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2015年12月

2015年12月30日 (水)

ドイツ語多読本: Mark Sperring / Sébastien Braun: Wann habe ich endlich Geburtstag?

日本なら「もういくつ寝るとお正月?」だが、そんな感じの、誕生日が待ち遠しい気持ちに素直に突き動かされる子グマと、それに翻弄されるパパの話。

Mark Sperring / Sébastien Braun: Wann habe ich endlich Geburtstag?

630語

夏の朝、目を覚ますとパパのベッドに飛んでいく子グマ、「起きて、きょうは僕の誕生日だよ」。
パパは驚き、しまったという顔をして、あわててドアから飛び出していく。が、いや待て、あと3日あるじゃないか・・・。

次の日の朝、また同じ光景が繰り返されるのは、コメディの定番パターン。「きょうは誕生日だよ」・・・。
パパは今度は家の外まで飛び出して行ってから、はて、と我に返り、うめき声をあげる。
いいかい、誕生日まであと2回寝なくちゃダメなんだと説明して、ちゃんと対策を講じる。

それで次の日の朝はパパがゆっくり寝ていられるかどうかというと・・・、もちろんうまくいっては、笑いはとれない。
また子グマが起こしにくる。「誕生日だよ」ではなく、「あと何回寝なくちゃダメなの?」と教えたことが仇になるという・・・。

こんな感じで、子グマに翻弄されつつも、毎回「起きてしまったから仕方ない、出かけようか」と子グマを連れだしては、こっそり誕生日の準備をするパパなのだ。

そして誕生日当日のサプライズも大成功、満足の子グマを見守るパパだが、「よし、あしたこそゆっくり寝られそうだな・・・」

が、そうは問屋が下ろさない最後のオチでも笑わせてくれる、絵柄もストーリーも軽妙で楽しく、温かい絵本。

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2015年12月27日 (日)

Kobo: ランチャーのcfw本棚作成スクリプトを修正(言語コレクション)

ランチャー用CFWの本棚作成スクリプトを少しだけ修正。

データベースでLanguageが"de-DE"となっているドイツ語書籍が[Deutsch]コレクションではなく、[その他の言語]コレクションに入ってしまうので、その対応。

それ以外は変化なし。
言語によるコレクションを作成しない人、ドイツ語の本を読まない人には関係ないが、いちおうアップ。

ダウンロード:KoboLauncher_cfw_script_plus_rev02.zip
(スクリプトのみでランチャー本体は入っていない)

ランチャー本体については、
「Kobo: cfwの本棚作成をランチャーで実行」

CFWの本棚作成スクリプトについては
「Kobo: cfwの本棚作成スクリプトをカスタマイズ & Calibreと連携」
「Kobo: cfwの本棚作成スクリプトを更新(著者名コレクションの修正その他)」
を参照。


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2015年12月24日 (木)

Kobo: ひもづけなしで端末を使いたい

楽天のアカウント作ったほうがはやいと思うが、やり方が記事になっていたので。

海外ならAdobeDRMの本しか読まないからkoboのアカウント認証はいらない、なんて人もいるかもしれない。そういう場合、koboの端末はアカウントでログインしないと使えなくて不便、という話なのだが、日本ではどうなんだろう。ストアから本(和書)は買わない、自炊本やDRMフリーのepubしか読まない、という人がどのくらいいるのか知らないが、とにかくそういう人向けの話。

http://allesebook.de/anleitung/anleitung-kobo-ebook-reader-ohne-registrierung-verwenden-67990/

当然、認証回避したら、本は買えないし、クラウドも使えなくなるから、購入済みの本もダウンロードできなくなる。(Adobe DRMの本は別認証なので読める)

昔のCFWには認証回避手段がついていたし、今ではKSMなんかをインストールすればたぶんできるだろうが、データベースをちょっと編集するだけなので、それらをインストールするまでもないだろう。

◎準備するもの
データベースを書き換えるので、そのツール。
DB Browser for SQLite
sqlitebrowser-3.7.0
https://github.com/sqlitebrowser/sqlitebrowser/releases
Windows/Mac/Linuxそれぞれに対応している。Linuxならそれぞれのディストリビューションにパッケージがあるはず。

◎手順
1. バックアップ。
データベース本体(KoboReader.sqlite)だけでもいいかもしれないが、ログアウトするので.koboフォルダをまるごとバックアップしたほうがいいかもしれない。

2. Koboを起動したら、メニューの「設定」 > 「アカウント」と進み、「楽天Kobo」を「ログアウト」。
もしくは「デバイスのリセット」だが、出荷時の状態に戻す必要はないだろう。

3. Koboが再起動して、言語を選ぶ画面になる。

4. 次にWiFiに接続してセットアップするか、USBでPCにつないでセットアップするか聞かれるので、PCに接続するほうを選ぶ。

5. USBでKoboをPCにつないだら、データベースを変更する。
1) sqlitebrowserを起動して、データベース(PCにつないだkobo端末の.kobo/KoboReader.sqlite)を開く。

2) 「user」を探して右クリック、「Browse Table」を選択。(元記事の画像を参照)
 もしくは「Browse Data」タブをクリックして、「Table:」のドロップダウン・リストから「user」を選択しても同じ。

3) ここのデータを消す。やり方は
- 「Delete Record」をクリックして削除。
- 「New Record」をクリックして空っぽのエントリー作成。
あとは保存。メニューの
- 「Write Chaneges」をクリック。
元記事の画像のようになる。

6. USBケーブルを抜くとKoboが再起動。WiFiかPCでのセットアップかの選択画面が一瞬現れるが、すぐにホーム画面になり、無事使えるようになる。

7. 「設定」 > 「同期/お知らせ」 > 「自動バックグラウンド同期」をオフに。
同期が始まると終わらなくなるので、バッテリーがすぐになくなるとのこと。

◎FW3.19の注意点
・認証回避したら以後は、「設定」 > 「アカウント」に進む場合は、事前にWiFiをオフにしておくこと。そうしないと、フリーズしてリセットを余儀なくされる、だそうだ。

・3.19以前に認証回避している場合、そのまま3.19にアップデートすると、エラーが出てログインを求められるそうだ。が、上のデータベースの書き換え部分の操作で対処できるそうだ。

この手順でできたが、Kobo eReader.confの設定(メニューの「設定」で変更した項目その他)デフォルトに戻されるので、バックアップしておいた.koboフォルダから戻してやる必要がある。KoboLauncherなども消える。

というわけで実験終了。
バックアップしておいた.koboをまるごと元に戻せば、以前の環境が復活するので問題なし。

箱から出したばかりの新品のKoboの場合は、セットアップをWiFiでするかPC経由でするかを選択するところでPCを選んで、データベース書き換え作業をすればいいのかな。
でも、セットアップ中にFWのアップデートがあるはずで、あれはアカウントの認証設定の前だったか後だったか。CFWの認証回避のようにセットアップでPCにつないだ時点で、最新FWを.koboにコピー、USBを抜いて再起動して、FWを手動アップデートしてしまってから、データベースを書き換えるのがいいのかも。まあ、認証回避なんてする人は自分で何とかするでしょう。


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2015年12月21日 (月)

Kindle版学習者向けドイツ語辞書:PONS Großes Deutschwörterbuch: Das umfassende Lernerwörterbuch für Deutsch als Fremdsprache

KindleではDuden Deutsches Universalwörterbuchというドイツ語辞書が利用できるが、これは一般のドイツ人が使う国語辞典みたいなもの。外国人でドイツ語を学習している人には少しむずかしいはず。最近では独英のOxford German-English Dictionaryもフリーで使えるようになって、辞書の選択肢は増えた。
もちろん、有料の辞書なら以前からCollinsやPONSの独英があったが、学習者向けの辞書はなかった。

最近、ドイツ語の学習者向け辞典のKindle版が発売された。
PONS Großes Deutschwörterbuch: Das umfassende Lernerwörterbuch für Deutsch als Fremdsprache (German Edition)

値段は1500円程度で高いと思うかもしれないが、紙の辞書は1500円では買えないと思えば安い。

おそらく紙の辞書はこれ
PONS Großwörterbuch Deutsch als Fremdsprache - Mit Online-Wörterbuch und Drehscheibe unregelmäßige Verben"
Kindle版と中身が同じかどうかわからないが、収録語数も同じだし、Kindle版の元になっているのは、これっぽい。値段は29.99ユーロだから、3500円から4000円程度になるはず。


さっとみた感じだと、やはり説明はDudenよりやさしい。その分大雑把とも言えるが、Dudenはむずかしいという人は試してみるのもいいだろう。どうせ独和辞典なんか待ってもKindle版が出るとは思えないし、さっさと独独辞典を使ったほうがいい。

デフォルトのドイツ語辞書をDudenにしておいて(「設定」 > 「端末オプション」 > 「言語と辞書」 > 「辞書」 > 「ドイツ語」)、本を読んでいる時には辞書ウィンドウでPONSを使うようにしておくと、検索語がPONSに見つからないと、デフォルトのDudenから探して意味を表示する(昔のようにすべての辞書を検索するわけではないようだ)。

もちろん語数だけでなく、語の定義や用例、慣用句の豊富さではDudenのほうが上だが、さっと意味だけ見るにはPONSの辞書のほうが楽だろう。細かなところを知りたかったら、Dudenに切り替えればいい。

動詞を引いてみると、学習者向けの辞書だというのがよくわかる。
たとえば、nachweisen(証明する)を引くと、
3. ■ jmd. weist jmdm. etwas nach
と実際の文での使い方を太字で示してから(nachweisenは分離動詞なので、nachが文末になる)、意味の説明になる。
略号を説明すると、
 jmd:誰かが(=主語1格)
 jmdm:誰かに(=3格目的語)
 etwas:何かを(=4格目的語)
Dic_pons_nachweisen

参考までに、同じ学習者向けのLangenscheidtの辞書(Taschenwörterbuch Deutsch als Fremdsprache)では、文ではなく、主語なしで不定詞句の形でパターンが表記される。
j-m etwas nachweisen
(j-mは上のjmdmと同じ意味。ちゃんと単語で書けば、jemandem)

一般の辞書ではこういう文のパターンは太字で明示されたりしない。nachweisenをDudenで引くとこうなっている。
Dic_duden_nachweisen
(まだ5.6.5にアップデートしてないので、辞書ウィンドウは昔のまま)

PONSのほうが見やすく、説明も簡単ではないかと思うが、大雑把でかえって不安という人はDudenを使えばいい。
とにかくドイツ語でも学習者向けの辞書が手に入るようになったのは、喜ばしいこと。

-- 追記 --
忘れていたので書いておくと、このPONSの辞書は単語の発音はついていない。学習者向けの辞書としてはちょっと気になるところかもしれない。が、Dudenにも発音はなく、なぜか独独辞典には発音がついていない。
発音を知りたかったら、独英辞典のOxford German-English DictionaryやCollins Concise German-Enlish Dictonary(こっちは有料)には発音記号がついている。
-- 追記おしまい --

たまたま引いたschwarz(黒い)の説明が「夜空の色」になっていたのは予想外だった。向こうの人は黒を説明するのに夜空を例にするのか・・・。


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2015年12月18日 (金)

ドイツ語多読本: Kai Meyer: Die Sturmkönige 1 - Dschinnland

翻訳が出ると聞いたので読んでみた。
Kai Meyerはすでに何冊も日本でも翻訳が出ている作家。若い人向けのファンタジーが訳されているが、これは大人向けのようだ。

空飛ぶ絨毯やジン(例の、下半身が煙みたいになっている魔人)なんかが出てくる世界を舞台にした冒険ファンタジーといったところか。
三部作とされているが、読んでみたところ、1冊でそれなりに話が完結しているというわけでもなく、ただの3巻で完結するうちの1冊目。

電子書籍の図書館Onleiheにもあるので、無料で借りられる。利用方法は以前書いたことがある

Kindle版
Kai Meyer: Die Sturmkönige - Dschinnland

87000語

ドイツ語の内容紹介はこんな感じ。女性視点の話のようになっている。適当にかいつまむと、
「Sabatea(主要登場人物の女性の名前)の秘密は血にある。それは恵みでもあり呪いでもある。支配者の宮殿という牢獄から抜けだした彼女が飛び込んだのは、『ワイルド・マジック』の地、そして、無法者Tarikの腕の中・・・。この男はドラゴンの毛を密輸するため、自然法則が成り立たない地を渡るのだ。二人は旅を共にし、その果てに現れる別世界・・・」

みたいな感じ。表紙も合わせて女性読者獲得を狙っているようだ。

昔出た本なので、表紙もいろいろ変わっているようだ。まるで印象が違う。
Dschinnland_cover01  Dschinnland_cover02


翻訳はつい最近出た。
本の中身をそのまま反映した表紙。
魔人の地 嵐の王 (創元推理文庫)

こっちの内容紹介:
「腕利きの絨毯乗りターリクは、絨毯競争の最中にひとりの女を助けた。太守の待女だというその女(Sabatea)は彼に、絨毯でサマルカンドを脱出し、カリフの治めるバグダッドに行ってほしいともちかける。だが絨毯に乗るのも町を出るのも死罪。そのうえ町の外に広がる砂漠には恐ろしい魔人がいる。いったんは断ったものの、仲が悪いとはいえたったひとりの弟が女の口車に乗せられてバグダッドに向かうのを知り、あわててあとを追う。」

こちらはTarikが主人公の話のように紹介している。こちらの内容紹介のほうが本の中身に即していると思うが、読み方は人それぞれ。
それにしても、ファンタジーは「創元推理文庫」に入るのか・・・。

--
冒頭はいきなり空飛ぶ絨毯のスピード感あふれるレース場面から。乗るのはTarik。もともとはバグダッドとサマルカンド間の密輸を生業にしていたが、6年前に恋人のMaryamを砂漠で失ってからは、禁じられた絨毯レースと酒に溺れる日々。宮殿の番兵が放つ矢をかいくぐりながら絨毯を飛ばしていると、この6年前の事件で険悪な仲になっていた弟Junisに遭遇。冷酷に弟を追い落とすものの、途中Sabateaを拾い上げることになってしまう。仕方なくレースは断念。サマルカンド上空、絨毯の上でSabateaを一夜を過ごす。

それで、このSabateaがバグダッドへ連れて行け、という。サマルカンドの城壁の外、砂漠はジンが支配する危険な土地、人間は襲われ、殺される。密輸稼業から足を洗っているTarikは冷たく断るのだが、弟JunisがSabateaを連れてバグダッドに向かったと聞き、後を追うTarik・・・。

あとは、空飛ぶ絨毯でジンの跋扈する砂漠を渡る冒険がこの第1巻のメイン・ストーリー。
TarikはJunisとSabateaに追いつき、バグダッド行きに同行することになるが、もちろんジンに遭遇。弟と離れ離れになり、捉えられて洞窟の天井に吊り下げられた町(鳥怪人が作った町)に連れていかれ・・・。

そこでの噂では、ジンが人を殺さずに集めているのは、バグダット総攻撃のための道具にするためだ、なんてことも言われていて、何やら不穏な展開が待っている予感。

さらにTarikはジン貴族(Dschinnfürst、翻訳ではどう訳されているのかは知らない)の一人Narbennarr(安易に英語っぽくすると、スカー・フール)に再会。こいつが気持ち悪い。ばらばらの人間を切り貼りして自分の体にしている。だからジンなのに足がある。で、再会というのは6年前恋人のMaryamを失った時に出くわしたジンがこいつだからだ。そして、なんとこのNarbennarrがMaryamの居場所をTarikに尋ねる。Maryamは死んだのではなかったのか? それとも生きているのか、そしてなぜジンがMaryamに会いたがるのか・・・?

そして、本のタイトルにもなっているSturmkönige(これが翻訳のタイトルになっている「嵐の王」。ジンなどの怪物側のものかと思っていたら、まったく違った)も登場、さらにはSabateaが何者で何を目的にバグダッドを目指したのもあきらかになり・・・。

最後、ばらばらになったTarik、Sabatea、Junis、それぞれを待つ運命は? と次巻が気になる終わり方。


アラビアンナイト的な世界を舞台にしたファンタジーは日本ではあまりない? ひょっとしたらめずらしいのかもしれない。

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2015年12月14日 (月)

Kobo: 辞書ウィンドウ・カスタマイズ(FW3.13.1以降)

いつもお世話になっているKoboのパッチだが、辞書ウィンドウをカスタマイズするパッチが追加された。

Patch 'Dictionary frame size'
http://www.mobileread.com/forums/showpost.php?p=3221040#post=3221040
libnickel.so.1.0.0だけでなく、nickel本体にもパッチをあてるようだ。

やり方は、
1. 3.xx.x_source/libnickel.so.1.0.0.patch に上のリンクページのCodeを追加する。
2. 上のリンクページの"nickel.zip"を解凍、nickel.patchを3.xx.x_sourceフォルダにコピー。
3. 3.xx.x.sh(windowsは3.xx.x.bat)を実行。
4. できあがったKoboRoot.tgzをKoboの.koboフォルダにコピー、再起動。

注意点:
・Linux/Macの場合は最新の3.19.5613.shを使うこと(このコメント参照)。古いやつだとnickel本体にパッチがあたらないので。
したがって、3.13.1から3.18.0の人は、3.19.5613.sh内、最初にある"FIRMWARE_VERSION=x.xx.x"を自分のファームのバージョンに書き換えること。

もうひとつ、
そのままパッチをあてたら、辞書ウィンドウ内の最終行のフォントが切れてしまった。なので、辞書ウィンドウの高さを20pxほど大きくした。nickel.shを少し変更。
6インチモデルを例にすると、nickel.shをエディタで開いて、
#pop-up box diamension-Glo のところ、

replace_string = 00C5, `min-height: 280px;`, `min-height: 360px;`
replace_string = 00D9, `max-height: 280px;`, `max-height: 360px;`
となっているのを、行末の360pxを380pxに変更。
replace_string = 00C5, `min-height: 280px;`, `min-height: 380px;`
replace_string = 00D9, `max-height: 280px;`, `max-height: 380px;`

結果はこんな感じ。左がオリジナル、右がパッチをあてたもの。
Dict_window_ja
ウィンドウのサイズが大きくなっているだけでなく、辞書ウィンドウ内の余白が小さくなって、行あたりの文字数も増える。

もうひとつ
Dict_window_en
画像はともにフルスクリーン(ヘッダー、フッターの表示オフ)にしているので、上下の余白はない。

洋書はやはり辞書をよく引くので、辞書の表示面積が大きくなるのはとてもいい。

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2015年12月10日 (木)

Kobo: FW3.19.5613 アップデート & パッチ、スクリーンセーバー

12月にあるだろうと言われていたKoboのアップデート、3.19.5613。
そして、日本の楽天もようやく海外と歩調を合わせる気になったのか、日本でもアップデートが配布されている。同期を取ったらアップデートされた。

3.18.0からは海外と同時に日本でもアップデートが提供されているが、方針を変えたのか、楽天? それはそれで喜ばしいこと。今回は日本語フォントの変更があったので、そのせいもあるのかもしれない。

◯ダウンロード
同期を取ればアップデートされるが、パッチをあてる、もしくは手動でアップデートするにはダウンロードを。
いつもの
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=185660 から。

miniを除くすべてのモデルがアップデート対象のようだ。

◎更新内容
新機能の追加ではなく、バグフィックスがメイン。

いつもの人のメモから。
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=268351
・3.18.0でのリフレッシュ問題(フルスクリーンにすると毎ページリフレッシュになる)の修正。
・日本語フォントの変更。これまでのゴシックとリュウミンから、「Kobo UD角ゴ」と「Kobo筑紫明朝」に変更。
・USBケーブルでPCにつなぐとスリープするようになった(ライトがちゃんと消えるようになったということか)。
・トルコ語環境の改善。
・日本語の読書環境(japanese reading experience)改善。(といっても、フォントを変えただけのようだが?)
・読んでいる本の検索で、正しい本を検索するようになった。
・Keyboard or web view could have been blacked out if you slept/woke the device quickly(わからない)
・章ごとにファイル分けされておらず、1ファイルに何章も入っているkepubのパフォーマンス改善。
・他のフォーマットのパフォーマンス改善。

他の人の報告によると、
・Auraで、ピンチ操作によるフォントサイズ変更を有効・無効にする設定がきちんと動くようになった。
・Auraで章のはじめにリフレッシュする動作が正常になった。
・データベースを書き換えて認証回避している場合、同期できない。

こんな感じか。

個人的な感想:
◯やはり重要なのは、フルスクリーンでのリフレッシュ問題が解決したこと。これは大きいだろう。

◯日本語フォントの変更も大きな変化。
メニューのフォント(ゴシック)は以前よりくっきり見やすくなったように思う。
筑紫明朝のほうはどうだろうなあ。Gloでしか確認していないのでわからないが、少し太くなったような気もしないでもない。でも、まだそのままでは見やすいとは思えない。300ppiのglo HDだったら、また違うのかもしれないが、持ってないし。
ちなみに、これまでのリュウミンはOTF、新フォントはTTFだそうだ。どういう意図なのかは不明。
個人的にはリュウミンのほうが好みだが、仕方ない。

また、Kobo eReader.confで見るとフォントは、
「Kobo 筑紫明朝」が"KBJ-TsukuMin Pr6N RB"
「Kobo UD角ゴ」が"KBJ-UDKakugo Pr6N M"となっている。

"Kobo"と頭につけているからには、Koboの独自仕様のフォント? よくわからないが、筑紫明朝のほうはこれか?
http://fontworks.co.jp/font/tsukushi/tsukushimin/RB.html
RBとなっているので、横棒を太めにしたフォントのようだ。

UD角ゴのほうはよくわからないが、"M"なので、RegularではなくMediumだろう。
UDフォントなので、紙ではなく電子機器などのスクリーンを念頭に置いたフォントか。
メニューが見やすくなったのはいいとしても、ゴシックで本の本文を読む気にはならない。

けっきょくフォントはパッチをあてて、フォントの太さを変更可能にしないと、まだ読みにくいだろう。もしくは、Koboはフォントの追加が自由にできるので、好きなフォントを追加するか。

もうひとつ文句を言っておくと、Kindleにはレギュラーのフォントにボールドフォントもついてくるから、太字の表示がきれいだが、Koboの日本語フォントにはボールドフォントがない。だから太字が汚い。この点にも変化はないようだ。

◯で、上のリストにある「日本語の読書環境(japanese reading experience)改善」だが、どうもフォントを変えただけのようだ。
あいかわらず日本語フォントは欧文フォントと違って、そのままでは太さの変更ができないし、余白と行間の調節もできないまま。何も変わってはいない。

行間・余白の調節を可能にするには、これまで通りデータベースの書き換え(本の言語設定を日本語から他の言語に強制変更)が必要だし、パッチをあてないとフォントの太さは変えられない。

◯ヘッダーとフッター(上下の余白部分)が大きくなっている。
この点は、Koboの開発者がどういうセンスをしているのか、まるでわからない。フッターはパッチで小さくできるが、ヘッダーはどうしようもない。
なので、個人的にはフルスクリーン(ヘッダー、フッターの表示オフ)必須。

で、フルスクリーンにすると、和書で一番下のフォントが少し切れる。これもパッチで修正可能だからいいが、上下の無意味な余白を大きくするなら、フルスクリーンも正式サポートしろ、と言いたい。


◎パッチ
Instructions for patching firmware 3.19.5613
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=268407

ほんとにこのパッチなしではやっていけない。


◎スクリーンセーバー
いつものやつがそのまま使える(再インストールの必要はない)。
Random Screensaver Image
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=255238

だが、スリープ時と電源オフ時のスクリーンのスキャンはやり直し。やり方は3.18.0の時の記事を参照。

日本語環境のgloなら、.addons/screensaver/screensaver.cfg で、
 offset=115
 standby=84e0a7c5819ead4a562d51eb0655599b
 poweroff=626d37eb73ed200b62aa7642b5409698
でいけるはず。auraはまだアップデートしてないので未調査。

-- 追記 --
auraの場合
offset=115
standby=be188c9fd7abc62bf8266d5f60904def
poweroff=ac62a250d1ea18ddef461d1a4e2e71e4
-- 追記おしまい --

行間・余白調節可能化、cfw本棚作成ランチャー
ファームのアップデートで起動ファイルが書き換えられるので、再インストールが必要。KoboRoot.tgzを.koboにコピーしてやるだけでよい。ただし、cfwの本棚作成機能を使っている人は、koboCFW.confが上書きされるのでバックアップを取ってから。
アップデートで/etc/init.d/on-animator.shが公式ファームのものに戻っただけなので、わかる人はtelnet/sshなどで、このファイルをランチャーについてくるものに差し替えて再起動すればいい。


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2015年12月 7日 (月)

フリーの辞書をKindle用辞書に変換

辞書変換ツールのpenelopeが最近mobiに対応した。

Kindleのドイツ語辞書はDudenの他に、最近ではOxford German-English Dictionaryもダウンロードできるようになったし、なんならCollinsやPonsの独英辞典を購入・追加もできるので、あえてフリーの辞書を入れることもないのだが、興味本位で。

Penelope 3.1.1
https://github.com/pettarin/penelope
もしくは
https://pypi.python.org/pypi/penelope/

mobi対応といっても、他の辞書をKindleのmobiに変換するだけ。Kindleの辞書を他の形式に変換することはできない。そもそもKindleの辞書にはDRMがかかっているし。

◎準備:
Pythonは2.7.xもしくは3.4.x以上。
pipでインストールできるようになったので、インストールは簡単。
以下の作業はlinuxで。

(と思ったが、うちの長期サポートのubuntu 12.04は古いせいか、Pythonはpip未対応。仕方がないので、python-3.4.3のソースをダウンロードしてビルドした。なので、下の"pip install ..." はすべて"pip3 install ..."で行った。)

1. penelopeのインストール

$ sudo pip install penelope

他に必要なものもpipでインストール可。

$ sudo pip install marisa-trie
Koboの辞書の読み出し・書き出しに必要(昔のようにMARISAのビルドの必要はなくなった)

$ sudo pip install lxml
xmlの読み出し・書き出しに必要

$ sudo apt-get install dictzip
stardictの辞書作成にdictzipが必要

2.mobi作成ツールをアマゾンからダウンロードして、パスの通ったところへコピー(/usr/local/bin/など適宜)。
kindlegen
https://www.amazon.com/gp/feature.html?docId=1000765211


◎辞書の変換
変換した辞書は、以前kobo用の辞書に使ったbabylonの独英をstardict形式に変換したもの(「Kobo: フリーの辞書をKoboの辞書に変換」参照)
kobo形式の辞書からの変換はうまくいかなかった。

1.stardictの辞書は、*.dict.dz、*.idx、*.ifo、*.synに分かれているので、それをzipにまとめておく。

$ zip babylon_ger-en_stardict.zip NEW_Babylon_German_English_dictionary.dict.dz NEW_Babylon_German_English_dictionary.idx NEW_Babylon_German_English_dictionary.ifo NEW_Babylon_German_English_dictionary.syn

2.あとはpenelopeの実行

$ penelope -i babylon_ger-en_stardict.zip -j stardict -f de -t en -p mobi -o ger_en_babylon.mobi --title "Babylon German-English dictionary"

これでとりあえずはできあがるが、kindleに持っていて使ってみたところ、人称変化や格変化などの語形変化にまったく対応していない。これでは使い物にならない。

が、penelopeのオプションをもう一度確認すると、--flatten-synonyms ってやつがある。同義語も見出し語にしてエントリーを追加するものらしい。

試しにやってみると、

$ penelope -i babylon_ger-en_stardict.zip -j stardict -f de -t en -p mobi -o ger_en_babylon_flatten.mobi --title "Babylon German-English dictionary" --flatten-synonyms

語形変化に対応した辞書ができあがった。いろんな変化形は同義語扱いになっているようだ(*.synファイルか)。
ただしファイルサイズは大きくなる。変化形毎に同じ語義エントリーを繰り返すわけだから、辞書は大きくなってしまう。

--flatten-synonymsなしの場合は、21M、
--flatten-synonymsありの場合は、65Mの辞書サイズになった。かなりでかい。

語形変化に対応していない辞書は使えないから仕方ないが、Kobo形式に変換した辞書だと語形変化に対応していてもサイズは12M。もう少しなんとかならないかな。

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2015年12月 3日 (木)

ドイツ語多読本:Wulf Dorn: Die Nacht gehört den Wölfen

中高校生向けの心理サスペンス・ミステリ。文章は平易でかなり読みやすいので、そろそろ10万語程度の長編にでも挑戦したい人向き。Wulf Dornはこれで2冊目(「Wulf Dorn: Mein böses Herz」参照)。

Wulf Dorn: Die Nacht gehört den Wölfen

94000語
アマゾンのKindle版は今のところ値段がちょっと異常なので、Koboかドイツのストアからepub版を買ったほうがいい(「電子書籍のドイツ語洋書は今のところ、ドイツのストアから買ったほうが安いかも」参照)。

主人公は16歳の少年、Simon。両親と車でおばのところへ向かっている途中に自動車事故、両親は死に自分だけ生き残る。自分だけ生き残った罪悪感とともに悪夢を見るようになる。そこに現れるオオカミ、お前も死ぬべきだったのだ、という声・・・。

 クリニックを退院したSimonはおばに引き取られる。そこには大好きな兄も離れに住んでいて、ひとまずは安心。だが、転校先の学校には家から通うのではなく、寮で生活をするように言われてショックを受ける。というのも、Simonは自閉症的で環境の変化を極度に嫌うからだ。それにかつて学校でいじめを受けたこともある。

そんな新たな環境の変化に対する不満や不安、また悪夢の恐怖に苛まれるSimonの心情がストレートに描かれる一方、転校手続きで出かけていった学校で出会った少女Caroとの恋愛めいた感情も瑞々しく描かれる。お互いはぐれ者同士だということで共感し、取り壊し間近の古いホテルに二人で忍び込む・・・。

が、事件はすでに起こっていて、16歳の少女が行方不明、何らかの犯罪に巻き込まれたらしいというニュースが町を騒がせており、さらに事件はSimonの周囲にも及ぶ。兄の恋人が嵐の晩に何者かに大怪我を負わされる。そして、Simonは事件が起こった夜、その兄の恋人が何者かの車に乗り込むのを目撃していたのだった。

そして、犯人に思い当たるSimon。Caroと協力して犯人の尻尾をつかむ危険な賭けに出る・・・。

という筋なのだが、怪しげな人物がそのまま犯人になりそうな流れで、なんだか単純すぎて、つまらないストーリーになりそうだと思っていたら、最後にどんでん返し。


うーん、叙述トリックかよ、まんまとだまされてしまった、という感じ。
そして、Simonの両親が死んだ自動車事故の真相もあきらかになって、やりきれない思いばかりが残る結末。

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