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2016年1月

2016年1月31日 (日)

Kobo: ハイフネーション辞書のカスタマイズ、カスタム辞書の復元

Koboのハイフネーション辞書のカスタマイズと、同期のたびにオリジナルの辞書に戻されてしまうカスタム辞書をリストアするスクリプト。

Kindleは文字揃えが両端揃えしかなく、Koboのように文字揃え「オフ」「左揃え」「両端揃え」の切り替えがない。
ハイフネーションなしで両端揃えで問題なのは、長い単語が続くと、単語が3、4個しかなく、スペースの大きい、間延びした行ができること。行末の単語をハイフンで切って次行に渡してやることができれば、単語間のスペースの不揃いも緩和される。

Kindleは去年FW5.6.5になってようやくハイフネーションができるようになった。だが、epub勢は以前からできていたこと。何をいまさらな感じだし、その上、Kindleは本自体も新しいKFXフォーマットでなければ、ハイフネーションできない。これまでのフォーマットの本は作り直しも必要になるという、なんだか面倒なもの。

koboのkepubはハイフネーションに問題があった時期があったが、今はそれなりに使えるようだし、Koboのハイフネーション辞書のカスタマイズについて。

◎ハイフネーション辞書のカスタマイズ
◯ハイフネーション辞書の場所
/usr/local/Kobo/hyphenDicts/ にある。
hyph_it.dic (イタリア語)、hyph_pt.dic (ポルトガル語)、hyph_de.dic (ドイツ語)、hyph_en.dic (英語)、hyph_nl.dic (オランダ語)、hyph_es.dic (スペイン語)、hyph_fr.dic (フランス語)が含まれている。

ただのテキストファイルなので、エディタで編集する。
ファイルの中を見ると、koboのハイフネーション辞書では、

LEFTHYPHENMIN 5
RIGHTHYPHENMIN 5

となっている。
この数値でハイフネーションの頻度が変えられるらしい。数値を小さくすると、ハイフネーションが起こりやすくなる。
LEFTHYPHENMINは、単語をハイフンで切ったとき、その左側の最小文字数
RIGHTHYPHENMINは、単語をハイフンで切ったとき、その右側の最小文字数
らしいのだが、いまひとつよくわからない。でも、実際にやってみると、数値を減らすと行末でハイフネーションされる単語が増える。

LEFTHYPHENMIN 2/RIGHTHYPHENMIN 3にしているという人をよく見かけるが、ただしkepubはepubより数値は一つ少なくカウントするらしい。
http://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=3247581&postcount=5

ハイフネーション辞書を他のもの(たとえばLibreOfficeのもの)と入れ換えることもできる(後述)。

◯変更の仕方
ハイフネーション辞書のある/usr/local/Kobo/hyphenDicts/はシステム領域にあるので、USBでPCにつないでもアクセスできない。したがって、

1) telnet/sshが使えるなら、koboにログインしてエディタ(vi)でハイフネーション辞書を変更すればよい。変更した後は、再起動が必要。

2) telnet/sshが使えないなら、
1. FWをダウンロードして解凍、さらにKoboRoot.tgzを解凍して、ハイフネーション辞書を取り出す
2. ハイフネーション辞書(hyph_??.dic)を変更
3. /usr/local/Kobo/hyphenDicts/hyph_??.dic を、このフォルダ構成のまま、アーカイバでKoboRoot.tgzにする
4. それを端末の.koboフォルダにコピーしてアップデート

3) HyphenDicts
下のランチャーを使うので、試していない。が、リンクだけでも。
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=266005

4) KoboLauncher for db用のスクリプト
http://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=2582211&postcount=101
このカスタム辞書を復元するスクリプトに、ハイフネーション辞書を更新するスクリプトを追加する形で作ってみた。ランチャーを使っている人はこれで。

ダウンロード: KoboLauncher_hyphdic_scripts.zip

インストールはKoboRoot.tgzを端末の.koboフォルダにコピー、再起動、でおしまい。

使い方
1. ランチャーを起動して、まず一度「カスタム辞書 / hyphenation辞書 更新」をタップする
これで、koboのシステム領域からハイフネーション辞書が、USB接続してPCからアクセスできる領域に(customdictフォルダ)にコピーされる。
2. koboをPCにつないで、customdictフォルダ内のハイフネーション辞書を変更する
(エディタは念のため改行コードがunix式ものを)
3. USB接続を解除したら、先にkoboを再起動する
4. 再起動後、ランチャーを起動して、「カスタム辞書 / hyphenation辞書 更新」タップ

以上で変更が反映される。

◯ハイフネーション辞書をLibreOfficeのものに入れ換える
LibreOfficeの言語サポートページ
https://wiki.documentfoundation.org/Language_support_of_LibreOffice

ドイツ語を例にすると、
"German (de-DE frami) dictionaries"のページを見るとハイフネーション辞書も含まれているのがわかる。dict-de_DE-frami_2015-12-28.oxt(現段階の最新版)をダウンロードする。

このLibreOfficeのエクステンション(*.oxt)はzipファイルなので、普通に解凍できる。
この中に、hyph_de_DE.dic がある。
これをhyph_de.dicにリネームして、Koboのオリジナルのハイフネーション辞書と入れ替えればよい。telnet/sshを使うなり、KoboRoot.tgzにするなり、ランチャーを使うなり。

koboについてくるものより新しいし、詳しそうなので、とりあえずこっちを使うことにした。

◯ハイフネーション辞書をさらにカスタマイズ
Nierenerkrankung(NierenとErkrankungの合成「腎臓が病む」)がNiere-nerkrankungと変な具合にハイフンで切られたので、ちょっと試しに変更。
参考:
http://localization-guide.readthedocs.org/en/latest/guide/hyphenation.html

hyph_de.dicに
 nie1re2n3
というのを試しに追加してみた。これでいいものかどうかまるで自信がないが、変な切り方はしなくなった。

上のページの説明によると、奇数がハイフネーションを許可する箇所、偶数がハイフネーションを許さない箇所、数字は大きい方が優先されるらしいのだが、もう少し調べないと・・・・。

ともかく、変なハイフネーションがあったら、そのつど辞書に追加していけば、ハイフネーション辞書を育てていくこともできるだろう。


◎カスタム辞書の復元
カスタム辞書については「Koboにカスタム辞書を追加するには」(ちょっと古い記事)、「Kobo: フリーの辞書をKoboの辞書に変換」など参照。
同期をとると、カスタム辞書はかならずオリジナルの辞書に戻されるので、その対処。
もうパッチで対処している(Change dicthtml strings to michthtmlパッチ)ので使わないが、パッチをあてない人はこちらで。

1. customdictフォルダにカスタム辞書を入れておく
2. 同期で辞書がオリジナルに戻されたら、ランチャーの「カスタム辞書 / hyphenation辞書 更新」で戻す

こちらの方式では同期の度にオリジナルの辞書がダウンロードされてくるので面倒。辞書のダウンロードが始まったら同期を切ればいいんだが、そのタイミングを知るために画面を見ていなければならないし。


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2016年1月27日 (水)

ドイツ語多読本: Torben Kuhlmann: Maulwurfstadt

一匹のモグラが地中に住み始め、モグラの町というか大都会ができあがるまでの歴史。

Torben Kuhlmann: Maulwurfstadt

45語

巨大な歯車がいくつも重なりあい、暗い空間を圧する重量感が印象的。
文章は最初と最後に少しあるだけ。基本、絵だけで読ませる絵本。

機械化、都市化、文明化、その光と影の物語といったらいいか。文がないので、どう読むかは読む人それぞれで。


表紙のあと、扉のページには、手で横穴を掘って、進んでいくモグラの姿。

最初のページは、緑の草原にモグラの存在をうかがわせる、土の盛り上がりがひとつ。

次には、すぐに他のモグラが数匹、トランクやつるはしを持ってやってきて、それぞれに暮らし始める。

と、次にはもう、地下の奥底まで延びる竪穴につけられた螺旋階段、そこをシャベルやつるはしを肩に、黄色いヘルメットをかぶって降りていく、たくさんのモグラたち。

扉のページでは裸で手で掘っていた穴も、今では機械を使い、モグラたちは服も着ている。

地上の草原には土の盛り上がりが増え、いくつか煙突が飛び出して、黒い煙を吐いている。

と思ったら、もう町に路面電車。さすがモグラだけに垂直にも電車が走る。そして、トレンチコートに中折れ帽と時代を感じさせる服装、でも、画一化されたネズミたちの姿。

そして、予想はつくかもしれないが、その行き着く先は・・・? 
(裏表紙の見返しには、自然保護、環境改善の動きを示す新聞や写真が描かれている)

電車やトンネル掘削機など、メカニックな部分は細かく描きこまれていて見飽きない。それから、雰囲気を出しているのが、オールド・ファッションな服装やテレビ、電話機や蓄音機。
でも、一番印象に残ったのは、螺旋階段がどこまでも続いていく、縦穴を上から下に覗いた場面。一度火がついたら、とどまること知らない欲望の奥知れなさを表しているようで。

TrailerがYouTubeにあがっているので、リンクしておく。


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2016年1月24日 (日)

Kobo: データベースを修復する

kobo端末のデータベースが壊れたときの対処。
mobilereadを"kobo database disk image is malformed"などで検索すると山ほどヒットするので、データベースの障害に出くわす人もけっこういるはず。

修復するには基本、
1. ファクトリー・リセット
もしくは
2. ログアウトして、ログインし直す
(「設定」 > 「アカウント」 > 「楽天Kobo ログアウト」 ログインも同じ手順)
http://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=2494404&postcount=4

ということになるだろうが、ファクトリー・リセットは時間もかかるし、本も消えるし、普通はログアウト。

ログアウトのほうは本は消えないが、それでもメールアドレスやパスワードの入力からやり直しだし、同期に時間がかかったりする。
それに、Kobo eReader.confで設定したフルスクリーンやら本棚同期無効などの設定も消えるし、.kobo内のランチャーやらCFWのファイルやら自分で追加したファイルも消える(あるいは最後に同期を取った時の状態に戻るのかも?)

なので、自分でできる修復方法。
たぶんだらだら同期が終わるのを待つよりはやい。

◎修復方法の前に、データベース(.kobo/KoboReader.sqlite)のチェック方法
◯sqlite3を使う
Windowsの場合はsqlite3をインストールして、たぶんコマンドプロンプトから(http://www.sqlite.org/download.htmlのdllではなく、command line shellが入っているほう)。Macははじめから入っている?

KoboReader.sqliteを端末から持ってきて(もしくはフルパスでKoboReader.sqliteを指定)、

sqlite3 KoboReader.sqlite "PRAGMA integrity_check"

"ok"が出れば、問題なし。
"database disk image is malformed"というメッセージが出たら修復が必要。

Calibreを使う
Calirbreを起動して、KoboをUSBでPCに接続すると、勝手に上のチェックが行われる(あるいは、Kobo Utilities pluginをインストールしているからかも?)。
何もエラーが出なければとりあえず問題なし。
こちらもデータベースが壊れていたら、"database disk image is malformed"というメッセージが出て通信エラーになるので、要修復。

◎修復
ちょっと調べると、ダンプしてデータベースを作り直せば、修復できるという話がたくさん出てくる。たとえば、Calibreの作者さんも。
http://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=503757&postcount=2
ダンプして、sql文のテキストファイルを作り、それを元にデータベースを再構築する、という手順。

◯一挙にやるには、Kobo端末からKoboReader.sqliteをPCの適当な場所にコピーして(もしくは端末のKoboReader.sqliteをそのままフルパス指定で)

sqlite3 KoboReader.sqlite .dump | sqlite3 new_KoboReader.sqlite
とでもすると、新しいデータベースができあがるのだが・・・

ただし、エラーで空のデータベースができてしまうことがあるので注意が必要。このやり方で作り直したときは、できあがったデータベースのサイズをかならず確認すべきだろう。

◯なので、dumpした一時ファイルを確認してから、データベースを作り直す
1. dumpする

sqlite3 KoboReader.sqlite .dump > dump.txt

dump.txtをチェック。dump.txtの末尾が
COMMIT;
となっていればOK。

2. データベースを作り直す

cat dump.txt | sqlite3 new_KoboReader.sqlite
これで新しいデータベースができあがる。
(windowsの場合は、"cat dump.txt | ..." ではなく、"type dump.txt | ..."?)

もし、dump.txtの末尾が
ROLLBACK; -- due to errors
となっているいると、作り直したnew_KoboReader.sqliteの中身は空っぽになる。

この場合は、エディタで"ROLLBACK; -- due to errors"を"COMMIT;"に書き直してから作り直すと、データベースはできあがる。が、エラーでロールバックしたのを無視してデータベースを作ることになるわけで、問題が発生する可能性は残るかも。(参考「Kobo touchのKoboReader.sqliteを修復する」

ROLLBACKされたら、最初に挙げたログアウト方式でデータベースを更新したほうが安全かもしれない。

こんな感じだが、コマンドを打つのはちょっと、という人は、「Kobo: ひもづけなしで端末を使いたい」でも紹介したsqlitebrowserでダンプ・再構築作業はできるので、そちらで。(コマンド操作なら、上で書いたように1行か2行で終わるんだけど・・・)

1. dump(Export)
sqlitebrowserでKoboReader.sqliteを読み込んだら("Open Database")、
メニューの「File」 > 「Export」 > 「Database to SQL file...」 と進む。ダイアローグが現れるのでtalbleをすべて選択して「OK」、そして、適当な名前をつけて(dump.txtなど)保存。
Dbbrowser_export_2

2. 上述のように、ROLLBACKされてないか、dump.txtの末尾をチェックする

3. データベース作り直し(Import)
sqlitebrowserを起動したら、
・メニューの「File」 > 「Import」 > 「Database from SQL file...」 と進み、
Dbbrowser_import
・「Choose a file to import」のダイアローグが現れるので、さっき作ったdump.txtを指定して、「Open」。
・次に「Choose a filename to save under」のダイアローグが現れるので、保存するデータベースのファイル名を入力(new_KoboReader.sqliteなど)、そして「Save」。

あとは、できあがったnew_KoboReader.sqliteを端末のKoboReader.sqliteと入れ換える。

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2016年1月19日 (火)

ドイツ語多読本: Tine Mortier / Kaatje Vermeire: Marie und die Dinge des Lebens

表紙も布張り、アート色が強い絵本。多読にはむずかしめ。

Tine Mortier / Kaatje Vermeire: Marie und die Dinge des Lebens

915語

短気で、すぐ熱くなる性格のMarieは、よく走り回り、よく食べる。「パパ」や「ママ」より「クッキー」という言葉を覚えたくらい。性格が似ているのか、なぜかおばあちゃんと気が合う。

ところが、おばあちゃんは転んで、言葉がうまく話せなくなってしまう。おばあちゃんがしゃべらなくなり、ただぼんやりテレビを見るだけになって、Marieは癇癪を起こしたりもするが、口が動かず何を言っているのかわからないおばあちゃんの言葉がわかるのはMarieだけ。
そして、悪いことは重なり、おじいちゃんが亡くなる・・・。

そんなストーリー。だが、文と絵の構成は凝っていて、単純に絵と文が反映しあっているというわけではないので、多読にはむずかしいだろう。
たとえば、最初のページ。
絵は、桜の木の枝から下を見下ろす構図で、咲き誇る赤い桜の花や生い茂る黒い枝の間にMarieとたぶんおかあさんの姿が見える。桜の枝の上から真下を見る形になっているので、二人の頭と肩のあたりが見えるだけ。Marieはかぶっている帽子とワンピースしか見えない。

そんな絵だが、文章はMarie誕生の場面を描く。
桜の木の下でおかあさんが本を読んでいると、お腹の中の赤ん坊が外に出たがる。でも、本が面白くてやめられない、もう少し待って、なんて思う。
そこに胎児のMarieの声、「冗談じゃない、外に出して、今すぐ」・・・。

絵と文が別の話を喚起していて、それだけに印象的でおもしろく、読み応えがあるとも言えるが、多読的にはすでにドイツ語に慣れた人でないとむずかしいと思う。他のページでも、絵は写実というより、ほとんど心象風景と言ったほうがいいものもあって、芸術的。その分むずかしくもあり、でも心に届いてくる。

おじいちゃんの死に顔を見つめるおばあちゃんとMarieの表情がやわらかくて、とても穏やかなラスト。


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2016年1月16日 (土)

ドイツ語多読本: Suzanna Davidson / Paul Hess: Aschenputtel

飛び出す絵本だが、背が閉じられていないので本ではなく、折りたたみ式、屏風みたいになっている。表のページをめくり終わったら、裏側に続いていく。本の形になっていないので、箱に入っている。サイズは文庫本の幅を少し広くした程度で、小型。

話はシンデレラ。
Suzanna Davidson / Paul Hess: Aschenputtel: Pop-up-Märchen

381語

飛び出す仕掛けももそうだが、ページをめくるごとに、基調になる背景の色が変わるので、そのつど新鮮な気分で眺められる。

子供だけでなく、大人も意識しているのか、絵柄はずいぶん大人っぽい感じ。人物は大人の表情だし、衣服や壁にいちいちついている紋様もおしゃれな雰囲気。城でダンスの音楽を演奏しているのが蝶ネクタイに黒スーツで、妙に現代的だし、王子様はなにやらアラビアの王子様みたいな雰囲気。

ストーリーは誰でも知っているはずだから、どの場面を絵にしているのか楽しみにしながら、ページをめくるのがよさそう。

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2016年1月13日 (水)

E Ink社、300ppi以上のパネルは作れると言っているらしい、でも・・・?

運が悪い人にあたってしまったVoyageの黄色変色ディスプレイだが、その問題はなくなった、なんてmobilereadのポストがあって、その元記事から。
CES 2016(アメリカでこの前やっていた家電見本市)でE Ink社の人が、300ppiより高解像度のディスプレイは作れる、と言ったとか。

http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=269568

元記事は
http://motherboard.vice.com/en_uk/read/want-better-e-ink-displays-for-the-kindle-bug-amazon

元記事のVoyageのディスプレイ問題の記述部分はもう削除されてしまっていて、なんかうやむや・・・。

ともかく、300ppi以上のパネルの話に戻ると、
より解像度の高いパネルを作ることはできるけれども、実際に提供するかどうかは、顧客(アマゾンやKoboなど)が次世代の端末にどんなパネルを求めているかによる、と。うちとしては求められれば出すけれども、人の目に300ppi以上のパネルの違いがわかるかどうか。300ppiで十分というところもあれば、265ppiでけっこう、というところもある・・・・。

こんな感じの話。

このE Ink社の話を取り上げてコメントしているのが、lesen.net。
http://www.lesen.net/ereader/e-ink-wir-koennten-auch-hoehere-aufloesungen-24513/

問題はどこまで解像度、ppiを上げるべきなのか、というところ。上げれば、値段も上がるだろうし、プロセッサの計算力もより必要になる。それに、解像度を上げても、それ以上表示クオリティは上がらなくなる限界点がある。
商品を差別化するために、いずれ300ppiを越える製品は出るだろうが、ppiさえ上げればいいというものではない。表示クオリティは解像度以外にも、コントラストやライトなどの要因によっても決まる。

こんな論評。

--

去年2015年は技術的には何もなかっただけに、今年は何か期待したい気持ちはあるが、さてどうなるか。

2015年は、アマゾンもKoboも旧来製品のディスプレイを2014年にすでに出ていた300ppiのCartaに変えただけで、何も新しいものを出してこなかったのは事実。300ppiの高解像度の製品が安く買えるようになったのは(Kindle Voyageの値段を考えてみよう)喜ばしいことだが、それだけ。Voyageユーザーから見たら、魅力のある製品はまるでなかったわけで。これまでは毎年何かしら革新・進歩があった電子書籍端末だが、2015年は本当に何もなかった。

300ppi以上の高解像度ディスプレイだが、アマゾンやKoboがどう判断するか次第なんだろう。300ppi以上にしても肉眼では差がわからないものなのか、実物を見ることができる人しかわからないし。でも、アマゾンやKoboが300ppiで十分と判断したら、それ以外の部分で何かアピールできないと、新製品に魅力を与えることはできないだろうし・・・。

lesen.netの論評にももっともなところがある。たとえばディスプレイのコントラスト。現行のCartaにしたって、フロントライトをつけてようやく「紙の白さ」だと主張できる代物。ライトなしでは画面は灰色、コントラストが落ちるのはひと目でわかるし、allesebook.deのテストの数値を見てもあきらか。解像度は上げられるとE Inkは言っているんだから、ひょっとしたらコントラスト向上のほうがむずかしかったりして・・・。

このまま2016年も現状維持で進んでいくのか、何か新しいものが出てくるのか。

ついでなので、最近ひさしぶりにLiquavistaの名前を目にしたので、紹介しておく。
"Amazon Should Release a Reader’s Edition Tablet With a Liquavista Display"
http://blog.the-ebook-reader.com/2016/01/06/amazon-should-release-a-readers-edition-tablet-with-a-liquavista-display/
amazon.comが読書に最適と売りだした"Kindle Fire HD 8 Reader’s Edition"は、解像度も低いし、バッテリーは持たないし、日光下では画面が見えなくなる液晶だし、読書に最適とは言えない、もしそんなタブレットがあるとしたら、アマゾンが2013年に買収したLiquavistaのディスプレイを搭載したものだろう、という話。

今年Liquavistaが製品を出すという証拠は何もない。が、そろそろ何か動きがあっていいのでは、という期待があるからこそ、こういう記事も出てきたのだろう。

もうひとつはallesebook.de。
"Das war das eReader-Jahr 2015 – das könnte 2016 bringen"
http://allesebook.de/e-book-reader/das-war-das-ereader-jahr-2015-das-koennte-2016-bringen-68246/

こちらは2015年の回顧と、2016年の展望というか憶測。
以前から、Liquavistaのカラーではなく、モノクロのディスプレイで電子書籍端末を出せばいいじゃないか、なんて言っていたallesebook.de。
この記事でも、2016年のアマゾンで注目したいのは、Liquavistaのディスプレイを使うかどうかだ、と言っている。ただし、省電力のカラー・ディスプレイでタブレットに使われるか、コントラストがすぐれた白黒ディスプレイで電子書籍端末に採用されるかは、判断に迷う、とのことらしい。もちろん、2016年も2015年引き続き、何もない停滞の年になる可能性もあるとしつつの話。

LiquavistaのElectrowettingとかいう技術がどんなものかよく知らないし、液晶に取って代われるほどの性能が出せるのか、それともせいぜい電子書籍端末に使える程度のものなのかもわからないが、何か動きを期待している人もいるみたいだから、気には留めておこう。


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2016年1月 9日 (土)

Kobo: FW3.19.5761 アップデート & パッチ、スクリーンセーバー

今回も同期で普通にアップデートが行われた。楽天がこれまでずっと日本だけアップデートをストップしてきた理由がますます不明。

今回は更新内容は不明。いつものベータ・テストか何かしている人のコメントもない。
mobilereadの "Firmware3.19.5761" のスレッドを見ても、目立った変化は報告されていない。バグを直すと新たなバグが出現するのがKoboだったりするが、今のことろ不具合の報告もないみたいなので、アップデートしても問題なさそうではある。


◎ダウンロード
手動でアップデート、もしくはパッチをあてるためにFWが必要な場合はいつものここから。
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=185660


◎パッチ
Instructions for patching firmware 3.19.5761
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=269574

パッチファイル編集の簡易GUIは
Kobo: いつもの便利なパッチの編集にGUI」参照。

また、辞書ウィンドウのカスタマイズ・パッチは前のFW用のものがそのまま使える。
Kobo: 辞書ウィンドウ・カスタマイズ(FW3.13.1以降)」参照。


◎スクリーンセーバー
これもそのまま使える。再インストールの必要もない。
Random Screensaver Image
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=255238

scanlineモードの設定はgloの場合は前FWと同じでOK(auraは未確認)。
Kobo: FW3.19.5613 アップデート & パッチ、スクリーンセーバー」参照。

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2016年1月 6日 (水)

ドイツ語多読本:Ulf Nilsson / Eva Eriksson: Als Oma seltsam wurde

絵本というには語数は多めで2000語を越える。挿絵入りのお話と考えたほうがいいかもしれない。

Ulf Nilsson / Eva Eriksson: Als Oma seltsam wurde

2160語

バックやポケットからお札がはみ出すほどのお金を持ったおばあちゃん、それを守るように前を行く男の子が手にしているのは、ハンガーで作った弓矢。背後には銀行から出て、こちらを見ている人たち・・・。

なにやら妙なことになっているが、タイトルは「おばあちゃんがおかしくなったとき」。つまり、認知症の発症で自分のお金が盗まれると思ってしまったおばあちゃん、銀行から全部金を下ろしてしまったところ。


6歳の頃、よくおばあちゃんのところへ行ったが、木曜日はパン売りの車が来る日。ハンガーで作った弓矢で遊びながら待っていると、クラクション。おばちゃんを呼びに行くと、いきなり「おまえ誰なんだい?」と、僕のことがわからない。

朝来た時にはパン屋の車のことも話していたのに、急におばあちゃんがおかしくなってしまった。

そして、僕のことを孫ではなく、自分の息子だと勘違いして、「助けておくれ、あいつらわたしをだまそうとしているんだ、お金をちゃんと保管してないんだ」と銀行へ出かけていく・・・。

銀行から家に帰ってからも、また大変。今度はお金を隠さなければ、といろんな場所に隠すのだが、隠し場所を覚えていられない。お前は頭がいいから、代わりに覚えておくれ・・・。

自分のことをおばあちゃんに忘れられて悲しくもあり、おばあちゃんの突然の変化にどうしていいのかわからず、とまどいつつも、おばあちゃんをおもちゃの弓矢で守ろうとがんばる男の子が健気でもあり、(本人にとって状況はシリアスそのものだろうが)微笑ましくもあったり。

最後は、銀行での様子を心配した窓口担当者が医者を連れてきてくれて、おばちゃんは元に戻ってほっとする結末。

でも、その後を想像すると、おばあちゃんの症状は進んでいくんだろうな・・・。

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2016年1月 3日 (日)

Kobo: いつもの便利なパッチの編集にGUI

Koboの便利なパッチだが、GUIでパッチファイルの編集をするものがでてきた。
(できたパッチファイルで実際にパッチをあてる作業はこれまで通り)

Kobo Patch GUI
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=269302

ただし、パッチをあてるかどうか、yes/noを選択するだけのもの。
フォントサイズや余白の拡大/縮小幅などのカスタマイズはできないし、'#'の削除・追加でパッチを設定する箇所も変更できない。それらはこれまで通りエディタで編集するしかない。

その上、試してみたところ、そのままではちょっと不具合があるようなベータ版。Macでは動作未確認とのこと。

◎インストール
1. Python 2.7.x か 3.4.xをまずインストール
 さらにWindowsの場合、Pythonにパスを通しておく(「windows python パス」でgooleで検索を)
2. 上のリンクから、KoboPatchGUIのv0.1-beta2.zipをダウンロード・解凍
3. KoboPatchGUI.pywをクリックすれば起動する

◎使い方
パッチを読み込んで、必要なものにチェックを入れて保存するだけ。起動するとたとえば、
Patchgui_open
最近はあまり見られない古風な外見だが、windows版は違うだろう。

それで、libnickel.so.1.0.0.patch を読み込むと、
Patchgui_ng_2
チェックを入れれば、そのパッチを有効にする、という仕組み。それだけの単純なもの。
( )が下についているものがあるが、( )はグループを示していて、同グループのパッチはその中から一つしか選んではいけない、重複はダメという意味。

マウス・ポインターをそれぞれの項目にもっていくと、ツールチップが表示される(パッチファイルの中身を表示しているだけだが)。これを読んで、パッチを有効にするかどうか判断。
Patchgui_tooltip

チェックを入れ終わったら、"Apply Changes"で、libnickel.so.1.0.0.patchの出来上がり、というわけだが・・・

問題は、このウィンドウにすべてのパッチが表示されてはいないということ。漏れがある。
どうも、グループ分けのためにlibnickel.so.1.0.0.patchに追加した行がうまく処理されてないような感じ? 試しにこの行を消すと、パッチがすべて表示される(そのかわり、重複をさけるためのグループ表示は消える)。
Patchgui_all
こっちにしないと、フォントの詳細設定有効化(フォントを太くする)パッチが出てこない・・・。

--

せっかくなので、繰り返しだが、フルスクリーンで余白/行間/フォントのウェイト調節ができるようになるまでの作業でも。フルスクリーン・バグのパッチにちょっと変更もあったし。

手順は、
1. Kobo本体でフルスクリーンを有効(ヘッダーとフッターの表示:オフ)にする
2. パッチファイルをこのGUIツールとエディタで編集
3. ファームウェアにパッチをあてる
4. できたアップデートファイル(KoboRoot.tgz)でKoboを更新
5. ランチャーで行間・余白設定を有効にする

1. Kobo本体でフルスクリーンを有効(ヘッダーとフッターの表示:オフ)にする
1) PCにつないだKoboの、.kobo/Kobo/Kobo eReader.conf をエディタで開いて、

[FeatureSettings]   
FullScreenReading=true
の2行を追加
ただしWindowsについてくるエディタはダメ。改行コードをLF(Unix方式)にできるエディタを使うこと。

2) Koboを再起動して、上部メニューの「設定」 > 「読書設定」と進むと、「ヘッダー、フッターを表示:」という項目が追加されている。
Kobo_headeroff
これはAuraの画像。Gloとは違うので注意。
「オン」のチェックをはずすと、フルスクリーンになる。

2. パッチファイルをGUIツールとエディタで編集
1) Kobo Patch GUIを準備する(上記参照)
2) パッチをダウンロードして、解凍(FW3.19.5613で説明)
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=268407

3) 上で指摘した問題へのとりあえずの対処
解凍してできたフォルダpatch_kobo_3195613/3.19.5613_source/内のlibnickel.so.1.0.0.patchから、"# patch_group = `...`"の行をすべて削除する。全部で12行ある。エディタで検索して消すなり、好きな方法で。sed -i -e '/patch_group/d' libnickel.so.1.0.0.patch とか。

4) KoboPatchGUI.pyw を起動して、libnickel.so.1.0.0.patchを開く。
必須なのは、
`Freedom to advanced fonts control`
`Fix three KePub fullScreenReading bugs`

でも、このくらいは有効にしたほうがいいかも。参考までに。
Patchgui_rec
`Custom left & right margins`=余白の拡大/縮小幅を小さくする
`Custom font sizes`=フォントサイズ変更幅が小刻みになる
`Brightness fine control`=ライトの変更を10%から1%刻みに
`Search in Library by default`=検索場所のデフォルトをストアから端末に
`Freedom to advanced fonts control`=フォント詳細設定有効化
`Fix three KePub fullScreenReading bugs`=フルスクリーンでのバグフィックス
`Dictionary frame size`=「Kobo: 辞書ウィンドウ・カスタマイズ」の追加をした場合のみ現れる。

あとは好みで
`Custom kepub default margins`=余白の最小値を0にする(0以外にもカスタマイズ可能)
`Custom page refresh options ....`=リフレッシュ間隔を変更(どれか一つ。重複があるとパッチがあたらない)
和書しか読まないなら
`Remove system fonts in Reader list`=フォントのリストから欧文フォントを消す(たぶん全てではない)
などもいいかも。

終わったら、"Apply Changes"をクリック、そして、"Yes"。
これで、libnickel.so.1.0.0.patchの編集はとりあえず終了。

-- 補足:行間のカスタマイズについて。いらないなら読み飛ばす --
`My 15 line spacing values`も有効にしたほうがいい(行間設定が10段階から15段階に増える)が、欧文向けの行間設定になっているので、和書ではエディタでの編集が必要。面倒なら無効で。

# 15 values for replacement, change these to suit:
replace_float = 616228, 1.0, 0.7
replace_float = 6162F0, 1.05, 0.75
...
replace_float = 616248, 3.0, 1.1
となっている各行末の数値を好みに変更。和書だと1.0でも、ルビがあると行間が不ぞろいになるから、0.7というのは・・・。
面倒ならこのパッチはなくてもいいが、デフォルトの最大3.0なんて実質的に使いもしないのを残しておいても仕方がないので、好みにカスタマイズしたほうが快適。
`Custom left & right margins`、`Brightness fine control`、`Custom kepub default margins`なども同じようにカスタマイズ可能。
-- 補足終了 --

4) libnickel.so.1.0.0.patchを1箇所だけエディタで編集。
それは`Fix three KePub fullScreenReading bugs`のセクション。まず、

patch_name = `Fix three KePub fullScreenReading bugs`
patch_enable = `yes`
となっている箇所を探して、さらにその下、

#
# The default patch settings are suitable for horizontal languages only.
# Uncomment the following two replace_string lines for vertical languages only:
#
#replace_string = 0095, `l\0e\0f\0t\0:\0`, `t\0o\0p\0:\0 \0`
#replace_string = 00D5, `r\0i\0g\0h\0t\0:\0 \0`, `b\0o\0t\0t\0o\0m\0:\0`
#
というのがあるので、この"#replace_string = ..."の2行の先頭、#を削除して有効にする。
#
replace_string = 0095, `l\0e\0f\0t\0:\0`, `t\0o\0p\0:\0 \0`
replace_string = 00D5, `r\0i\0g\0h\0t\0:\0 \0`, `b\0o\0t\0t\0o\0m\0:\0`
#
こうする。ここを有効にしないと、和書で行の一番下のフォントが切れる場合がある。

以上で、パッチの編集は終了。
必要なら、他のパッチも同じ要領で。libadobe.so.patchはPDFの余白カット的な機能を有効にするパッチ。

3. ファームウェアにパッチをあてる
1) ファームウェアが必要。ダウンロードは、
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=185660
3.19.5613を探して、Mark3からMark6まであるので、まちがえずに自分のモデルのファームウェアを。

2) ダウンロードしたkobo-update-3.19.5613.zipをそのまま、3.19.5613_sourceフォルダ(libnickel.so.1.0.0.patchと同じフォルダ)に置く。

3) 3.19.5613.sh(Linux/Mac)もしくは 3.19.5613.bat(Windows)を実行。

4) 成功すると、3.19.5613_targetフォルダに、KoboRoot.tgz ができあがる。これがアップデート用のファイル。

4. できたアップデートファイル(KoboRoot.tgz)でKoboを更新
1) できたKoboRoot.tgzをPCにつないだKoboの".kobo"フォルダにコピー。
2) コピーが終わったのを確認したら、USBケーブルを抜く。自動的に再起動。これでおしまい。

5. ランチャーで行間・余白設定を有効にする
1) ランチャー・インストール
Kobo: cfwの本棚作成をランチャーで実行」(v0.2)
Kobo: 行間・余白、フォント調節有効化、ページめくり方向変更を簡単にランチャーで」(v0.1)
参照。
*追記:最新のv0.4を使ってください。「Kobo: データベース用ランチャー更新(H2Oの不具合修正その他)」参照。

2) ランチャーを起動したら
Kobolauncher_menucfw_2

「和書: 行間/余白/フォント調節 有効」をタップ。
処理が終わるとまたランチャー画面に戻る。下の電源スイッチアイコンをタップするとランチャー終了、ホーム画面になる。


結果:
フルスクリーン
Patchgui_full

そのままフォント・メニューを出すと
Patchgui_fontmenu
行間と余白は調節できない。洋書ならできるのに、いつまでも楽天は和書はほったらかし。

ランチャーで「和書: 行間/余白/フォント調節 有効」を実行すると
Patchgui_fontmenu_full
行間と余白が調節できるようになる。
「詳細」からフォントの太さも調節しているので、太めになっている。

あと、フルスクリーンにしないと、余白の調節はできないのでそのつもりで。行間の調節はフルスクリーンでなくても可能。


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