ドイツ語多読本:Wulf Dorn: Die Nacht gehört den Wölfen
中高校生向けの心理サスペンス・ミステリ。文章は平易でかなり読みやすいので、そろそろ10万語程度の長編にでも挑戦したい人向き。Wulf Dornはこれで2冊目(「Wulf Dorn: Mein böses Herz」参照)。
Wulf Dorn: Die Nacht gehört den Wölfen
94000語
アマゾンのKindle版は今のところ値段がちょっと異常なので、Koboかドイツのストアからepub版を買ったほうがいい(「電子書籍のドイツ語洋書は今のところ、ドイツのストアから買ったほうが安いかも」参照)。
主人公は16歳の少年、Simon。両親と車でおばのところへ向かっている途中に自動車事故、両親は死に自分だけ生き残る。自分だけ生き残った罪悪感とともに悪夢を見るようになる。そこに現れるオオカミ、お前も死ぬべきだったのだ、という声・・・。
クリニックを退院したSimonはおばに引き取られる。そこには大好きな兄も離れに住んでいて、ひとまずは安心。だが、転校先の学校には家から通うのではなく、寮で生活をするように言われてショックを受ける。というのも、Simonは自閉症的で環境の変化を極度に嫌うからだ。それにかつて学校でいじめを受けたこともある。
そんな新たな環境の変化に対する不満や不安、また悪夢の恐怖に苛まれるSimonの心情がストレートに描かれる一方、転校手続きで出かけていった学校で出会った少女Caroとの恋愛めいた感情も瑞々しく描かれる。お互いはぐれ者同士だということで共感し、取り壊し間近の古いホテルに二人で忍び込む・・・。
が、事件はすでに起こっていて、16歳の少女が行方不明、何らかの犯罪に巻き込まれたらしいというニュースが町を騒がせており、さらに事件はSimonの周囲にも及ぶ。兄の恋人が嵐の晩に何者かに大怪我を負わされる。そして、Simonは事件が起こった夜、その兄の恋人が何者かの車に乗り込むのを目撃していたのだった。
そして、犯人に思い当たるSimon。Caroと協力して犯人の尻尾をつかむ危険な賭けに出る・・・。
という筋なのだが、怪しげな人物がそのまま犯人になりそうな流れで、なんだか単純すぎて、つまらないストーリーになりそうだと思っていたら、最後にどんでん返し。
うーん、叙述トリックかよ、まんまとだまされてしまった、という感じ。
そして、Simonの両親が死んだ自動車事故の真相もあきらかになって、やりきれない思いばかりが残る結末。
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