ドイツ語多読本:Philip Waechter: Kuchen bei mir
何度も紹介しているPhilip Waechterの絵本をまた。
Philip Waechter: Kuchen bei mir
49語
ビンに手紙を入れて海に。
普通は誰に届くともわからない手紙、そこにロマンがあったりするが、この絵本ではそうではなく、ちゃんと目的の友だちに届く。
開くと左ページに文、右に絵。
たまに見開きで一枚の絵だが、基本、左ページに文章。文章は手紙になっている。手紙を読みながら、それと並行して絵のドラマが進んでいく、二重奏的な構成になっているのがおもしろいところ。
最初ページは、手紙の最初のあいさつ「やあ」の一言。それに対して、右ページには、部屋の丸いテーブルに頬杖をついて文面を考えている様子の絵。
次のページには「元気かい?」の一文。絵では、手紙をビンに詰めている場面。
そして、「ぼくは元気だよ」の一文には、手紙を入れたビンを海に投げ入れる場面。
「また遊びにこない?」の文には、海に浮かぶビン、それをすくおうと網を伸ばす客船の乗客の絵、などなど。
こんな感じで手紙が続き、絵のほうではビンがやがて海岸に届き、それを読む友人、友人は荷造りをする、自転車に乗って遠い道のりを走る・・・・というストーリーが展開する。
そして手紙の最後「じゃあ、また」の結びを読んだところで、絵では友人が家に到着する・・・。
こんなシンプルな構成ながら文と絵の重層的な作りもおもしろく、絵のほうは絵柄も色使いもやさしく、見ているだけで気持ちがいい。Waechterの絵は街の様子も自然の風景も、コミック風ではありながら、とてもくっきりして目に鮮やか。見ていて飽きない。
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