


新モデルの追加情報:
どうやらホーム画面は変更されて、新ホーム画面になるらしい(「Kobo: FW4.3.8842アップデート」の記事の画像参照)
他モデルも次のFWアップデートで新ホーム画面になるようだ。mobilereadのこのポスト(#281)参照。

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2017年5月 3日 (水)

Kobo: 2017年新モデルKobo Aura H2O Edition 2リリース/遅ればせながらaura Edition2日本発売も

噂の通り、Kobo aura H2O Edition2リリース。さらに海外ではすでに発売済みの(というかすでに値下げすらされている)6インチのaura Edition2の日本発売決定。

◎楽天のプレスリリース
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2017/0502_01.html

◎Kobo本社のプレスリリース
http://news.kobo.com/press/releases/releases-20170501-6110890

さらに、Kobo Aura H2O fact sheet
http://news.kobo.com/press/facts/kobo-aura-h20-edition-2-fact-sheet(PDF)


◎発売予告ページ
・H2O Edition2
http://books.rakuten.co.jp/event/e-book/ereaders/koboaurah2o2/

・aura Edition2
http://books.rakuten.co.jp/event/e-book/ereaders/koboaura2/

発売日:
5月23日午前10時00分から


◎H2O Edition2スペック
・値段:19,800円
 →旧H2Oと同じ

・6.8インチ(1440x1080、265 ppi)、E Ink Cartaディスプレイ
 →旧H2Oと変わりなし

・防水はHZOの内部コーティング方式でIPX8(水深2メートルで最大60分間の耐久性)
 →防水は旧H2Oより強化されているが、旧H2Oにあった防塵の保証は消えている

・ライトはaura Oneと同じ「ComfortLight PRO」でブルーライトカット機能追加、また時間帯でライトの設定ができる

・ストレージは8Gに倍増
 →旧H2OにあったmicroSDスロットは廃止
 また、fact sheetによれば、eMMCなので内部ストレージの換装も無理。

・サイズ、重量
 129 x 172 x 8.8mm、207g
 →旧H2O(129 x 179 x 9.7mm、233g)より若干小型化、軽量化と薄型化

・バッテリー
 1500mAH(Kobo Aura H2O fact sheetによる)
 →旧H2Oと同じ。aura Oneは1200mAh

・CPU
 Freescale i.MX6solo(Kobo Aura H2O fact sheetによる)
 →H2Oから改善。gloHDやaura Oneと同じになった。

・あとたぶんタッチ方式はこれまで通り赤外線方式。フラットではないから、おそらく旧H2Oから変えているとは思えない。


こんなところを押さえておけばいいか。
楽天の製品ページでは、H2O Edition2が「スタンダード・モデル」、aura Edition2が「エントリー・モデル」とされているので、新H2Oがミドルレンジの製品という位置づけ。なので、値段据え置きで、スペックの向上はなし、という選択か。

個人的には微妙。
スタンダードモデルなら、いっそ防水はやめて、LEDの数が倍増するブルーライトカットなんかもつけず、値段を下げてもらったほうがよほどいい。

値段を据え置くなら、aura Oneのようにもっと薄型化、軽量化されていて、6インチに近い感覚で使えるものだったら、迷わず買ったかもしれない。Koboの6インチモデルは買う気にならないから、その代わりに。

まあ、防水やブルーライトカットのほうが派手に宣伝できるし、軽量化、薄型化なんて地味な改良なんかアピールのポイントにならないからなあ。



◎aura Edition2スペック
・値段:13,824円
 →gloHDと同じ

・6インチ(768 x 1024、212ppi)、E Ink Cartaディスプレイ
 →gloHD(1072 x 1448、300ppi)からスペックダウン

・ストレージ4G
 →glohHDと変わらず

・サイズ、重量
 155.3 x 111.0 x 9.0 mm、180g(だが、海外では159 x 113 x 8.5 mmとなっている。どっちが正しい?)
 →gloHD(157 x 115 x 9.2mm、180g)とほぼ同じ?

・バッテリー、CPUはgloHDと同じか


はっきり言ってaura Edition2については言うべきことはない。
解像度1072 x 1448、300ppiだったgloHDを、768 x 1024、212ppiにスペック・ダウンした製品だと思っておけばいい。解像度・ピクセル密度は一昔前の2012年、2013年あたりのkobo gloやauraのレベルに落ちている。

それでいて、定価はgloHDと同じという代物。当然、同じ6インチのKindle Paperwhite(300ppi)とも比べ物にならないスペック。

aura Edition2は海外ではすでに発売されているが、日本でもやっとgloHDの在庫がなくなって、スペックダウンした劣化版を堂々と発売できるようになったわけか。楽天ではなくkobo本社のプレスリリースでは、日本では今年1月発売予定だった。

kindleもそうだが、欲しいと思えるような端末はなかなか出ないなあ。

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