ドイツ語多読本: Tine Mortier / Kaatje Vermeire: Marie und die Dinge des Lebens
表紙も布張り、アート色が強い絵本。多読にはむずかしめ。
Tine Mortier / Kaatje Vermeire: Marie und die Dinge des Lebens
915語
短気で、すぐ熱くなる性格のMarieは、よく走り回り、よく食べる。「パパ」や「ママ」より「クッキー」という言葉を覚えたくらい。性格が似ているのか、なぜかおばあちゃんと気が合う。
ところが、おばあちゃんは転んで、言葉がうまく話せなくなってしまう。おばあちゃんがしゃべらなくなり、ただぼんやりテレビを見るだけになって、Marieは癇癪を起こしたりもするが、口が動かず何を言っているのかわからないおばあちゃんの言葉がわかるのはMarieだけ。
そして、悪いことは重なり、おじいちゃんが亡くなる・・・。
そんなストーリー。だが、文と絵の構成は凝っていて、単純に絵と文が反映しあっているというわけではないので、多読にはむずかしいだろう。
たとえば、最初のページ。
絵は、桜の木の枝から下を見下ろす構図で、咲き誇る赤い桜の花や生い茂る黒い枝の間にMarieとたぶんおかあさんの姿が見える。桜の枝の上から真下を見る形になっているので、二人の頭と肩のあたりが見えるだけ。Marieはかぶっている帽子とワンピースしか見えない。
そんな絵だが、文章はMarie誕生の場面を描く。
桜の木の下でおかあさんが本を読んでいると、お腹の中の赤ん坊が外に出たがる。でも、本が面白くてやめられない、もう少し待って、なんて思う。
そこに胎児のMarieの声、「冗談じゃない、外に出して、今すぐ」・・・。
絵と文が別の話を喚起していて、それだけに印象的でおもしろく、読み応えがあるとも言えるが、多読的にはすでにドイツ語に慣れた人でないとむずかしいと思う。他のページでも、絵は写実というより、ほとんど心象風景と言ったほうがいいものもあって、芸術的。その分むずかしくもあり、でも心に届いてくる。
おじいちゃんの死に顔を見つめるおばあちゃんとMarieの表情がやわらかくて、とても穏やかなラスト。
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