ドイツ語多読本:Antje Herden: Letzten Donnerstag habe ich die Welt gerettet
10歳以上対象の児童書。ミステリ、ファンタジー、ホラーを混ぜあわせた冒険物語。
日本のアマゾンにKindle版はない。Koboのepub版で。
Antje Herden: Letzten Donnerstag habe ich die Welt gerettet
46000語
「先週僕は世界を救った。何をばかな、と思うでしょ。こうして書いていると正直なところ、言葉にすると自分でも違う感じがするんだけどね。それに一人で世界を救ったわけじゃないし。ほくたちは三人だったーーサンドロとプリンセス、それにぼくだ」
こんな感じの出だしで、主人公の一人称視点、かつ自分で物語を書いているいう設定。読者に話しかけるような口調で、話に入っていきやすい文章。
主人公が表紙のメガネにニット帽の男の子。クラスで一番背が低く、「おまえの本体はメガネだろ」的なことを言われる地味な存在。そういう男の子がヒーローになる物語はよくありそうだが、おもしろいのはメインの他の二人、サンドロとプリンセス。
サンドロは多動性障害なのか授業中首を振ったり、どもりがあって、セリフを書いたプレートを首から下げたりしている。でも、実はたくさん本を読んでいて物知り。プリンセス(もちろんニックネーム。リボンやらフリルやらがたくさんついた服を着ているので)は強迫性障害っぽい。鉛筆の長さをそろえないと気が済まないとか、ストレスがかかると物を大きさや色にしたがって整理し始めたり。でも、異変に最初に気づくのはプリンセス。
その異変というのは、親たちが子供の面倒を見なくなったこと。学校に弁当を持たせてやらないとか、食事を自分たちの分しか作らないとか、自分の子供を見ても、不思議なものでも見る目つき。先生も授業をしなくなる。そして、親たちが町から姿を消す・・・。
それで子供たちの世話はどうなるのかというと、(子供の身長くらい)ネズミ男がどこからともなく現れて、食事を配り始めたり、カエルがトラックに乗って、ごみ収集したり。ネズミ男の食事を食べた子供は学校に集まって、なにかうつろな目をしている・・・。
いったいこの事態は何なのだ、と先が気になるが、なかなか事件の真相が見えてこないサスペンス展開。
ネズミ男がこっそり地下に入っていくのを見た三人は、地下の下水道に入っていくことを決意する。そこにはイモリやらカエルやら、ちょっと気持ちの悪い生き物が待ち受けているし、食事に混ぜられている薬にやられたり、監視カメラで行動が観察されているらしくもあり、さらにはプリンセスが姿を消し、そして、地下にシェルターらしきものを発見・・・。
そんなハラハラの地下冒険の先に事件の真相がようやく見えてくる・・・。
対象が10歳以上ともなると、10万語程度の本も出てくるが、これは語数も4万5000語程度。
2、3万語程度の本なら読めるという人向きか。
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