ドイツ語多読本: Elke Heidenreich: Sonst noch was
動物と話せるというのは児童書らしいファンタジーだが、あまり児童書の印象がしないのは、ラストシーンが大人になってからの話だからか。11歳の夏、田舎のおじさんのところへ行った・・・。
Elke Heidenreich: Sonst noch was
4671語
何ページか毎に1ページまるまる使ったイラストが入るという構成で、絵本というよりは文章メインの本。
お母さんと駅に向かうKatharina。よりよってHansおじさんのところなんて・・・と愚痴をこぼすお母さん。それが冒頭の場面。
HansおじさんというのはKatharinaのお母さんの兄。Katharinaたちといっしょに暮らしていたが、いつもだらしないなんてお母さんに小言を言われては、こっそりKatharinaに舌を出してみせる茶目っ気のあるおじさん。もちろんKatharinaはおじさんが大好き。
ところが、このHansおじさん、ロトが大当たり、そのお金で、夢だった田舎に農場を買って引っ越す。そこでも、動物に昔つきあった女性の名前をつけたりと、ふざけたことをしてはKatharinaのお母さんにあきれられる・・・。
夏休みにはおじさんのところに行きたいが、お母さんはもちろん反対。そこでKatharinaは強硬手段に訴える。つまり盛大に咳をしてみせる。というのはKatharinaは気管支が弱いのだ。案の定、お医者さんは空気のいいところで療養するのがいいと言う・・・。それで、冒頭の駅の場面。
車中、動物の話がわかるRoswithaという女性と知り合う。ちゃんと耳を傾ければ動物の言葉はわかるのだという。すると、Roswithaの連れのイヌの言葉がなぜかわかってしまって・・・というストーリー。もちろん農場では動物たちと話ができて最高の夏休みを過ごす・・・。
その楽しいエピソードで物語が終わっていれば、動物と話ができたらいいなという願望を満たす児童書らしいファンタジーということになるだろうが、それで話は終わらない。
HansおじさんとRoswithaはその後結婚、そして、もうすでに歳だったHansおじさんの死後、Roswithaと墓参りに行く。家のことや知り合いの様子を墓前で話して聞かせるRoswitha。話しかけたら死者はそれを聞いているんだよ、というRoswithaの言葉を信じるものの、Katharinaは、でも死者はもう答えてはくれないと言って少し泣く。それでも、ちゃんと耳を傾ければ答えてくれる時もあるんだというRoswitha。
そして、ラストのラスト、さらに後年、今度はKatharinaのお母さんの墓前。自分の人生を話して聞かせようとしてみるものの、母の気に入る生き方ではないともわかっている。立ち去ろうとすると、"Ja, sonst noch was"と母の口癖が聞こえた気がする・・・。
"sonst noch was"っていうのはどういうニュアンスかな。物語中、あきれたり、うんざりしたような時にいう口癖。「もうたくさん」とか「もういいよ」とか? でもラストの"sonst noch was"はどう受け取ったらいいかなあ。
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