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2014年3月 2日 (日)

ドイツ語多読本:Merle Kröger: Grenzfall

第30回 Deutscher Krimi Preis (2013) 第1位のミステリ。

Merle Kröger: Grenzfall

85000語

話は1992年と2012年の2部構成。
1992年、ポーランド国境近くの難民申請者の収容施設。ルーマニアから来たロマ(ジプシー)の家族。地元住民による施設への投石があり、そのせいで少女Adrianaの祖母が死ぬ。Adrianaの父親は遺体をルーマニアに運ぶ手続きのために一度ルーマニアに戻り、再びドイツに密入国しようとする。が、国境でイノシシと間違われて銃で撃たれて死んでしまう。もう一人犠牲者がいて、同じくルーマニアのロマの男性。

2012年の第2部では、Adrianaが20年後にドイツにやって来る。今度はAdriana自身が殺人の容疑をかけられる。父親を殺した男に復讐したのだと。ドイツで祖母をなくし、父親を殺された上に、自分まで殺人犯にさせられそうになる。

事件の解決に乗り出すことになるのは、弁護士事務所に広報担当で就職したMattieとその友人でジャーナリストのNick。そして、国境で射殺されたもう一人の男性の娘も話に絡んできて・・・。そして、明らかになる1992年と2012年の殺人事件の真相。

日付と地名をタイトルにした短い章が、登場人物の視点を変えながらいくつも積み重ねられていく。
Adrianaの視点だったり、その父親、逆にその父親を射殺してしまう男の視点になったり、Mattie、Nick、その他いろいろな登場人物の視点から、複眼的に状況が語られていく。このあたりは、ドキュメンタリー映画から派生した小説という感じがする。ただ、逆にどこに焦点を絞って読めばいいのかわかりにくいかもしれない。

Mattie、Nick周辺の人々は、この作家の別作品の登場人物でもあるらしく、知っている人にはお馴染みの人物相関図なのだろうが、はじめて読む人にとっては、「いきなり何なんだろう、この人たち」感が少しあるかもしれない。

ラジオ局のオーディオドラマがある。mp3で無料でダウンロードできる。
WDR Krimi am Samstag - 30.11.2013 Grenzfall(1)
WDR Krimi am Samstag - 07.12.2013 Grenzfall(2)
1話50分ほど。

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後書きによると、1992年にドイツで起こった事件のドキュメンタリー映画("Revision" http://revision-film.eu/)をきっかけに、書かれた小説とのこと。

その事件とは、1992年、ドイツ・ポーランド国境の近くの畑で2つの死体が発見される。それはルーマニアから来た男性二人で、猟師がイノシシと間違えて撃ってしまったのだという。裁判が始まるが、猟師は無罪、だが、被害者の家族は裁判があったことすら知らなかった・・・。

小説の方は事件を元にしているが完全なフィクション。地名も架空のものになっている。

とはいっても、背景は知っておいたほうが、話はわかりやすい。1992年といえば、ドイツの東西統一後、難民が流入、Rostockなどで難民施設に投石やら放火やら、排外的な暴動が起こった頃。

2012年、20年後のRostock回顧記事(映像)
http://www.spiegel.de/video/die-rassistischen-ausschreitungen-in-rostock-lichtenhagen-1992-video-1216462.html
少し長めの映像
http://www.spiegel.tv/filme/chronologie-rostock-lichtenhagen-1992/
映像で雰囲気だけでも。

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