Kindle Voyage、アメリカでは10月21日には商品が届き始めるようだから、それ以降詳しいレビューも出るだろう。光センサーによるフロントライトの自動調節などはまるで情報が出ていないし、もう少し待って情報を集めたいところ。
といっても、あの値段はなあ。
値段に見合った性能アップがないと見る人の理由を想像すると、
・CPUやRAMがPaperwhiteと同じ。だから、タッチの反応やページめくりの速度もアップしないだろう
(追記:RAMは2倍の512MBとの情報あり。http://blog.the-ebook-reader.com/2014/09/18/hands-on-videos-of-kindle-voyage-and-new-kindle-touch/)
・ストレージもPaperwhiteと同じ4Gのまま、SDカードスロットもなし
・大きなディスプレイを期待していた人にとっては、6インチのままというのも不満
あとは、ハードウェア上の新機軸(ボタン、光センサー)に価値を見いだせるかどうか。
個人的にはどうでもいいんだよな、どっちも。
・ページめくりのボタン
片手で持ってスワイプで、ページをめくったり戻ったりできるし、それで不自由は感じない。あればあったでいいのかもしれないが、どうしても欲しいわけではない。
・センサーによるフロントライトの自動調節
まだレビューで触れているサイトもないし、どんなものかは未知数。ライトの明るさなんて好みは人それぞれだろうし、そうたびたびライトの設定を変えたりもしないし、けっきょくオフにするかも・・・。
評価できる点といえば、
・Paperwhiteより軽量化されたこと(それでもKobo Auraのほうが軽いし、小さい)
・300ppiのディスプレイ
256ppiのKobo Aura H2Oのディスプレイは、Paperwhite(212ppi)より上だ、というレビューが多いので、300ppiには期待してよさそう。
ただし、E-Inkである以上、300ppiだろうと、ページをめくっていけば表示は劣化していくはず。文字がぼやけたり、かすれたり、前ページの残像がひどくなっていくからこそ、一定間隔で(Paperwhiteなら十数ページ毎に)かならずリフレッシュ(白黒反転のあれ)が必要になるんだし。ぼやけ・かすれが嫌だから、毎ページリフレッシュさせて、パリッとしたフォントで読むほうがいい、という人だっている。
というわけで、ストレージやディスプレイのサイズに別に不満はないが、個人的にはやはりピンとこない新型。まあ、レビューを待とう。
発売済みの新型の無印Kindleはもうレビューが出始めたようだ。
海外のレビューを見ると、ディスプレイが3年も4年も前のE-Ink Pearlなだけに、スクリーン(背景の白)とフォント(黒)のコントラストが悪いし、解像度が低いのでフォントもPaperwhiteより見にくい、あとプラスチック感まるだしの背面のせいで持ちにくいとか、まあ値段なりの評価といったところ。
日本でもレビューが出たようだ。
山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ:「Amazon.co.jp「Kindle(2014)」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ebook/20141007_670134.html
フォントを小さくした時と、マンガの表示に、低解像度の問題が出るらしい。全体的にはそれほど悪い評価はしていないようだ。CPUの性能アップで動作も速くなったようだが、もうKindle Touch時代には戻る気はないな。
Kindleの3モデルを較べて選ぶなら、
・専用端末をとりあえず試してみたいなら安い無印Kindle
・本格的に電子書籍で読書をするつもりならPaperwhite
・Paperwhiteに飽きたらないユーザーはVoyage
こんな感じかな。
でも、どれを選んでも、Kindle最大の問題はフォントだ、というのが個人的見解。
Kindleについてくるあのフォント、本当に見やすい? 薄くて細くて、読みやすいとはとても思えないんだが。読書専用端末なのにフォントが見にくいとか、本来ありえない。
新型Voyageのこれまでの情報を見ても、フォントが改善されたなんて話はないみたいだから、たぶん同じフォントのままだろう。
300ppiのVoyageでは、おそらくルビなんかはきれいになりそうな気はする。でも、普通のフォントが太く濃く、くっきりと見えるようになるかどうかは疑問。Kindle用にフォントを加工した経験から言って、PCではかなり太めに見えても、Kindleに持っていくと、まだ細かったりする。
アマゾンがフォント周りを改善してくれない以上、文句を言っていても仕方がないので、自分で何とかするしかない。
それがちょっと面倒。筑紫明朝を別フォントに入れ換える方法はやったことがないが、PCに慣れていない人には敷居が高そうだし、この方法は欧文フォントには使えない。けっきょくjailbreakしかない。
Paperwhiteはすでにjailbreakされているからいい。けれども、新型Voyageはどうなるのかまだわからない。
誰かがjailbreakしてくれるのを待つしかないわけで(Kindle本体を開けて基板を出して、シリアル接続、ルートを取って・・・よくわからないが、そんな作業が必要?)、それから誰かがjailbreakをパッケージ化して、フォント・ハックなんかのパッケージを作成して、公開・・・・。やはりしばらく時間がかかる。
つまり、Voyageを入手しても、当分の間はあの読みにくいフォントで我慢しなければならない可能性が大きい。それを考えると憂鬱。
この点、Koboは楽。もちろんKoboのフォントだって見にくいが、
Koboは好きなフォントをコピーしてやるだけで勝手に認識してくれるし、フォントの追加は自由自在。それどころか、フォントのウェイト(太さ)を調節する機能すらついている(日本語フォントはパッチをあてる必要がある。楽天さん、日本語フォントも欧文フォントと同じように太さを調節できるようにしてくださいよ)
(Koboのフォントの「詳細設定」メニュー。現在はフォントの「鮮明さ」は設定できなくなっている)
その上、KoboはKindleみたいにjailbreakを待つなんて必要もない。というか、jailbreakみたいなものの必要がない。ファームウェアをダウンロードして、パッチをあてるなりして、アップデートすればいいだけだから。
フォントや行間・余白などのカスタマイズ・パッチは、新しいファームウェアが出るたびに、すぐにアップしてくれる人がいる。今のところ、Kobo Aura H2Oのほうが手っ取り早く、Paperwhite以上の快適な読書環境が手に入るはずだ。
この意味では、Kobo Aura H2O目当ての人がうらやましい。