ドイツ語多読本:Anaïs Vaugelade: Steinsuppe (Minimax)
ソフトカバーの絵本で値段も安めのBelz & GelbergのMinimaxから
「石スープ」? なんだそれ? なんて思ったら、もうすでに罠にかかっているかもしれない。
Anaïs Vaugelade: Steinsuppe
543語
ちょっと目付きのよくないオオカミが袋に入れて背負っているのは石。
冬の夜、こんなオオカミが動物たちの村にやって来る。最初にノックしたのはニワトリの家。「石スープを作らせてくれないか?」
もちろんニワトリは警戒するが、「もう年寄りで歯も一本しかない」とオオカミは言う。話でしか知らないオオ
カミにちょっと興味もあるニワトリは、石スープというのも気になるし、オオカミを家に入れる。
オオカミは大鍋を借りて水を入れ、その中に石を入れる。「それだけ?」というニワトリに対して、オオカミはそれだけだと答える。「わたしはいつもちょっとセロリを入れるけどねえ」というニワトリに、「ああ、風味が出るね」と答えるオオカミ。というわけで、セロリを入れることに。
オオカミがニワトリの家に入るのを見て、心配してブタがやって来る。話を聞いて、ズッキーニはどうだろう、と言うブタ。それもいい。
そんなふうにして、心配して様子を見に来た動物によって食材が次々に追加されていく。
スープが出来上がると、いやあ最初はニワトリ・スープの出来上がりかと思ったよ、なんて冗談を言いながら、全員で楽しく食事。
最後、オオカミは石を取り出し、ナイフでさしてみる。「まだ火が通ってないな。明日の食事に、石は持って帰りたいがいいだろうか?」そして、去っていくオオカミ。
と、考えだすと謎が深まる話。
この石は他の動物たちから食材を引き出すためのエサで、動物たちはオオカミにだまされているのか、あるいは、オオカミは本気で石を煮て食べようとしているのか(ちょっと耄碌している?)、というか、この石はほんとうに石なのか? 実は何か別のもので、オオカミが石と言っているだけの可能性は?
とか、まあいろいろ考えたくなってくるところが、この絵本の魅力。動物たちが「石スープ」って何?と好奇心を刺激されてしまうのと同じことが読者にも起こる。そういう仕組みになっている。
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