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2016年9月

2016年9月30日 (金)

ドイツ語多読本: Walko: Die verlorene Weihnachtspost

Hase und Holunderbärシリーズ。紹介するのは2冊め。
(1冊めは「Walko: Der Dieb in der Heide」)。

今回はクリスマスの話。まだ早いけれども、そろそろクリスマス関連の新刊が出てくる時期ではある。

Walko: Die verlorene Weihnachtspost

1803語

もし売り切れていたら、こちらの新しい版で。

ようやく目的地にたどり着いて、クリスマスツリーに見入っているウサギとクマのコンビ。暗く寒い夜の、雪降る森を抜けてきただけに、暖かな光にほっとする。



クリスマス当日、楽しい夜までにはまだ時間があるぞと、雪合戦を始めるウサギとクマのコンビ。そこに空から手紙が落ちてくる。見ると郵便配達のハトがカバンを抱えて空を飛んでいる。自分たち宛の手紙と思いきや、病気のマーモットがサンタクロースに宛てて、うちに来て欲しいと書いた手紙。このままではサンタクロースに手紙が届かないぞ、と心配になる二人。
それで手紙をサンタクロースに届けようと、サンタクロース探しの冒険がはじまる・・・。

でも、どこをどう探したものか?とまず考え、推測を立てから行動するので、ストーリーも締まって安心できる展開。トナカイは森のエサ場に立ち寄るはずだから、そこを目指そう・・・。そりに食料を積んで出発。

最初は元気いっぱい、凍った川を飛び越えたり、山道を登ったり下ったり、そして、森の動物たちが雪の城を作って雪合戦をしているところに突っ込んでしまったりと、にぎやかで生き生きとした絵とともに楽しい展開。

森のエサ場についてから、先行きに暗雲が立ち込め始める(実際雪も降り始める)。
トナカイのそりの鈴の音が聞こえたと思ったら、エサ場には寄らず通りすぎてしまうのだ。あわてて追いかけるものの、道は二股に分かれている。右か左か・・・?

そして、地面に大きな亀裂、橋は見当たらない。どうにかそりでジャンプするものの、そりは粉々に・・・。

さらに降り続く雪で、クマの腰から下は雪に埋まり、歩けなくなっていくし、雪でサンタクロースのそりの跡も見えなくなっていく。

それだけではない。とうとう夜になってしまう。吹雪の中、周囲も見えなくなっていく・・・。それでも、かわいそうなマーモットを思ってあきらめない二人。

そして、なんとかマーモットの家にたどり着いたと思ったら、サンタクロースのそりはマーモットの家から遠ざかっていく。ああ、間に合わなかったか・・・。

と、はらはらさせつつも、がっかりな結末にはならないので安心。ウサギとクマのコンビがマーモットの家に行ってみると、マーモットの親子はなぜか二人のことを知っているのだ!! その訳は・・・?

もちろん、その答えはサンタクロース。最後まで読んで、あの時のあれはそういうことだったのか、と伏線がはられていたことがわかる、巧みなストーリー展開。さすがサンタクロース、憎いぜ、という結末。

--
このシリーズは品切れで入手できないと思っていたら、3冊を1巻にまとめた合本板が2冊出ていた。値段も安いので、かなりお得感がある。
ただし、このクリスマスの話はどちらにも収録されていない

Walko: Hase und Holunderbär. Bärenstarke Freundschaftsgeschichten

Walko: Hase und Holunderbär - Die schönsten Abenteuer

このシリーズで読んだことがあるのはたしか8冊。合本板に収録されていないのがもう1冊あるが、これもクリスマスの話。クリスマスの話は単体でも売れるという計算?


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2016年9月25日 (日)

ドイツ語多読本: Ole Könnecke: Die Abenteuer von Lester und Bob

アヒルとクマのコンビのユーモラスな絵本。二人の関係性がおもしろい。

Ole Könnecke: Die Abenteuer von Lester und Bob

976語

アヒルのLesterのほうが名前を大きく書いたプラカードを持ち、クマのBobのほうが控えめな自己主張。ここからも予想できるが、Lesterは格好つけたがりでいろいろと事件を起こす役回り。Bobはおっとりしたお人好し、ちょっと頭の回転も含めてのんびりしすぎ?

本を開くと、本編の前にLesterとBobの紹介ページ。これも軽くストーリー仕立てになっている。
二人並んで歩いていると、アヒルのLesterは通りかかった人に声をかけらたり、女姓から憧れの眼差しで見つめられたりと、人気者ぶりが紹介される。そして、ようやくBobの紹介の番になったかと思うと、Lesterはさっさと行ってしまい、Bobはけっきょく名前しか紹介されないままLesterを追いかけるという、そんなコミカルな紹介ページ。

こう言うと、Bobが貧乏くじを引く役回りかと思うかもしれないが、かならずしもそうでもないのが二人の関係のおもしろいところ。

実際,最初の話は、Lesterが自分の賢さを鼻にかけて、しっぺ返しを食うストーリー。
世界レベルのブール(これか?ペタンク)のプレーヤーだというLester。腕前を見せてやろうとBobといっしょに出かけて行くが、ゲーム場はもうワニに使われている。そこでLesterは、ワニはオツムが弱いから緑色に体を塗ればわかりはしないなんて、いいところを見せようとする。だが雨が降ってきて・・・。
友達のピンチなのにBobがのんびりしすぎなのがおかしい。
Bob:「その絵の具は水で落ちるよ」
Lester:「ありがとう、Bob」
Bob:「ワニに食べられちゃうよ」
Lester:「黙れ、Bob」
と、ワニから逃げるLesterをあんなに足が速かったのか知らなかった、なんて最後までのんびり眺めているBobなのだった・・・。

第2話は今度はBobがしてやられる番。
Bobはケーキを焼くのが得意。焼き上がったケーキを脇に、鏡を見ながら練習している。
「Lester、今回はあげないよ、ひと切れだってあげないからね」
と、Bobの人柄、Lesterとの関係を浮き彫りにするセリフをひとしきり練習して満足気なBob。でも、それを窓から覗いているLesterなのだった。Lesterはどうやってケーキをせしめるのか? Bobの人の良さがよく出た話。

同じパターンのケーキ攻防戦はもう一話あって、こちらも二人のキャラクターがよく出た楽しい話。

本編は全部で6話。
右のページに文章、左のページがイラストという構成。
文章のページは1行から10行程度とまちまちで、一番長くて1ページに60語、70語程度か。対象は6歳からのようだ。絵はコミック調でユーモラスで見やすい。もちろん、絵と文章は補完しあっていて、両方見ないとストーリーの楽しさは十分に味わえない。

なんだかんだあっても、なぜか仲のいい二人・・・。

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2016年9月17日 (土)

Kobo: aura OneでのManga、Comicsレビュー動画

Kobo aura Oneでのマンガと海外コミックの動画(英語)。

Kobo Aura One Comics and Manga Review (Video)

試しているのは英訳のマンガ(「進撃の巨人」)(koboストアのもの)、海外のコミック(同じくkoboストア)とよそのcbzかcbrの海外コミックの3冊。

レビューの内容を簡略に。
・画面が大きく、表示もシャープで見やすいが、マンガ・コミックに関してはソフトウェアの最適化が必要だろう。ページめくりが極端に遅く、ピンチ操作でのズームがほとんどできないものもあれば、速くページがめくれて、スムーズにズームできるものもあって、本によってパフォーマンスの差がある。

・マンガとコミックではランドスケープ・モード(横置き表示)ができるが、スクロールとピンチ操作でのズームが快適ではないので微妙。

・ページをめくってもズームレベルが変わらないところはよい。

・今回試したcbz/cbr形式のコミックはOKだった。大画面なので読みやすい。が、スクロールとピンチ操作でのズームは使い物にならない。

--
こんな感じか。
個人的な感想を言うと、マンガやコミックは画像のデータ・サイズによってページめくりのスピードは変わるだろう。だから、本によってパフォーマンスが変わるのは当然と言えば当然。レビューにはそのあたりの考慮がない。

また、海外のコミックはもともとの判型が大きそうだし、おそらくカラーだから、ファイルサイズも大きくなりそう。だから、マンガよりページめくりが遅くなるだろうと思う。

海外のレビューはスクロールやピンチ操作でのズームにこだわるが、それはたぶん海外のコミックは判型が大きいせいなのか、文字がとても小さくなってしまうからかもしれない。マンガより文字が細かいので、ズームの必要が出てくるのかも。

ズームしたければ、拡大したい箇所をダブルタップしたほうが実用的だろうと思うが、なぜか海外のレビューはピンチ操作でズームにこだわる。戻す時もダブルタップするだけなのに。

上のレビューで触れられていない点を指摘しておくと、
Koboはマンガの場合、文字本と違って、毎ページリフレッシュするようになっている。aura Oneでそれが変わっているかどうか注目して見ていたが、変化はなかった。毎ページリフレッシュする(ストア購入のマンガ、コミックの場合)。

Kindleとの比較が気になる人に言っておくと、Kindleは毎ページリフレッシュしないから、Koboのほうがページめくりが遅いのはもうこの時点で決まっている。比べてみるまでもない。リフレッシュ、つまり全画面を白黒反転させてフラッシュしてから描画するわけだから、時間がかかるのは当然。たいていのレビューはリフレッシュを無視して、一律にページめくりの速さを論じがち。

とはいっても、リフレッシュが多いこと自体が欠点。文字本での6ページ毎のリフレッシュもそうだが、これはkoboの昔からの弱点で、改善の兆しはない。

動画の最後、3冊目のcbz/cbr(どちらかは不明、サイズは88MBと言っているようだ)のコミックは1ページ毎にリフレッシュしていないから、ページめくりはスムーズに見える。海外ではcbz/cbrで売られているコミックがあるようだが、日本ではcbz/cbrは自炊本だろう。


ついでなので、Kindle PW3(2015)との比較動画も。

Kindle vs Kobo Aura One Comparison Review (Video)

文字の本のページめくりは、動画を見た感じでは、若干遅い程度か? 我慢できるレベルな気はする。

ただ、タッチの反応が悪いのが気になる。タップしてもページがめくれないことがたびたび。
このaura One、最新ファームウェアにアップデートしてあるのかなあ。

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2016年9月13日 (火)

Kobo: cfw本棚作成スクリプト FW4.x対応テスト

FW4.0.7523でcfwの本棚スクリプトが機能しなくなったのでちょっと修正テスト。

といっても、このFWはaura One専用だし、それ以外のモデルで4.0.7523をインストールする物好きがいるのかどうかわからないが、とりあえず試しに。

修正は2点だけ。
・contentテーブルの"___UserID"のカラムでremovedという値が入るものが出てきたので、これを除外するようにした。
・Shelfテーブルに"_SyncTime"というカラムが追加されたので、その対応。よくわからないので空にしておいた。
他にも直したほうがいいところはありそうな気もするが・・・。

いちおう本棚は作れるようになった。

ダウンロード: createbookshelf.sh

これをcfwのものと差し替える。
データベースがわかっている人に直してもらうのが一番いいが、まあとりあえず。

cfwはインストールしていないので、ランチャー経由でスクリプトを動かして確認している。それからaura Oneは持っていないので、gloでテスト。

aura One以外のモデルにもFW4.xがリリースされたら、ランチャーは対応させるつもりではある。

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2016年9月 9日 (金)

Kobo: FW4.0.7523アップデート(aura One)

新発売のaura Oneとaura Edition2(日本未発売)限定のファームウェアアップデート。
日本でもすでに自動アップデートされるようになっているのかは知らない。手動でアップデートする必要がある人は下記のリンクからFWをダウンロード。

http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=277935

ダウンロードしたzipファイルを解凍。その中身を全部、PCにつないだaura Oneの".kobo"フォルダにコピー。USB接続を解除、ケーブルを抜く。それで再起動しておしまい。

あらかじめ言っておくが、aura Oneは持っていない。gloにインストールしてみた。

gloはMark6ではないが、KoboRoot.tgzのみ(upgradeフォルダは使わない)でアップデートすれば、モデルが違っても基本的には大丈夫だろうと言われている。gloは普段使わないただの実験機なので、試しにやってみただけ。不具合が出る可能性があるので、aura One以外はアップデートは推奨しない。

mobilereadのどこかのスレッドで、davidforさんが来月FW4.1が出るだろうと言っていたので、それまでaura One以外は待つのが賢明。それにcfwユーザーはアップデートは見送ったほうがよさそう(後述)。

○アップデート内容(上記リンクの内容+補足)
・新発売の2モデル(aura Oneとaura Edition2)限定
・OverDriveサポート。aura Oneのみで使える。(日本ではそもそも使えない)
・ライブラリと同期をサーバーの変更に合わせてアップデート(?詳細はわからない)
・ホーム画面下のメニュー「ライブラリ」のリストから「プレビュー」削除
・ホーム画面の「ライブラリ」 > 「本」の「表示」フィルターに「購入した本」と「インポートした本」が追加(これまでは「すべて」「読書中」「未読」「読了」の4つだった)
・「設定」 > 「ライブラリ設定」の「ダウンロード済みの本のみ表示」と「リスト表示に表紙画像を含める」のオプションが消えた。いつか復活するかもしれない。
・フランス語辞書が検索可能に(たぶん辞書を開いて検索するという意味だろう)
・「コレクション」の並べ替えから「追加日」が削除(すでにないと思うが?)
・フォントの大きさ変更その他で使うスライダーのスタイル変更(ハンドルボタンの左右でバーの太さを変えている)
・ホーム画面下のメニューの名称変更。「ライブラリ」が「Read」に(日本語では変わらず「ライブラリ」のまま)
・Windows 10 Anniversaryリリースに伴う変更?(ここのところ読解できず)
・ライトのポップアップ・ウィンドウの両端のボタン、5%までは1%刻みで増減、それ以降は5%刻みで増減(これまでは10%刻みだったはず)
・pdf、epub、kepubの動作に変更はなし

・sickel復活
フリーズすると自動的に再起動させる仕組みだが、これはかつて導入されて、不評ですぐに引っ込められたもの。aura Oneはリセット・ホール(強制再起動)がないので復活させたのか?
ランチャーで1つ作業をしてからそのままにしておいたら、勝手に再起動した。sickelのせいかもしれない。
Koboのシステムはお世辞にも安定しているとは言えないので(だからフリーズに備えてsickelなんて余計なものが必要なんだろう)、リセット・ホールがないaura Oneはちょっと不安かなあ。

・ディスプレイ左サイドの上下スワイプでのライト調整を抑止
.kobo/Kobo/Kobo eReader.conf の [Reading]セクションに
 swipeBrightness=false
の1行を追加する(改行コードをunix式のLFにできるエディタで。Windows標準のエディタではダメなはず)。
gloでもOKだった。左側タップでページめくりする人には朗報。

その他:
・端末のロック
楽天のaura Oneの商品ページからダウンロードできるユーザーマニュアルにも書いている通り、端末のロックが可能になった。
gloでもできた。「設定」 > 「節電/プライバシー」と進むと、「端末ロック」がある。4桁の数字で暗証番号を。

○cfwユーザーに悪い知らせ
データベースに変更があったようで、そのままではcfwの本棚作成はできなくなった(ランチャーで確認)。cfwユーザーは要注意。たぶんデータベースがわかる人が見ればなんとかなるんじゃないかと思うが、Hackingスレはもう活動してないも同然だし。それとも、本棚が作れないとなると、さすがになんとかしようとする人も出てくるか。

当然、ランチャーでの本棚作成も不可。本棚作成以外の行間・余白の調節可能化などは大丈夫のようだ。

○BookReader.sqlite ??
.koboフォルダ内にこれまで見たことがない、BookReader.sqliteというファイルが出現。
拡張子はsqliteになっているが、データベースの形式になってないみたいだし・・・、ちょっと謎。


○パッチ
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=278009
現在テスト段階。
まだ試していない。他のモデルにファームが来てからでいいや。

正式版出た。以降はこちらのスレッドで。
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=278325

○スクリーンセーバー
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=255238
こちらもまだテスト段階か。aura Oneでの動作報告はある。
面倒なスキャンの必要はなくなったようだが、他のモデルについてはまだよくわからない。

aura One限定の話をすると、
ランチャー本体オリジナルのKoboLauncherが対応しないかぎり、aura Oneでは動かないと思う。
・軽快な動作で自炊派に人気らしいkoreaderも現在対応作業中のようだ。

aura Oneでいろいろ突っ込んだカスタマイズしたい人はもう少し待つ必要がありそう。

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2016年9月 7日 (水)

ドイツ語多読本: Ulrich Hub: An der Arche um Acht

ノアの箱舟のパロディ。
8歳以上対象の児童書。1万語程度あるので、少しドイツ語に慣れた人向き。大人も笑って読めるコメディ。

箱舟に8時に集合!!
Ulrich Hub: An der Arche um Acht

10000語

ペンギンが2匹、降っているのは雪ではなく、雨。洪水が迫っている。膨らんだトランクには実はもう一匹ペンギンが隠れている。というより、正確には気絶させられて詰め込まれている。ノアの箱舟と言えば、本来動物はつがいの2匹と決まっている。もう1匹の密航を企てるペンギン・・・。


地上のとある地方。どこを見回しても雪と氷、氷と雪、雪と氷・・・。もっとよく近づいてみると3匹のペンギンが見える。でも、近づきすぎてはいけない、魚臭いから・・・。そんな軽妙な語り口で始まる、3匹のペンギン(とノアの下働き、動物たちの監督役のハト)が繰り広げるコメディ。

3匹のペンギンのうち、チビのペンギンが状況を引っかき回し、笑いの種をまいていく役回り。
突然出現したチョウチョ(洪水の前触れか?)を見て、チビペンギンはなぜか「ぶち殺してやる」と言い出す。他のペンギンが「汝殺すなかれ」だぞと諌めるのは、あきらかに聖書のパロディ。
チビペンギン:「誰だ、そんなことを言うのは?」
他のペンギン:「神様だ」
チビペンギン:「ふーん、で、神様って誰?」
と、落語でいうなら与太郎的ポジションのチビペンギン。
他のペンギン:「神様っていうのはすごいんだ、周りを見てみろ、ここを作ったのも神様だぞ」
チビペンギン:(雪と氷しかないのを見て)「発想が貧困だったんだな」
簡略化すると、たとえばこんな調子。

だが、いろいろ責められているうちに「俺が悪いペンギンだっていうなら、そう作ったのも神様じゃないか」なんて独りごちるチビペンギン(本当はオスかメスかわからない)、最後には神に罰せられるぞ、天国に行けないぞと言われて、「神なんかいるもんか、そんなもの俺を怖がらせるためのでっち上げだ」と涙目でどこかへ行ってしまう・・・。

そこにやってくるのがノアの使いのハト。洪水があるから8時までに箱舟に来い、と。
地上の連中は喧嘩ばかりして、いくら言っても聞かないから、全部チャラにして一からやり直すために、神が洪水を起こす。ついては各動物2匹ずつノアの箱舟に乗せてやる・・・。
それでいそいそと荷造りをする2匹。一方は自分が品行方正だから選ばれたんだといい気になり、もう一方は自分が選ばれたのはただの偶然、ただもうラッキーだった喜ぶばかり・・・と考えることは対照的だが、最後には2匹ともチビペンギンを思い出してしまうのが気のいいところ。でも、チビペンギンをいきなり殴って気絶させて、トランクに詰め込むことはないと思うが・・・。

あとは、動物の監督役のハトの目をかいくぐって、どうやって箱舟にトランクを持ち込むか、また、箱舟の中で騒いでは、そのたびに怒鳴りこんでくるハトの目をどうやってごまかすか、その苦し紛れのドタバタを笑いながら読んでいくだけ。そのクライマックスはやはり、トランクにいるのは誰だと問い詰めるハトに、チビペンギンが中からなんと、「神だ」と答えるくだり。
「そんなこと信じられるか」とハトが言えば、「お前は神を信じないのか」と返すチビペンギン。
「神がトランクにいるわけない」とハトが言えば、「神は偏在するのだ、トランクの中にいて何がおかしい」と返す。
「お前が神だというなら証明しろ」とハト、「証明なしに信じる、それが神を信じることだ」・・・。
最後はボロを出してバレるけれども、口八丁とはこのこと。調子に乗って、今回の洪水はちょっとやり過ぎだったと、神の行為まで否定しだすチビペンギン・・・。

でも実は、登場キャラクターの誰一人として、神が起こす洪水を納得していないのがこの物語。ハトから洪水の話を聞いたペンギンたちの反応、「そんなことをしたら、みんな死んじゃうじゃないか」は素朴だが根本的な疑問。ノアの使いのハト自身も、人目か神の目をはばかってか、はっきりと口にしないだけだったりする。

最後はようやく陸地についた箱舟から降りていく動物たちの場面。ようやくノアも登場、ペンギンを見て、なぜペンギンを乗せたのだと聞く。ペンギンは泳げるじゃないかと。え、そういう問題なのか?なオチだが、それでもハトも一緒にラブ・アンド・ピースなラストシーン。


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2016年9月 3日 (土)

ドイツ語多読本: Andreaas H. Schmachtl: Tilda Apfelkern. Du bist mein größter Schatz

教会に住む白いネズミ、Tilda Apfelkernシリーズの1冊。
最初は教会という場所を活かした話もあったが、もう教会が出てくることはなくなり、Tildaと近所に住む動物たちとの四季折々の交流を描くシリーズになっている。

Andreaas H. Schmachtl: Tilda Apfelkern. Du bist mein größter Schatz

1162語

左の白いネズミがTilda Apfelkern。主人公。左の灰色ネズミが郵便局に住む女友達のMolly。
赤い耳がかわいらしい。

春になって、家の中に風を入れるTilda。大掃除をしよう!!
ところが、Apfelkernのネズミが代々住んでいる家、いろいろな物があふれかえって、ほとんど身動きもできない部屋もある。それでちょっと動くと何かにぶつかって、まともに掃除ができない。うんざりしたTildaは使わないものを処分することにする。でも、捨てるのはもったいない。そこで、外に出しておいて、欲しい人がもらっていけるようにしよう、と思いつく。

ところがそれを見て、Tildaが引っ越しをするんだと勘違いしたスズメたち。話はすぐに広まり、心配して集まってくる仲間の動物たち・・・・。

もちろん誤解はすぐにとけて、じゃあ私も僕もと家の中を整理しだす動物たち・・・。そういうストーリー。

いろいろな家具、寝具、衣服、食器その他が雑然とつめ込まれなながらも、居心地のよさそうな家の中の様子は、細かく描き込まれていて見ていて飽きない。水彩なのですっきりした印象。煉瓦の壁や木枠の窓など落ち着いたたたずまいの家の外面も、その周囲の緑の草木や花の様子も目に心地よい。そして、動物たちの姿もかわいらしい。(頭が大きめで、丸みを帯びた胴体がかわいらしいのは赤ちゃんの体型を想起させるからか?)

Tildaはどの本でもだいたいみんなにお茶やケーキをふるまったりして、家庭的なしっかり者ポジション。そんなTildaを中心にした、ごく普通の日常が穏やかに、四季によって移り変わる風景とともに描かれる。気に入ればハマるはず。
ハードカバーで背の部分がチェックの布張りになっていて、しっかりとした造本。サイズも普通の絵本の大きさ(21cm x 21cm)。

絵本ではなく、文章メインのシリーズもある。

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