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2016年8月

2016年8月28日 (日)

Kindle:マウスでページをめくりを可能にする

kindleのページめくりをマウスのクリックで。

いつものmobileread、こちらを参照:
USB OTG mouse support and page turn on PW3(possible KV/KOA)

○条件
・もちろんjailbreak済みであること。jailbreakのやり方はこちら
-- 追記 --
・FW5.8.5に上げると和書で問題発生。
ページが戻れない。右クリックでも左クリックでもスクロールでもページが進む。洋書は問題ないようだ。必要な人はFWのアップデートは避けたほうがいい。
それとも、はじめから和書はダメだった? ちょっとよく覚えていない。
-- 追記おしまい --

○動作確認されているモデルとFWのバージョン
・PW3(2015): 5.8.1、5.8.2
・Voyage、Oasis: 5.8.1(5.8.2は未テスト)
*Oasisはカバーをつけておく必要がある。
VoiceView(読み上げ機能)に対応したモデルが対象のようだ。
5.8.1のVoyageで確認した。PW2(2013)でも試してみたが動かなかった。

○必要なもの
・USBマウス
・OTGケーブル(micro Bオス - Aメス) アマゾンで「OTGケーブル」で検索
 
○インストール
KUALのextensionなので、通常通りのやり方で。
1. USB OTG mouse support and page turn on PW3(possible KV/KOA)から
usbotgmouse.zip をダウンロード・解凍
2. 解凍してできた usbotgmouseフォルダを、PCに繫いだkindleのextensionsフォルダの中にまるごとコピー。

○使い方
1. マウスとOTGケーブルを繋いで、先にkindleのUSBポートに接続しておく
2. kindleでKUALを起動
 KUAL > USB OTG Mouse▽ > Start OTG とたどる
これでおしまい
3. 終了させるには、先にケーブルを抜いてから
 KUAL > USB OTG Mouse▽ > Stop OTG/ Remove Module

KUALのメニューには他に
 Stop Service
 Restart Service
があるが、これはマウスのデーモンを停止・リスタートするだけで、モジュール(USBマウスのドライバー類)はremoveしないということらしい。

○マウスの動作
・左クリック: 次のページに進む
・右クリック: 前のページに戻る
・中央(ホイール)クリック: kindleのメニューを出す
また、
・ホイール・ダウン: 次のページ
・ホイール・アップ: 前のページ

*ページめくりのみ。当然カーソルは現れない。マウスの通常の動作をするわけではない。

インストールも操作もとくに難しいことはないはず(jailbreakさえ終わっていれば)。

USBやマウスのカーネルモジュールを新規作成しているようで、FWのアップデートでlinuxのカーネルが変わったりすると使えなくなるかもしれない。

おもしろそうなのでインストールしてみたが、Kindleを手で持って読むと、マウスは逆に邪魔かもしれない。それに元々Kindleは手で持つように作られているデバイスだし(その方向を推し進めたのがOasisだろう)。でも、スタンドやアーム的なものに固定して読むなら、マウスでページがめくれるのは楽だろう。だったらディスプレイは大きくてかまわない。大画面のKobo aura Oneに実装できたほうが喜ぶ人は多いかも。

無線やBluetoothのマウスもいけそうな気はするが、どうだろう。

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2016年8月26日 (金)

Kobo: aura ONE テスト&レビュー紹介 その2 (lesen.net)

発売前なのに、なぜかドイツのサイトが詳しいテスト結果を出している。allesebook.deに続き、lesen.net。
ドイツでkoboはamazonとtolinoに及ばす、3番手らしいので、koboの圧力がゆるいのか、それとも宣伝効果があると思っているのか?

lesen.net: Kobo Aura One im Test [+Video]

前回のallesebook.deのレビューとかぶるところはなるべく省略して、独自の論評と結論部をメインに紹介。

◎見た目・持った感じ
・フラットで薄く(6.9mm)、見た目は電子書籍リーダーというよりタブレットで、スタイリッシュ。
・片手では、薄さとベゼルの狭さのために逆に持ちにくく感じる場合もありそう。6インチモデルと違ってサイズ大きいので、片手でバランスを取りにくいし、親指がスクリーンに触れてしまい、意図せずページをめくってしまう。それで親指をさらに縁に持っていくと窮屈。

◎ディスプレイ
・ブルーライト・カットはスマートフォンやタブレットでよく見るものだが、電子書籍専用端末ではKoboが初めて。寝る前に読書する人は多いだろうから、今後は他社も導入していくだろう。
・表示はシャープでコントラストもよい。ライトなしではgloHDよりも背景は暗いが(静電容量方式のタッチ・レイヤーのためか)、ライトをつければ良好。実用上ライトつけずに使うことないだろうから問題ない。
・ライトはニュートラルで均等で、Kindle Voyageに引けを取らない。ディスプレイのサイズを考えれば特筆すべきこと。amazonの最新Kindle Oasisは6インチでもライト問題が発生していたことを思い出してみればよい(この記事の画像参照)。
・センサーも問題なく機能。明るい場所ではライトは明るくなり、暗い場所ではライトは抑えられる。
(補足:明るい場所でライトを明るくするのはおかしい、と思う人はまだいるんだろうか? そういう誤解をしている人にはライトの自動調節は意味不明だろう)

◎バッテリー
・薄さ、軽さとのトレードオフでバッテリー容量が減り、使用時間は約1ヶ月程度になった。一般的な6インチモデルの半分。とはいっても、カバーなしではバッテリーが持たないKindle Oasisほどひどいトレードオフではない。

◎プロセッサ、RAM
・シングルコアの1GHzでRAM 512MBは現在のスタンダード。
(補足:i.MX6 Solo Lite。参考までに言うと、H2Oのプロセッサは現在の水準以下。というか2013年にKindle Paperwhiteがi.MX6 Solo Liteをすでに採用していたにもかかわらず、2014年に古いi.MX5のままで作られたのがH2O。koboがi.MX6を使うようになったのはようやく去年のgloHDから。gloHDでずいぶん動作が軽快になった印象がある)

◎動作
・動作が引っかかったり、重くなったりすることはなく、快適。ページめくりも安定している。反応のよい静電容量方式のタッチパネルも一役買っているだろう。
・ページめくりの速度はKindle Paperwhite3(2015)と同レベル。
・システムも安定している。(補足:KoboのシステムがKindleより安定していたことはない、というのが個人的意見。tolinoなどKindle以外との比較でKoboがどの程度なのかはわからない)

◎結論
○プラス
大きなスクリーンにもかかわらず表示クオリティは6インチモデルと変わらず、ライトにムラもなく均一で、ブルーライトもカットできる。さらに大きさ、重さを抑えた薄いスタイリッシュなボディを実現。
▽マイナス
その代償として、バッテリーが半減した上に、片手では持ちにくくなった。

・229ユーロの値段の価値はあるか?
薄く軽い革新的なボディに、Kindle Oasisとは違い、kobo独自の特色(ブルーライト・カット、7.8インチで6インチモデル並みの表示クオリティ、防水)を出していて、値段に見合った製品。
ただし、電子書籍専用リーダー自体がニッチな上に、さらに7.8インチはその中でもニッチなモデルであり、そういう少数向けの製品。

--
こんな感じか。

おもしろいのは、片手での持ちやすさにこだわっているところ。たしかにフラットでベゼルがかなり狭いので、まちがってパネルに触れてページをめくってしまいそう。でも、持ち方次第ではなんとかなりそうな気もする。
端末の右下の角を手のひらの真ん中に当てて、重さを手のひらで受けてしまえば、バランスも取りやすいし、親指も軽くベゼルに添える程度で済む。それで、まちがってページをめくってしまうこともないような・・・(いつもそうやって持っているので。7.8インチは実機を触ってみないとわからないが、フラットで6インチの初代auraやKindle Voyageならそれで問題ない)

でも、H2Oにカバーをつけて読む人は両手操作のような気もするし(重そうだから)、だったら片手操作にこだわることもないのかもしれない。タブレットも7.8インチぐらいになると両手操作?

あとallesebook.deのレビューとは違って、ライトに特に問題は感じていないようだ。
ただし、この時期レビューに使われる評価機はPR用に配られているものだとlesen.netは断りを入れている。つまり、宣伝目的なので入念なクオリティ・チェックをしているはずで、発売後にユーザーが同じクオリティの製品を入手できるかどうかは保証できない、と正直にコメントしている。

lesen.netもそうだが、海外のレビューはなぜかたいていpdfを取り上げる。動画では紙の新聞をそのままpdf化したような画面が登場する。そういう新聞がpdfで売られているのだろう。固定レイアウトなら大画面のほうが見やすいから、pdfを話題にするのはわからないでもない。

日本で大画面と言えば、まっさきに漫画や自炊のため、と考える人もいるだろうが、カナダのkobo開発陣にそんな発想はないだろう。海外で漫画は読まれないだろうし、自炊はそもそも海外でも行われているものなのか? 7.8インチはおそらく、ハードカバーの本のサイズのイメージで、大きな画面でゆったり文章を読む贅沢、ぐらいの感覚だと推測。

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2016年8月23日 (火)

Kobo: 2016年新モデル Kobo aura ONE テスト&レビュー(allesebook.de)

発売前だが詳しいテストが出ている。

allesebook.de: Kobo Aura ONE im ausführlichen Test

新情報を中心に簡単に紹介。(スペックなどは繰り返しになるので、前の記事参照)

◎筐体
・持ちやすい。230gの軽さに加えて、6.9mmの薄さ、縁は丸くなって厚さも4mm程度になる。
・正面はフラットで現代的なデザインだが、外枠とベゼルの間の隙間にゴミが入りやすい。
・背面はgloHDのようなゴム加工ではなく、プラスチックの滑り止め模様になっている。
・電源ボタンは背面の上部に移動したが、目で見なくても不自由なく押せる。
・正面の右上にスタータス表示のLEDがついた。電源を入れた時や充電時に点灯する。
・正面ベゼルの指紋は目立つが、最悪のH2Oほどではないし、拭き取りは楽。

◎ディスプレイ
・7.8インチのE Ink Carta、1874x1404、300ppiは過去にないクオリティ。他社の8インチモデルはすべてCartaではなく、古いPearl採用で、ピクセル密度も159から250ppi。表示のシャープさ、コントラストは当然飛び抜けている。
・ただし、ライトなしのコントラストはH2Oより落ちる。gloHDと同程度。だが、ライトをつけるとコントラストはトップレベル。

・ライトオフ時のコントラスト
Aura_one_kontrast01
(ライトオフのコントラストはH2Oに劣る。並べると背景の白さの違いが肉眼でもわかるそうだ。allesebook.deのH2Oとの比較画像参照。とはいっても、gloHDやKindle Oasisと同レベルなので問題ないだろう)

・ライト最大時のコントラスト
Aura_one_kontrast02_2
(ライトをつけると、コントラストがかなりよくなる。トップレベル。H2Oとのコントラストの差も気にならなくなる。allesebook.deの画像参照)

・ライトの明るさ(最大時)
Aura_one_helligkeit01
(LEDの数は多いのに、他と比べると最大時の明るさが低いのはやはりディスプレイのサイズか?)

・ライト明るさ(最小時)
Aura_one_helligkeit02
(こちらは数値は低いほうがいい。暗い場所で眩しくなってしまうので。あまり結果はよくないが、allesebook.deの記事では問題ないそうだ。それにブルーライトをカットできるので眩しさは軽減できる、とも書いてある。)

◎ストレージ
・8GBだが、システムが利用する部分を除くと、ユーザーが使えるのは6.72GB。
・SDカードスロットがないのはマイナスポイント。

◎防水
IPX8の等級。水深2mで60分。HZOのナノコーティング。内部の電子部品をコーティングするので水は内部に侵入する。

◎ナイト・モード/ブルーライトカット
・新機軸。睡眠の邪魔になるとされるブルーライトをカットする。時刻を指定して自動的に切り替えられる。もちろん手動での調節も可能。
・白のLEDの9個の間にカラーLED(赤緑青の3つのLEDを含み、その配合で色を変える)を8個配置している(allesebook.deの画像参照)。
・昼間は白のLEDだけを使い、夜になるとカラーLEDも使用する。カラーLEDを使うと自動的に白LEDは暗くなり、逆に白LEDを明るくするとカラーLEDは暗くなるという仕組み。
・ナイト・モードを自動にすると、指定した時刻に自動でゆっくりと少しずつカラーLEDで赤を強くしていく。
・ナイトモードの指定時刻は21時から3時の間で30分刻みで指定できる。
・使った感じも良好。いつの間にか赤っぽくなっていて、カラーLEDをオフにしてみないと、色が変わっていたことに気づかないくらい。

◎フロントライト
・完璧ではないが高水準。
・目から離してみると、上下で明るさの違いがあるのがわかる。ただし、ページ内を一行ずつ上から下に読んでいく時には気づかない。だが、ページの下まで読んでページをめくって、またページの上部に目を移すと明るさの違いに気づく。(補足:これは洋書の話。縦書の和書では、常に視線を上下させるのでどう見えるだろうか?)
・フレーム下辺にあるLEDの配置箇所に光ムラが見える。
・他社の8インチモデルと比べたら、照明の均等さはベスト。だが、ディスプレイの大きさのせいで、H2OやgloHDに比べたらどうしても劣る。(allesebook.deのH2Oとの比較画像。肉眼で見たものではなく、ムラがわかるように強調して加工したもの)
・初搭載のカラーLEDによる色ムラも特に見られない。

◎センサーによるフロントライトの自動調節
・Kindle Voyageにも自動調節はあるが、Voyageはオン・オフできるだけ。aura ONEは自動調節の設定がある。好きな値にセットできる。(補足:画像などがないので具体的には不明)
・使った感じは快適。ほとんど手動で明るさを調節することはなくなった。

◎バッテリー
・容量は1200mAhで、一日30分で約1ヶ月(もちろんライトの使用などに左右される)。gloHDなどは1500mAhで約2ヶ月とされているので半減。
・ピクセル数が多くなり、LEDの数も17個とかなり増えたのでバッテリー消費が多くなるのは仕方がない。容量が小さくなったのは本体を軽くするためだろう。

◎その他
・タッチパネルは静電容量方式でスムーズ。(補足:赤外線のH2O、gloHDとの比較が欲しい)
・ゴーストはH2Oと同レベル。6ページごとにリフレッシュする。(補足:なぜKindleと比較しない?)
・PDFのみランドスケープモード(横置きスタイル)追加。ただし上下のメニューの位置は変わらない。

◎まとめ
・プラスポイント
○・6インチモデルに引けを取らない表示クオリティのまま、画面を大きくして、とても読みやすい。もちろん従来の8インチモデルと比べればダントツの品質。
○電子書籍リーダーで初めてナイト・モードを導入したこと
○軽くて持ちやすいデザインであること
○防水
・マイナスポイント
▽SDカードスロットの廃止。その代わりストレージが8GBに増えたのでいくらかは相殺。
▽やはり6インチモデルに比べれば、ライトの均一さに難がある。といっても普通に読むのに支障はない。
というわけで、
・値段はH2Oより50ユーロ高く、6インチモデルの2倍の230ユーロだが、読書好きにとっては値段に見合った製品だろう。

--
目立ったところはこんな感じ。

個人的にはまず、300ppiのCartaのクオリティはいいとして、ライトがどんな感じか興味があった。
新機軸のナイトモードも問題ないようだし、センサーによる明るさの自動調節も設定可能なぶん、Kindle Voyageよりもきちんと安心して使えそうだ。
ライトのクオリティ(照明の均一さなど)はやはり6インチは及ばないが、それは仕方ないだろう。LEDをディスプレイの下辺に配置して上に光を照射する以上、ディスプレイが大きくなるほど上下で明るさの差ができやすくなるのは当然。それでも画像を見るかぎりでは、他社の8チンチモデルよりずっと優れている。

残念なのはやはりリフレッシュ頻度。なんで6ページ毎のままなんだろう。ここまでくると、リフレシュ頻度は改善する気がないのかなあ、Kobo社。なぜ2012年から改善しない? Kindleをはじめ他社は改善してるのに。今年はもう新しい6インチは出ないし、大画面の端末も見てみたい気もするし、タッチも静電式復活で、もしリフレッシュ頻度がまともだったら、あるいは思い切って買ったかもしれないが・・・。

あとソフトウェア面では日本語環境。なんで和書はわざわざ行間や余白、フォントのウェイト調節をできなくしてんのかねえ。データベースで和書を他の言語に書き換えればできるようになるんだから、わざと和書だけできなくしているとしか思えない。フォント周りの柔軟さこそ唯一Kindleに勝てるところなのに。新ファームでもダメなんだろうな。ほんと楽天は・・・。

来年はgloHDとの入れ替えで6インチの新モデルがあるかなあ。aura Edition2は論外だし。

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2016年8月18日 (木)

Kobo: 2016年新モデル Kobo aura ONE / aura Edition 2 公式アナウンス

Koboの2016年新モデル、公式アナウンス。

kobo本社
http://news.kobo.com/press/releases/announcing-kobo-aura-one:-a-breakthrough-waterproof-ereader-designed-with-the-help-of-real-booklovers

楽天のプレスリリース
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2016/0818_01.html
(楽天はkobo aura Edition2のアナウンスはしてない。)

--
kobo本社が発表したのは7.9インチの防水kobo aura ONEと6インチのkobo aura Edition2。
◎koboの製品ページ
kobo aura One: https://us.kobobooks.com/products/kobo-aura-one

kobo aura Edition 2: https://us.kobobooks.com/products/kobo-aura

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評価機を事前に入手していたサイトがはやくもレビューを出しているが、発売前なので細かなところにはあまり踏み込んでいないと思われる。詳しいテストやレビューは発売後になるだろう。

参考になったレビューをいくつか。
cnet: The new Kobo Aura One e-reader has 4 things the Kindle doesn't

The Verge: The Kobo Aura One is a big, thin, water-resistant e-reader

The Digital Reader: Hands On With Kobo Aura One Night Mode (video)

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◎Kobo aura ONE
すでにリークしていた情報でわかっていることが多いが、新しく明らかになったのは、
・発売日:9月6日
・価格:22,800円(税抜)
 
・重さ:230g
リーク情報では252gだったが、もっと軽かった。H2Oよりもディスプレイは1インチ大きいのに、重さはほんのわずかだがH2Oより軽い。

・防水はIPX8
防水についてはIP67のH2Oより上だが(H2Oは7級、aura ONEは8級)、防塵に対する保証はなくなった。防塵はH2Oは6級だが、aura ONEは"X"。つまりテストしていない。

・CPU: Freescale i.MX6 Solo Lite、1GHz
公式アナウンスでも確認できた。やはりi.MX7Dualではなかった。

・センサーによるフロントライトの自動調節・色温度の調節追加
明るさの自動調節ならKindle Voyageにもあるが、色温度(赤・オレンジ色を強める)の調節も可能になった。楽天のプレスリリースによると

ライトセンサーが自動的に周囲の明るさの度合いを感知し、時間帯に応じて画面を最適な明るさに自動調整します。就寝時間を設定すると、その時間に合わせて太陽光の自然な移り変わりを模倣した色相調整も行います。明るさの設定は、好みに合わせて手動で調整することも可能です。
だそうだ。どんな感じかは
The Digital Reader: Hands On With Kobo Aura One Night Mode (video)の動画参照。明るさも色温度も手動調節可能。
ブルーライトの議論はさておき、この新機能は歓迎すべきことだろう。好みの色味に変えられるかもしれないから。でも、どういう仕組み? 赤いLEDでも追加しているのか。

・日本では提供されないがOverDriveのサポート
OverDriveの図書館から本を借りられる。海外ではすでにKindleで直接OverDriveの図書館から本を借りことができていたわけで、楽天が買収したOverDriveをKoboが利用できないというのは変な話。当然といえば当然。

日本ではサポートされても現状では実質無意味だろう。図書館の利用者IDが必要なので、近所にOverDriveと提携した図書館がないと使えない。日本にOverDriveの図書館はまだ数えるほどしかないはず・・・。

あとはリーク情報と同じだが、スペックをもう一度まとめると
◯ディスプレイ
・7.8インチ E Ink Carta
・解像度: 1872 x 1404
・ピクセル密度: 300ppi
・静電容量方式

◯サイズ・重さ
・195.1 x 138.5 x 6.9 mm
・230 g
参考:
H2O: 179 x 129 x 9.7 mm、 233 g
gloHD: 157 x 115 x 9.2mm、約180 g
Kindle Paperwhite: 169 ×117 ×9.1 mm、 213 g

◯ストレージ
・8 GB
・SDカードスロットはない

◯プロセッサ
Freescale i.MX6 Solo Lite、1GHz

◯RAM
・512 MB

◯フロントライト
・ComfortLight PRO
 ライトセンサーによる自動調節、色温度の調節が可能。 

◯防水仕様
・HZOのナノコーティング(http://www.hzo.com/参照)で、IPX8。
koboによると、水中2メートルで60分までOK

◯バッテリー
約1ヵ月
(aura Edition2の半分しかない。軽量化のためにバッテリーが犠牲になっているはず)

--
◎kobo aura Edition 2
こちらは情報が少ない。楽天はアナウンスすらしてない。kobo本社のプレスリリースでは、日本では2017年に発売、と発表している。

○値段:119.99ドル

スペック
◯ディスプレイ
・6インチ E Ink Carta
・解像度: 1024 x 768
・ピクセル密度: 212 ppi
・タッチスクリーン:赤外線か静電容量か不明

◯サイズ・重さ
・159 x 113 x 8.5 mm
・180 g
参考:
初代aura: 150 ×114 ×8.1mm、174g
gloHD: 157 x 115 x 9.2mm、約180 g
Kindle Paperwhite: 169 ×117 ×9.1 mm、 213 g

◯ストレージ
・4 GB
・SDカードスロットはない

◯プロセッサ
不明(Freescale i.MX6 Solo Liteか?)

◯RAM
不明

◯フロントライト
・ComfortLight
 センサーによる自動調節、色温度の調節などはないと思われる。

◯バッテリー
約2ヵ月

--
正直言って、aura Edition2はよくわからない製品。
ディスプレイの解像度が1024 x 768、212 ppiって・・・。おまけにフラットじゃないし・・・。初代auraよりもサイズも大きくなって厚くなってるし・・・。
Koboのラインナップの中でどういう位置づけ? 初代auraの廉価版? それともgloHDの廉価版? でも廉価版でその値段?

なんで300ppiにしないかな。gloHDの代わりになる製品じゃないのか・・・。
なら、エントリーモデルKobo Touch 2.0(日本未発売)の代替製品として、もっと値段を安くしなければ意味がない。gloHDと10ドルしか値段が変わらないとは、どういうつもり?

たぶんプロセッサは初代auraよりよくなってるだろうし、パネルもCartaだから見やすくなっているはず。でも、gloHDの300ppiと比べた時に、どっちを選ぶのかって話。
それに、プロセッサがかりにi.MX6だとして、Cartaの6インチで212 ppiというのは、2013年のKindle Paperwhiteがすでに実現していたレベル。そんな過去のスペックに119ドルという値段をつけるという・・・。今のPaperwhiteは300ppiで119ドル、セールがあればもっと安く買える。

個人的には6インチに期待していただけに、ほんとにがっかり。いつになったらKoboはまともな6インチの端末を作ってくれるのだろう。gloHDはリフレッシュ頻度が高い(つまりは表示劣化が速い)点でKindleに性能的に劣っているし、赤外線方式のパネルで感度に対する不安が拭い切れない・・・。

これだったら、いっそKobo aura OneをH2Oと同じ6.8インチにしてくれていたら・・・なんて思う。
aura Oneの作りで、薄くて軽くて小型化した6.8インチなら持ち歩きもなんとかできそうだったな、と。それならあまり迷わず買ったかもしれない。aura Edition2という選択肢はないな。

--
対して、Kobo aura Oneは、薄くて軽量、静電容量方式復活、色温度の調整という新機能付きで、評価していいと思える端末。値段はH2Oよりもさらに高くなるが、ディスプレイのサイズを考えると仕方がないかと思える。Kindle Oasisの高級化の方向性には意味を見いだせないが、こちらは性能アップを感じることができる。Oasisよりは安いし。

ただ、aura Oneはやはりでかい。うちにある古いNexus7(2012)と比べると、縦が同じくらいで、横幅は2cm弱広くなって、重さは100g軽い感じか。重さはまあ我慢するとして、6インチに慣れているとやはり巨大。

でも、H2Oからの買い替えなら十分にありだろう(外部SDがどうしても必要な人は除いて)。あとはタブレットを日頃使っている人なら、あの大きさも平気だろう。重さもH2Oよりわずかだが軽い。それに、プロセッサがようやく現在の水準に追いついて、H2Oのネックだった動作速度も改善されそうだし、ストレージも2倍に増える。バッテリーが約1ヶ月と弱体化しているのはマイナスだが、7.9インチなんてどうせ家の中でしか使わないと思えば、我慢できそうではある。

あとは、詳しいテスト待ち。
やはりサイズが大きい7.9インチディスプレイの照明ムラとか、新機能の色温度の調節など、新しい部分が気になる。あとは、Waveform技術を採用しているかどうか、リフレッシュ頻度(表示劣化速度)の問題。


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2016年8月16日 (火)

ドイツ語多読本: Mario Ramos: Ich bin der stärkste im gazen Land!

他人が自分をどう思っているのか、評判は気になるもの。「俺は最強」と思っていても、やはり他人に聞いて確かめたくなったり・・・。そんなオオカミの話。

Mario Ramos: Ichbin der stärkste im gazen Land!

416語

満腹したので、散歩ついで自分の評判を聞いてみようと思い立つオオカミ。
最初に会ったウサギに聞いてみると「オオカミさんが最強だ」と言う。それで気を良くしたオオカミは誰かに会うたびに聞いては「最強だ」と言われ、気分がよくなり、どんどん調子に乗っていき・・・、というストーリー。

最初のウサギには、言葉遣いもていねいに、お腹の前で両手を合わせて態度も控えめ。次に会った赤ずきんには「赤が似合っているね」なんてお世辞を言いながら、自分の評判を聞いているが、誰もがオオカミが最強だというので、遠慮もなくなっていき、調子に乗っていく。そんな得意げなオオカミを描いているのが表紙の絵。ガッツ・ポーズ。

相手は怖がってオオカミの望む答えを言っているだけなのにも気づかず、しだいに腕組みしたりして態度も大きくなり、当然「俺が最強だろ」みたいな口ぶりになっていく・・・。そんなお調子者のオオカミの表情やしぐさが絵でもユーモラスに描き出されていて、すんなりとストーリーに入っていけるはず。

あとおもしろいのは、赤ずきんに会ったあとはには3匹の子ブタ、それから7人の小人、とオオカミが登場する童話でおなじみのキャラクターが登場するところ。

もちろん、最後は調子に乗りすぎたオオカミはしっぺ返しを食らう・・・・。

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2016年8月10日 (水)

Kobo: 2016年新モデル Kobo aura ONEリーク情報

オランダのストアにスペックや画像があがっている模様。
mobilereadのスレッドから。

オランダのストア:
http://www.wehkamp.nl/elektronica/ereaders/ereaders/kobo-aura-one-e-reader/C26_6FJ_F4D_791195/

削除されたら、こちらで。
http://nl.tinypic.com/r/2wqd89t/9

オランダ語を英訳したものはこちら。
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=277095

Koboauraonefront Koboauraoneereaderback


◎スペック
◯ディスプレイ
・7.8インチ E Ink Carta
・解像度: 1872 x 1404
・ピクセル密度: 300ppi
参考:
H2O: 1430 x 1080(265ppi)
gloHD: 1448×1072(300ppi)

◯サイズ・重さ
・195.1 x 138.5 x 6.9 mm
・252 g
参考:
H2O: 179 x 129 x 9.7 mm、 233 g
gloHD: 157 x 115 x 9.2mm、約180 g
Kindle Paperwhite: 169 ×117 ×9.1 mm、 213 g

◯ストレージ
・8 GB
・SDカードスロットはない

◯プロセッサ
不明

◯RAM
・512 MB

◯フロントライト
・Comfort Light Advanced Technology

◯防水仕様
・HZOのナノコーティング(http://www.hzo.com/参照)
(水中2メートル、60分までOKと説明にはある)

◯バッテリー
約1ヵ月

◯値段
不明(229.99ユーロ?)

---

ぱっと見た感じでは好印象。

7.8インチで300ppiのE Ink Cartaは世界初。300ppiといえば6インチしかなかったはず。
6.8インチのH2Oでは解像度はglo HDとほぼ同じでも、ppiが265に落ちていたことを思うと、いいパネルにしたという印象。

それから大きさ・重さも予想よりいい。
ディスプレイが大きいのでサイズは大きくなるが、厚さはH2OやgloHDよりも薄い。6インチauraを思わせる薄さ。
重さもH2Oより20g重くなる程度で、サイズを考えればいい感じかも。ただ、バッテリーを小さくして軽くしているのかもしれない。

ストレージもこれまでの4Gから8Gに増量した点もよい。

それから、画像を見るかぎりではフラット。
ということは、タッチは赤外線方式ではない。(ようやく!!)

防水はH2Oとは別方式。ドイツの電子書籍端末Tolinoで使っているものと同じ。
外側を密封するのではなく、内部部品をナノコーティングする。だから、水は平気で内部に入っていくはず。
補足:
昔の記事だが、lesen.netのWasserdichte eBook Reader dank Nano-Technologie 参照。この技術で防水加工したiPhoneとKindle Paperwhite2の動画がある(記事はドイツ語だが、動画は英語)。

かつての6インチauraの系統のような気がする。フラット・デザイン以外にも、正面の見た目は6インチauraにそっくり。とすると、内部SDの換装はできなさそう。防水の方式を考えても、SDの換装はできない気がする。

◯気になるのは
・プロセッサはどうなっているのか?

・あとはやはりディスプレイ。解像度・ppiは文句ないとしても、フロントライトはどうか? 
ディスプレイが大きくなるほど照明ムラが出やすくなるのは当然の理屈。

・それから、Koboは2013年のauraを除いて赤外線方式のパネルしか使っていない。今回はたぶんパネルはひさしぶりの静電容量式になるだろうから、うまくできているのかどうか?

・そして、リフレッシュ頻度の改善はあるのか?

でもまあ、aura系統なら歓迎。

6インチの新モデルはあるのかな。そっちがよさそうなら、7.8インチは買わないだろうけど・・・。

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2016年8月 8日 (月)

ドイツ語多読本: Elke Heidenreich: Sonst noch was

動物と話せるというのは児童書らしいファンタジーだが、あまり児童書の印象がしないのは、ラストシーンが大人になってからの話だからか。11歳の夏、田舎のおじさんのところへ行った・・・。

Elke Heidenreich: Sonst noch was

4671語

何ページか毎に1ページまるまる使ったイラストが入るという構成で、絵本というよりは文章メインの本。

お母さんと駅に向かうKatharina。よりよってHansおじさんのところなんて・・・と愚痴をこぼすお母さん。それが冒頭の場面。

HansおじさんというのはKatharinaのお母さんの兄。Katharinaたちといっしょに暮らしていたが、いつもだらしないなんてお母さんに小言を言われては、こっそりKatharinaに舌を出してみせる茶目っ気のあるおじさん。もちろんKatharinaはおじさんが大好き。
ところが、このHansおじさん、ロトが大当たり、そのお金で、夢だった田舎に農場を買って引っ越す。そこでも、動物に昔つきあった女性の名前をつけたりと、ふざけたことをしてはKatharinaのお母さんにあきれられる・・・。

夏休みにはおじさんのところに行きたいが、お母さんはもちろん反対。そこでKatharinaは強硬手段に訴える。つまり盛大に咳をしてみせる。というのはKatharinaは気管支が弱いのだ。案の定、お医者さんは空気のいいところで療養するのがいいと言う・・・。それで、冒頭の駅の場面。

車中、動物の話がわかるRoswithaという女性と知り合う。ちゃんと耳を傾ければ動物の言葉はわかるのだという。すると、Roswithaの連れのイヌの言葉がなぜかわかってしまって・・・というストーリー。もちろん農場では動物たちと話ができて最高の夏休みを過ごす・・・。

その楽しいエピソードで物語が終わっていれば、動物と話ができたらいいなという願望を満たす児童書らしいファンタジーということになるだろうが、それで話は終わらない。

HansおじさんとRoswithaはその後結婚、そして、もうすでに歳だったHansおじさんの死後、Roswithaと墓参りに行く。家のことや知り合いの様子を墓前で話して聞かせるRoswitha。話しかけたら死者はそれを聞いているんだよ、というRoswithaの言葉を信じるものの、Katharinaは、でも死者はもう答えてはくれないと言って少し泣く。それでも、ちゃんと耳を傾ければ答えてくれる時もあるんだというRoswitha。

そして、ラストのラスト、さらに後年、今度はKatharinaのお母さんの墓前。自分の人生を話して聞かせようとしてみるものの、母の気に入る生き方ではないともわかっている。立ち去ろうとすると、"Ja, sonst noch was"と母の口癖が聞こえた気がする・・・。

"sonst noch was"っていうのはどういうニュアンスかな。物語中、あきれたり、うんざりしたような時にいう口癖。「もうたくさん」とか「もういいよ」とか? でもラストの"sonst noch was"はどう受け取ったらいいかなあ。

翻訳はこちら。

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2016年8月 4日 (木)

Kindle:アップデート 5.8.2 & jailbreak関連

Kindle第6世代以降のアップデート、5.8.2。

機能改善があるようだ。

表の改善: 表がさらに見やすくなりました。行や列の幅が最適化され、複数ページにわたる表では表内の位置がわかりやすくなりました。大きな表は、拡大や移動が可能なポップアップビューアで開いて、様々なフォントサイズで見ることができます。商品詳細ページで「タイプセッティングの改善:有効」となっている場合には本機能を利用できます。
だそうだが、表のある本を見たことがないのでなんとも言えない。そういう本はたくさんあるのか? 需要があるから改善されたんだろうとは思うが・・。

◎ダウンロードページ
◯Kindle(新無印、第8世代)
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=202065490

◯Oasis
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=202037720

◯PW3(2015)
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201756220

◯Voyage
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201630670

◯無印
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201605570

◯PW2(2013)
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201307450


jailbreak関連
アップグレードしても問題ないだろう。

必要ないかもしれないが、念のためbridgeを先にインストールしてからFWをアップグレードした。
Jailbreakのパッケージの中にあるUpdate_jailbreak_bridge_1.14.N_install.binをMRPI(Mobileread Package Installer)経由でインストール。

スクリーンセーバーやフォントは問題ないようだ。

あと、FWをアップグレードしたら、スクリーンセーバーやフォント・ハックなど*.binファイルで提供されているものはインストールし直し。これは鉄則。

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2016年8月 1日 (月)

ドイツ語多読本: Rafik Schami: Der Wunderkasten

Rafik Schamiは日本語にも訳されている(読んだことはないけれども)。ダマスカス出身の作家らしい。この絵本もアラビアン・ナイト的なおとぎ話を語りながらも・・・。

Rafik Schami: Der Wunderkasten

3555語

この表紙に描かれているのがWunderkasten。子供が4人、ベンチに座って、光が入らないように手で覆いながらのぞき込んでいる。中には絵巻物が収められていて、それが右から左に巻きとられていく仕組み。お金を払うと絵巻物を見ながら話が聞けるが、話を聞くだけなら無料。

話はこのWunderkastenを背負ってダマスカスの路地にやってくるおじさんと、その呼び声を聞いて子供たちが集まってくる現実世界のパートと、Wunderkastenの中で展開するおとぎ話パートに分かれている。おとぎ話パートは絵巻物をそのまま再現して、その下に物語の文章がついている。

本の大部分は絵巻物のおとぎ話パートで、恋する羊飼いの物語。
井戸できれいな女性(Leila)が水瓶を持ち上げるのを助ける羊飼いのSami。(ひょっとしたらわざと)足を滑らせて、その拍子にに頬にキス。恋に落ちる二人。でも、Leilaの父親は娘を族長か何かの嫁にしようと考えている。当然、二人が会うのを禁じる。そこから波乱万丈の展開・・・。

絵は巻物の体裁なので、ヒツジを追うSamiと井戸でキスをするSamiがそのままつながって、同じページに描かれているのが特徴的。

ところがある日、盗賊団にLeilaが誘拐されてしまう。父親は娘を取り返してくれたら結婚させてやると約束する。ところが、というか予想通り、苦難の末Leila奪還に成功したSamiにいろいろ無理難題を出しては約束を反故にしようとする。ライオンの乳を持ってこいとか、持参金代わりにラクダ300頭持ってこい、とか・・。

ライオンの乳の話あたりからおとぎ話らしいファンタジーも入ってくる。ライオンと話ができたり、ライオンの背に乗って町に凱旋したり、またハトに姿を変えられたという女性が出てきたり、難題をクリアされてしまって、ついには自分の娘をトカゲに変えてしまおう(なぜSamiではなく自分の娘なんだ?)として父親は魔術師に依頼、それで魔人まで登場・・・。

もちろん最後は恋する二人の盛大な結婚式で絵巻物は終わる。

このおとぎ話パートだけでも十分に読み応えがあるが、まだ話は終わらない。
時とともに絵巻物は汚れ、かすれていく。これがどうなるかというと・・・。

そういう箇所に、Kolgataと書かれた(商品名らしい)歯磨きを持った女性の顔写真や赤い大きなオープンカーの写真が貼られていく。それで、ヒロインがKolgataに変わり、その父親はカー・ディーラーになっている・・・。こんなふうに、絵巻物の汚れて見えなくなった部分にコマーシャルの写真か何かがベタベタ貼られていって、話もますますメチャクチャになっていく。それで子供たちにも相手にされなくなっていく・・・。

これで美しい過去の伝統、おとぎ話、ファンタジーが社会の文明化とともにすたれ、消えていくという寓話になるのかと思いきや、まだ話は終わらない。

2年後またWunderkastenを背負ったおじさんがやって来る。Wunderkastenを覗いていた子供に話を聞くと、「すごい」と顔を輝かせる。それで自分も覗いてみると、そこにあるのはただの闇。そこに物語を語るおじさんの声が聞こえてきて・・・。
で、なにやら得意げな、と見えなくもないWunderkastenおじさんの顔がアップで描かれている。

おとぎ話やらファンタジーやらはそう簡単には消えないぞ、というメッセージなのかもしれない。
が、絵などなくても、というか、ないほうが物語は生き生きと迫ってくるんだ、というのなら、これは絵の意義を否定する絵本?


でも、今の人間だったら、覗いて何も見えなければ金返せとクレームを言って終わりそうな・・・。


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