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2015年3月20日 (金)

Kobo:楽天、OverDrive買収で、電子書籍が借りられるようになる?

楽天がOverDriveを買収だとか。

紙の本と同じように電子書籍も図書館から借りられる時代がいつかきて欲しいもの。
海外ではすでに行われていることだし。
OverDriveはアメリカでそういう仕組みを作ったところのようだ。

ドイツにはOnleiheというのがあって、ありがたいことに、これは日本でも利用可能(ゲーテ・インスティトゥート東アジア・オンラインライブラリー)。


OverDriveがどういうものかはよく知らないが、Onleiheみたいなものだろうから、

OverDriveが出版社と契約した電子書籍を図書館などに貸し出し、利用者はそれぞれの図書館から本を借りるという仕組み。したがって、利用する図書館のIDが必要。

というわけで、日本の場合、出版社がOverDriveにどれだけ本を提供するのかがまず問題か。
電子書籍貸出ではヨーロッパで最も進んでいるらしいドイツのOnleiheでも、本を出さない出版社があるし、たぶんOverDriveだってそうだろうと推測。

次に、OverDriveは図書館相手の商売。どれだけの図書館と契約を結べるのかが問題か。
さらに、個々の図書館がOverDriveとどんな契約して、ユーザーにどの程度の本を提供することになるかは、たぶん図書館次第(OverDriveにどのくらい金を払えるのか)。

IDを取得できる近所の図書館がOverDriveにどう対応するかが、ユーザーとしては気になるところ。
公立図書館はふつう地域に住んでいる人なら無料で利用できるものだが、アメリカの図書館には地域外の人にも有料でIDを発行しているところもあって、近くに図書館がなくてもOverDriveの利用は可能なようだ。

電子書籍のフォーマットは、Kindleフォーマット、epub(Adobe DRM)で、PC、タブレット、専用端末などで読める。アメリカの会社なのでKindleを抜きにするはずはなく、Kindleでは専用端末から直接借りた電子書籍をダウンロードできるようになっている。epubはPC経由でUSBで転送する。
ドイツのOnleihe(Kindle未対応)では、さすがにドイツ製のTolinoは同じように端末に直接ダウンロードできる。KoboはPCを経由するしかない。

利用料はどうなるのか?
OverDriveは知らないが、Onleiheでは図書館によって異なるらしい。年に30ユーロというのが一番高い利用料のようだ。日本でOnleiheのサービスを提供しているゲーテ・インスティトゥート東アジア・オンラインライブラリーはいまのところ無料。

貸出については、Onleiheでは貸出中の本は借りられない。OverDriveも同じか?
電子データだからといって、無制限に貸し出すわけにはいかないのだろう。紙の本と同じ扱いで、図書館が購入した冊数分しか貸し出せないとか、あるいは、貸出の度に図書館のがOnleiheに支払う料金があって、無制限にしたら図書館が費用をまかないきれなくなるとか? このあたりはよくわかない。


もしOverDriveが日本でも利用できるようになるとしても、まだ当分先の話だろう。

海外の記事
"Rakuten Buys OverDrive; What’s it Mean for Kindle Library Books?"
http://blog.the-ebook-reader.com/2015/03/19/rakuten-buys-overdrive-whats-it-mean-for-kindle-library-books/
・Kindleと同じように、Koboの端末にも直接ダウンロードできるようになるかも。
・Koboの買収でKinlde本の貸出がどうなるのか気になるかもしれないが、Kindle本の貸出による収入は大きいはずなので、楽天もKindle本の貸出は停止しないだろう。

"Kobo-Mutterkonzern Rakuten kauft Overdrive, hat Amazon im Visier"
http://allesebook.de/marktanalyse/kobo-mutterkonzern-rakuten-kauft-overdrive-hat-amazon-im-visier-61965/
・楽天のOverDrive買収で、Kindle本の貸出サービスは停止するかもしれない(最近Kindle本の新刊がわずかしかOverDriveで貸し出されていないし)。電子図書館利用者がKindleからKoboに移行するきっかけになるかも。

他に、
"OverDrive Acquired by Rakuten, Owners of Kobo"
http://goodereader.com/blog/e-book-news/overdrive-acquired-by-rakuten-owners-of-kobo

"Rakuten Buys OverDrive for $410 Million (More Than it Paid for Kobo)"
http://the-digital-reader.com/2015/03/19/rakuten-buys-overdrive-for-410-million-more-than-it-paid-for-kobo/
などの記事もある。


おもしろいのはアメリカの記事ではKindle本の貸出は続くだろうと言っているのに対して、ドイツの記事はその逆の推測をしていること。まあでも、OverDriveのプレスリリースには、"we will continue to connect readers with books and institutions by supporting all users and all popular devices"とあるので、Kindle本のサポートは続けそうな気はする。

いずれにせよ、楽天のOverDrive買収をきっかけに、電子書籍は買うだけでなく、借りて読むこともできるんだという事実が日本にも広く知られるようになり、電子図書館を求める声が大きくなったらいいと思う。

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