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2017年1月

2017年1月30日 (月)

Kobo: FW4.2.8283アップデート(aura One)

aura Oneのアップデート、4.2.8283。

https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=282758

◎更新内容
・framebufferが16bitから32bitに。

それでどうなるのかはよくわからない。RGBAになるらしいが、表示にニュアンスの差でも出る? 
aura One持ってないし。

いつものようにgloをKoboRoot.tgzだけでアップデートしてみたが、表示が乱れて使い物にならなかった。

Mark6向けなのでgloHDならいけるかもしれないが、試してない。スクリーンセーバーがダメっぽいし。


◎いつものパッチ
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=282876


◎カスタム・スクリーンセーバーは動かないようだ
https://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=255238
最後のほうのポスト参照。


KSM使っている人はパッチを当てる必要があるらしい。KSMのスレッド参照。


gloHD使ってて改めて思うが、やはりベゼルの段差が邪魔だ。分厚いし、ページめくりしにくい。6インチのフラット復活希望。
tolino Vision HDあたりをkobo用にアレンジして発売してくれないかな。製造は同じNetronixだし。300ppiでフラットにするだけでいい。防水も、背面タップでページめくりのギミックもいらない。

Kobo本社のプレスリリースでははaura Edition2の日本発売は今年1月のはずだったが、楽天からは何の音沙汰もない。日本発売はないのかも。まあ売れないだろうし、そもそもあのスペックの端末を売る意味がわからないし。

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2017年1月24日 (火)

Koboのtolino参入、認可がおりた模様/やはりドイツでもアマゾンがトップだった

koboのtolino参入が決まった模様。

tolino買収という言い方は誤解を招きそうなのでやめた。tolinoはあくまでもtolino同盟が所有しているのであって、Koboが買い取ったのはドイツ・テレコムの持ち分。それでテレコムの代わりにプラットフォームの技術面を担当するという話だから。つまりはtolinoに加わると言ったほうが正確じゃないかと思う。koboがtolinoで本を販売するわけではないし、おそらく各書店への本の取次、納入業者になるわけでもない。

ドイツの連邦カルテル庁から情報が出たようだ。
lesen.to: Kartellamt nickt Kobo-Einstieg bei Tolino ab

カルテル庁のプレスリリース:
Bundeskartellamt gibt den Erwerb der E-Book-Plattform „tolino“ durch Rakuten frei

英語はこちら
Bundeskartellamt clears acquisition of "tolino" e-book platform by Rakuten

認可はおそらく出るだろうという予想の通り。
Koboは世界展開しているが、ドイツでのシェアは低く、tolinoといっしょになったところで健全な競争の妨げにならない、と。

上記カルテル庁のプレスリリースには、今回の売買は端末販売を含む技術プラットフォームが対象だが、それによる電子書籍市場への影響も考慮した、とある。それで、アマゾンやtolino、koboのシェアがどの程度なのかについても言及されている。それによると、

書籍全体の中で電子書籍が占めるのは約5%程度。電子書籍販売のトップはアマゾンで、50%近くを占める。tolino加盟書店の販売を合わせると、市場全体の30%から40%を占め、koboは1桁台、とのこと。

専用端末についても、tolinoはアマゾンに次いで2番目に売れているが、kobo参入によってtolinoの市場でのポジションが大きく変わることはない、と。

そんな感じのことが書かれている。

tolinoがアマゾンを抜いたという話も以前あったが、あれは前の記事(「tolinoの補足情報」)でも言ったように、消費者に対するアンケートに基づくもの(2014年)。今回のカルテル庁のプレス・リリースにある数字のほうが正確なはず。

アマゾンに対抗するのが目的だと公言し、書店同士が手を組んだのがtolino。アマゾンに客を奪われるという危機意識があったからこそ、書店が協力できたらしい。アマゾンに次ぐシェアを獲得しているし、少なくともkoboストアがドイツに食い込む余地は与えなかったとは言える。


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2017年1月22日 (日)

ドイツ語多読本: Lilli L'Arronge: Chaos in Bad Berleburg

ひとつのことから連鎖的に事件発生、カオスが現出する・・・?

Lilli L'Arronge: Chaos in Bad Berleburg

79語

バナナを食べてしまった男の子、皮を道路に捨てる。「そんなことしちゃだめでしょ」と言う(たぶん)姉。どうして?と尋ねる弟に姉は言う、「想像してみて」と・・・。

それで、男の子の頭から浮かんでくる吹き出し、その中にバナナの皮を踏んづけようとしている一本の足。

想像が進み、次には足を滑らせたサラリーマンの全身像、バナナの皮は通りかかったおばあさんに向かって飛んでいく・・・そんな吹き出しになって、男の子はほくそ笑む。

次の吹き出しでは、サラリーマンは転んだはずみに立てかけてあったハシゴの頭をぶつけ、バナナの皮はおばあさんの顔に当たり、買い物袋を落とす、そこに手押し車を押してやってくる男性・・・。

というふうに、想像が進むごとに吹き出しも大きくなり、描かれる人や物もどんどん増えていく。最初は怒っていた姉も想像の加速ととも楽しくなっていき、カオスの度も増していく。最後は想像はページ全体に広がり、吹き出しもなくなって、弟と姉はカオスとなった町の中にいる・・・。そんな絵の構成。

バナナの皮に滑ったらハシゴを倒して、上からペンキ缶が落ちてきて、通りかかった人の頭に・・・。とベタな展開だが、それぞれの出来事が連鎖的にさらに事件を引き起こしていくので、それを一枚の絵にして見せられると、絵のいたるところでドラマが展開していて、とてもにぎやかで楽しい。目で物語を読む絵本。


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2017年1月17日 (火)

ドイツ語多読本: Karsten Kruschel: Was geschieht dem Licht am Ende des Tunnels

ドイツSF大賞のベスト短編を紹介したので、同じくSFのKurd Laßwitz賞のほうも。
2016年のドイツ語ベスト短編。

Kurd Laßwitz Preis  2016 Beste deutschsprachige SF-Erzählung

これも電子書籍で読める。紙の本しかなかったら読まなかっただろう。
NOVA Science Fiction Magazin 23: Themenausgabe Musik und Science Fiction

これに収録。

NOVAは半年に一度出ているドイツ語の短編SFのアンソロジー、ということのようだ。
この号は「音楽とSF」というテーマで統一しているが、巻頭言にはテーマ設定をしたのはひさしぶりだとあったので、普段はただの短編アンソロジーなのだろう。ドイツSF大賞ベスト短編が掲載されていたphantastisch!は、出版の動向やら作家のインタビューやら、ハーラン・エリスンの特集記事などがあって、雑誌だったが、こちらは定期刊行のアンソロジー、あくまでも作品メインのようだ。

受賞作の"Was geschieht dem Licht am Ende des Tunnels"は、SF怪奇譚みたいな感じか。
語数は1万語を越える程度の分量。

表題にトンネルとあるが、道路や鉄道のトンネルではなく、坑道。ただし掘るのはゴミの山。廃物が積み重なり、層となった地面に縦穴を掘り、さらにいろいろな深さで横穴を掘っていく。採掘場の周りでは、掘り出された廃棄物から金属やプラスチック類を抽出する工場が煙を吐く。つまり、資源が枯渇した未来の話。

主人公はそんな採掘場の坑夫。冒頭の場面も坑道の中。もちろん資源探しが仕事だが、主人公にはもうひとつ目的がある。それは昔のCD、できればレコードの発掘。この場面でも、見つけたCDにテスターをあてて再生してみたりしている。すると、何か視界をよぎるものがある。いっしょに坑道に入っているパートナーの女性を見ると、彼女も見たらしく「手だ」と言う。そして、なぜか英語で何かを口走る。何を言ったのか聞き返してみるが、彼女は何も答えない。それで得体の知れない恐怖を感じつつ坑道を後にする・・・。

そんな冒頭だが、この女性が口走った英語に注がついていて、Tear For Fearsの"Mad World"の歌詞の一節だと読者にはわかる仕組み。音楽とSFというテーマに合わせた趣向なのだろう。不可解な現象が起こるときに主人公の直接頭の中に響いてきたりと、重要なポイントでいろいろな歌が出てくる。古くは1960年代から2006年あたりまでの歌、十数曲。

その後、主人公は別のパートナーと組んでお宝を発見。その坑道の採掘権を主張、会社に認めさせる。ところが、冒頭場面でいっしょに坑道に入っていた女性がやってきて、あの坑道を会社は放棄するのだと言う。どんな機械を使ってもマッピングできない異常な地域にあるため危険だからだと。そして、これから主人公が入ろうとしている坑道も同じ地域にあるのだ、と警告する。もちろん主人公は聞く耳を持たず、問題の坑道に入っていく。そこで目にするのは・・・?

そんな感じの話だが、不可解な現象を説明する理屈がないので、SFというよりは怪奇譚というか怪異譚というか。用途もわからなくなってしまった機械の残骸や数知れない廃物が積み重なり、押し潰された闇の中を穴を掘って進んでいく、そんないかにもな舞台に出現する不可解な出来事。それは音楽の亡霊か何かなのか?? 随所に現れる歌は闇の中の不可解なものからのメッセージとも読めるようになっている。

状況の異常さや恐怖感、その場の緊迫感などはあらすじの説明では伝わらない。それは描かれる細部に宿るものだろうから。

2つのSF賞のベスト短編を紹介したが、長編はドイツSF大賞もラスヴィッツ賞も2016年は同じ作品が受賞。Andreas Brandhorstの"Das Schiff"。最初のほうを少し読んだかぎりではおもしろそうだが、今は中断。長編はできるだけ一気に読まないとダメなんだよなあ・・・。


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2017年1月11日 (水)

ドイツ語多読本: Frank Böhmert: Operation Gnadenakt

2016年ドイツSF大賞(Der Deutsche Science-Fiction-Preis)、ドイツ語ベスト短編受賞作。

Laudatio 2016 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte

"phantastisch! "という雑誌の57号に収録。電子版があったので読んでみた。

phantastisch! Ausgabe 57 (1/2015)

買ってから見つけたのだが、全編掲載しているサイトがあった。
TOR ONLINE: "Operation Gnadenakt (Frank Böhmert)"

ショート・ショート的な長さ。2ページ程度か。まあ、雑誌自体350円ぐらいだったしいいか。他の記事もあるし。

時は2033年。アメリカ大統領が定例の国防省長官との会談時に、"Gnadenakt"プロジエクトについて教えろ、と言う。前大統領からの引き継ぎの手紙に、奈落の底ばかり見て暗鬱になり、まともに未来を見られなくなったら、国防長官に聞いてみろとあったのだ・・・。
それに対して国防長官が言うには、それは最後の最後、藁にもすがる気持ちになった時にしか頼ってはいけないと、手紙にありませんでしたか、軍の頂点にいる大統領であっても知らなくて済むこともあるんですよ、と。

そんなふうに気を持たせてから語られる”Operation Gnadenakt"とは?
Gnadenaktは普通は恩赦とか大赦とか訳されるもの。で、誰に対するGnadenaktかというとヒトラー。つまりヒトラーは生き続けている。死を免れるんだから"Gnadenakt"というわけだが・・・。

当時のトルーマン大統領とその側近は死ぬだけでは罪の償いには足りない、比類のない罪には比類のない処罰を、と考えてヒトラーを生かし続けることにする。アメリカ最先端の医療技術を投入し、生かし続けること98年、今ではヒトラーの年齢は150歳にもなる。もちろん、たとえば延々と拷問を繰り返してやろうなどと考えて生かし続けているのではない・・・。

そんな感じの話。
罪に見合った正当な処罰を与え、正義を行なっているのだという側が、罰を受けるべき非道な悪の側とやっていることは同じになっている、そんな皮肉なのか、これは? そんな疑問符つきの感想にしかならないので、自分で読んで判断してください。

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2017年1月 8日 (日)

tolinoの補足情報

これも前回の続きで、ドイツ・テレコムの代わりにkoboが参入したtolinoの情報。

日本には直接関係ないだろうが、ドイツ・テレコムがtolinoの中に何をしていて、koboがこれから何を引き継ぐのか、その概略がわかる資料があった。

JPO、日本出版インフラセンターというところが2015年に行なったドイツ視察報告。そこにtolinoの情報がある。
http://www.jpo.or.jp/topics/index.html
【2015.08.03】「ドイツ出版業界実態調査報告書」のところにpdfの報告書

ドイツ・テレコムがtolinoのエコシステム内で担っていたのは、
・端末の開発・提供
・クラウドの開発・提供
・iOS、アンドロイドのアプリ開発・提供
・コンテンツ・ハブ=電子書籍の集約、管理(出版社から、一部は取次のLibri経由で書籍を入手)
だそうだ。これをkoboが引き継ぐのだろう。

そして各書店側
・ウェブ・ストア、それから端末とアプリのストアのフロントエンドの開発は各書店が行う。中小書店は取次のLibriが提供する電子書籍販売サイト・アプリサービスを利用できる。

これがtolinoのエコシステムのようだ。

tolinoで本を売るのはあくまでもtolinoに加盟する各書店であってkoboではないし、もちろんtolinoという電子書籍販売サイトがあるわけでもない。

tolino同盟("Tolino-Allianz"は頭に「いわゆる」がつけられることもあるので、正式な団体名称ではないのかも。上の資料ではtolinoアライアンスと英語にしている)を作ったのは、アマゾンのkindleに脅威を感じたドイツの大手書店とドイツ・テレコム。大手書店だけでなく、今では取次のLibriが提供するtolinoの書籍販売用サービスを使って、中小書店もtolinoで電子書籍販売が可能。

おもしろいのはアプリ利用者が少なく(5%程度)、専用端末の需要のほうが大きい、とされているところ。
それはおそらくtolinoがリアル書店の連合だから。ドイツ国内の1500店舗(ドイツ周辺国も入れると1800店舗)で端末が店頭販売されていて、実機を直接触ることができるし、直接サポートも受けられる。これはアマゾンやkoboにはない強み。当然、端末の認知度も日本とは比べ物にならないだろう。

詳しくは上記資料参照。

ひとつ補足しておくと、資料の中にもあるtolinoがアマゾンを越えたという2014年のGfKの統計は、売り上げ実数を反映したものではない。1か月にどれだけ本を買ったかというアンケート(2万5千人分)の回答に基づくもの(lesen.netの記事参照)。以後このような統計はなく、現在どうなっているのかはよくわからない。

-- 追記
もうひとつ補足。各書店への電子書籍の納入業者はTolino Mediaで、Thalia、Bertelsmann、 Weltbild、 Hugendubelの4書店が所有。こちらの記事参照。
-- 追記おしまい

--
koboがドイツ・テレコムの業務を引き継いだとして、それでどれだけ利益が得られるものなのか。ただ、自社のkoboストアはドイツではアマゾンとtolinoの2強にはさまれて、シェアを伸ばせていないのは事実のようだ。取り扱い書籍数もtolinoやアマゾンより少ないという話も聞く。koboストアで2強と戦うよりも、tolinoに入ったほうがいいということなのだろう。

たしかに今後は端末の販売は思い通りになるのかもしれない。tolino加盟書店の店舗に置くこともできる。上の資料によれば、端末を売っても書店に利益は落ちないらしく、全部koboの取り分になるのかもしれない。でも、端末販売でそんなに利益が出るものなのか。

ビジネスのことはよくわからないので、以下はユーザーの視点から、上の資料にないポイントを。

tolinoはアマゾンに対抗して「オープンなシステム」をセールスポイントのひとつにしている(tolinoのウェブページ参照)。
つまり、ユーザーを1つの書店に縛らない。独自フォーマットで独自DRMのアマゾンとは違うぞ、とでも言いたいのだろう。オープンなepubフォーマットを採用しているし、DRMはAdobe Digitaleditionsのものなので、tolinoのどの書店から買っても読めるし、tolino以外の端末でも読める(事実koboの端末でも読める。epub、Adobe DRM未対応のkindleは無理)。

もう少し詳しく言うと、端末は端末を買った書店にひも付けされている。そのストア用のフロントエンドがインストール済みの状態で販売されていて、端末のストアを変更することはできない。だが、各書店で購入した書籍のライブラリは結合することができる。だから別の書店で買った本も端末にダウンロードできる、ということらしい。クラウドが統一されているのでこういうこともできるのだろう。

また、ストアがなくなったり、ストアのアカウントを抹消したりしても、DRMがAdobeなので、Adobe Digitaleditionsで本をPCにダウンロードしてあれば、本が読めなくなることはない。

いろいろな書店から本を買えるのはいいと思うかもしれないが、日本のような電子書籍の割引はない。電子書籍もドイツでは価格が固定されているので、勝手に書店が割引販売できない(基本最低でも発売から18か月)。これも上記資料の「価格拘束法」の項目参照。書店毎にバーゲン本はあるようだが、koboのような全書籍〇〇%引きみないなものは不可能だろうし、新刊はどこの書店でも値段は同じ。

それからkoboにないサービスとしては、tolinoのクラウドがある。自分で作成したドキュメントをクラウドに保存、端末にダウンロードできる。これはkindleにあるサービスなのでアマゾンを意識したものだろう。


各ストアが自社のアプリ、端末でしか本を読めないようにして、客を囲い込もうとしている日本とは大違いのドイツの電子書籍。

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2017年1月 3日 (火)

Koboがtolinoを買収(続報)

前回の記事の続報。

Koboとドイツ・テレコムから正式にプレスリリースが出た。
Kobo: Kobo becomes new technology partner at the tolino alliance
ドイツ・テレコム: Wechsel des Technologiepartners in der tolino Allianz
言語は違うが、内容は同じ。

プレスリリースの最初に箇条書きが3点あるのでそこだけ。

・ドイツ・テレコムはtolinoのエコシステムをKoboに売却
・tolino同盟は技術パートナーとしてKoboを迎える
・tolinoブランドはドイツ語圏では存続する

なので、正確には楽天というよりKoboが、これまでドイツ・テレコムが担ってきたtolinoのエコシステムを買う、ということらしい。
リリース本文の語を使うと、「ドイツ・テレコムからtolinoの技術プラットフォーム」を買い取る。ドイツ・テレコムは、アメリカの競争相手(アマゾン)に対抗できるほどの端末とエコシステムの開発に成功したので、プラットフォーム・ビジネス売却の時期だと考えた、とかなんとか。

そして、tolino同盟(Thalia、 Weltbild、Hugendubelの各書店、さらに協賛パートナーとしてOsiander、 Mayersche 、Libriの各書店からなる)からドイツ・テレコムが抜け、その穴をKoboが技術担当として埋めるということのようだ。

tolinoユーザーはこれまで通り書店、アプリ、クラウド、ドイツ・テレコムのWiFiのHotspotを利用できる。

以下のサイトを参考にして補足。
lesen.net: Kobo übernimmt Tolino: Fragen und Antworten
tolino同盟のお偉いさんとKoboのCEOによるプレス会見があって、その内容を紹介している。

the-digital-reader.com: Four Questions on the Kobo-Deutsche Telecom Deal
直接Kobo関係者へいくつか質問しているようだ。

気になるところをまとめると、
・tolinoブランドは存続するし、tolino端末の販売も続くが、これからは端末の設計・開発はKoboが行う。
(つまり、他の国ではKobo端末として売られるものが、ドイツ語圏だけはtolinoブランドとして販売される、ということらしい)

・tolinoの各書店とKoboのストア(プラットフォーム)の統合はない。
ファームウェアは別だし、KoboユーザーはKoboのサービス、tolinoユーザーはtolinoのサービスを利用する。

・ドイツの既存のKoboユーザーに対してサービスは継続するが、将来的にはドイツではブランドはtolinoに一本化される。新モデルはtolinoブランドでしか出なくなる。

・あと、ハードウェアとアプリの開発体制を二重のままにしておくのは無駄なので、いつかKoboとtolinoの統合もあるんじゃないかとthe-digital-reader.comは言っている。
(ついでに言っておくと、the-digital-reader.comの記事の最後("Mark my word:"のところ)はちょっと疑問。つまり、以後端末の製作はKoboが委託しているNetronixになるので、tolinoユーザーはがっかりするかもしれない、というところ。というのも、tolinoもNetronixで作られているから)

要するに、ドイツ周辺ではKoboに見切りをつけて、tolinoに乗り換える、ということか。ストアの統合なんて面倒そうなこともしないみたいだし。

日本にいる身としては、端末の開発、今後のkoboのラインナップがどうなるかが問題。
今のtolino端末はいずれkobo製の新モデルに置き換わっていくのだろうと思うが、今後の開発にtolinoのノウハウが生かされるのかどうか。端末の技術的な部分の売買か譲渡か知らないけれども、そのあたりはどうなっているのだろう。どう見ても6インチの端末はtolinoのほうがレベルが高いし。

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2017年1月 2日 (月)

楽天がtolinoを買収するらしい

tolinoはドイツの電子書籍端末。ドイツでは本の売上がアマゾンを超えたみたいな記事も出たことがあるtolino。そのtolinoを楽天が買収するらしい。

lesen.net: Kobo vor Übernahme von Tolino
allesebook.de: Rakuten Kobo will Tolino übernehmen
the-digital-reader.com: Rakuten Kobo in Deal to Acquire Tolino from Deutsche Telecom – Wait, What?

情報はドイツの連邦カルテル庁の公示にあったもの。これはカルテル庁が審査を行っているという公示。

日付22.12.2016のB6-82/16参照。
楽天がドイツ・テレコムからtolinoの"eRea­ding Ser­vice, eBook-Le­se­ge­rä­te"を取得する、ということらしい(Lesege­rä­teは読書端末)。

審査中ということは当然両者の話し合い、合意は済んでいるということだろう。上の記事によれば、Koboはドイツではたいしてシェアがないので、審査は通るだろうとのこと。審査期間は1ヶ月。


企業の買収やら合併やら、それがどんなものかよくわからないし、楽天の狙いもわからない。tolinoは日本でストア展開してないし、ドイツで事態がどう変わるのかもとりあえず日本には関係ない。ただ、ユーザーとしてはtolino端末の行方は気になる。

tolinoはドイツ・テレコムや大手書店などが共同して作ったもの。端末の開発は当然ドイツ・テレコムが担当している。

上記リンクのlesen.netは、ドイツ・テレコムが手を引くのだから、tolinoは販売終了モデルになるかもしれない、と言っている。楽天がkoboとtolinoの2系統のハードウェアとファームウェアを維持し続けるとは思えない、だそうだ。

allesebook.deはこのあたりについてははっきり言っていない。ただ、今後端末のランナップは変わるかもしれないとは言っている。楽天は性能の劣るaura Edition2で6インチモデルの競争から撤退したが、tolinoはkindleに対抗できる端末だから、と。
(言い換えると、tolinoの端末を継続して売る気がある、もしくは、tolinoの技術を使った新6インチモデルが開発されるだろう、ということか?)

the-digital-reader.comの記事は読み取れているかどうか自信がない。
tolinoはパートナーの書店にアプリとストアのプラットフォーム、それから端末を提供しているが、楽天はtolinoを丸ごと全部買うわけではない。ドイツ・テレコムがtolinoに対して行っていたサービス・プロバイダー業務を買収するのではないか。つまり、楽天はtolinoのアプリとウェブサイトを動かすソフトウェアを手に入れるのであって、koboとtolinoのプラットフォームの合併はあるだろうが、それぞれのブランドは別々に維持される。もちろん、楽天がkoboやOverDriveのようにtolinoも別会社としてキープ、独立運営させる可能性もある。
こんな感じ?

というわけで、日本にどんな影響があるのか、あるいはないのか、まだよくわからない。

できれば、ダメになってしまったkoboの6インチ端末をなんとかして欲しいところ。
gloHDは日本ではまだ売られているが、海外では販売終了しているので、いずれ消えることは決まっている。新しいaura Edition2はスペックを落としたモデルだし。

実際、ミドルレンジのtolino shine 2 HDは300ppiでgloHD、Kindle Paperwhite相当、最上位モデルのtolino vision 4 HDは防水・ブルーライトカット仕様はaura Oneと同じで6インチ。koboの弱点、6インチモデルを補えるはずだが・・・。
それに、tolinoはWaveform技術を使っているはずだから、koboみたいに6ページごとにリフレッシュを強制されることもない。昔の6インチauraでそれは一度乗り越えたはずなのに、以後は最上位モデルですら6ページのリフレッシュに逆戻りしたkobo。

tolino買収でkoboの端末のラインナップ、開発に影響があるのかどうか、そこが知りたい。それがなかったら、日本では何の変化もないかもしれない。koboとtolinoのストアがいっしょになったところで、tolino提携ストアがそもそも日本にないんだから。

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