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2017年1月11日 (水)

ドイツ語多読本: Frank Böhmert: Operation Gnadenakt

2016年ドイツSF大賞(Der Deutsche Science-Fiction-Preis)、ドイツ語ベスト短編受賞作。

Laudatio 2016 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte

"phantastisch! "という雑誌の57号に収録。電子版があったので読んでみた。

phantastisch! Ausgabe 57 (1/2015)

買ってから見つけたのだが、全編掲載しているサイトがあった。
TOR ONLINE: "Operation Gnadenakt (Frank Böhmert)"

ショート・ショート的な長さ。2ページ程度か。まあ、雑誌自体350円ぐらいだったしいいか。他の記事もあるし。

時は2033年。アメリカ大統領が定例の国防省長官との会談時に、"Gnadenakt"プロジエクトについて教えろ、と言う。前大統領からの引き継ぎの手紙に、奈落の底ばかり見て暗鬱になり、まともに未来を見られなくなったら、国防長官に聞いてみろとあったのだ・・・。
それに対して国防長官が言うには、それは最後の最後、藁にもすがる気持ちになった時にしか頼ってはいけないと、手紙にありませんでしたか、軍の頂点にいる大統領であっても知らなくて済むこともあるんですよ、と。

そんなふうに気を持たせてから語られる”Operation Gnadenakt"とは?
Gnadenaktは普通は恩赦とか大赦とか訳されるもの。で、誰に対するGnadenaktかというとヒトラー。つまりヒトラーは生き続けている。死を免れるんだから"Gnadenakt"というわけだが・・・。

当時のトルーマン大統領とその側近は死ぬだけでは罪の償いには足りない、比類のない罪には比類のない処罰を、と考えてヒトラーを生かし続けることにする。アメリカ最先端の医療技術を投入し、生かし続けること98年、今ではヒトラーの年齢は150歳にもなる。もちろん、たとえば延々と拷問を繰り返してやろうなどと考えて生かし続けているのではない・・・。

そんな感じの話。
罪に見合った正当な処罰を与え、正義を行なっているのだという側が、罰を受けるべき非道な悪の側とやっていることは同じになっている、そんな皮肉なのか、これは? そんな疑問符つきの感想にしかならないので、自分で読んで判断してください。

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