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2013年12月11日 (水)

Kindle Paperwhite(2013, 新モデル)の辞書の退化について。(辞書の質を度外視すれば新モデルよりKoboのほうが上) (辞書の比較追加)

あらかじめ言っておくと、
収録辞書の質はKindleが上だし、辞書を購入・追加できるという点でも、Kindleのほうがすぐれている。

だが、辞書の引きやすさ・機能は、とくに複数の辞書がある場合、あきらかにKindleは劣化した。機能的にはKoboに劣ると言っていい。

昔のKindleはデフォルトの辞書1つからしか検索しなかった。たとえば、デフォルト辞書を英語の辞書にしていると、ドイツ語の本を読むときにも、英語の辞書を引くわけ。だから、手動でいちいちデフォルト辞書を変更していた。

その後、言語ごとにデフォルト辞書が設定できるようになった。それだけではなく、うれしいことに、
同じ言語で辞書が複数ある場合、デフォルトの辞書を検索して見つからなかったら、別の辞書を自動的に調べるようになった。
だから、デフォルトは学習用のやさしい辞書にして、それで見つからなかったら、もっと詳しい辞書を自動検索する、なんてこともできたわけだ。

で、問題のKindle Paperwhiteの新モデル(2013)、これすらもしなくなった。
言語ごとにデフォルトに辞書は設定できても、そのデフォルトの辞書1冊しか検索しない。複数辞書があっても無意味なわけ。別の辞書で調べたかったら、本を閉じ、その辞書を開き、キーボードで文字入力するしか方法はない。退化でしょ?

さらに、前の記事でも書いたように、旧モデル(2012)のFW5.3.8以降では、辞書のポップアップウィンドウ内で他の辞書に切り替えることができる。
デフォルトの辞書では心もとない時には、別の辞書の該当箇所がすぐ見られるし、ドイツ語の本の中に英語やフランス語が出てきても、すぐに調べられる(以前は、本を閉じ、英語やフランス語の辞書を開いて文字入力で検索するしか方法がなかった)。

新モデル(2013)はこの機能もばっさり切り捨て。
その代わりなのかなんだか知らないが、辞書ウィンドウにウィキペディアとX-Rayが出現。
単語によってはウィキペディアのほうがいい時もあるだろうが、辞書を見たほうがいい場合だって多くある。なのに、デフォルト辞書になければ、かならずウィキペディアを検索しようとするのは頭が悪い。WiFi切っている時なんかは迷惑でしかない。

ウィキペディア検索は旧モデルでもできわけだし(辞書ウィンドウで「その他」ー「ウィキペディア」と2ステップ増えるが)、個人的には辞書を使うほうが圧倒的に多いので、辞書機能の切り捨てはほんとうに退化でしかない。
だから、不便になった新モデルはなかなか使う気が起こらないのだ。


対するKoboの辞書は順調に進化(ただし、ファームウェア2.10.0以降)
まずは、Kindleの辞書機能よりすぐれているところから。
Kindleでは、辞書のポップアップウィンドウ内の単語はいくらタップしても無駄。調べられない。たとえば、
geschaffenを引いて、「geschaffen ↑schaffen」と表示された時。
schaffenを見よ、って、これが面倒。「その他」ー「全文表示」と進んで辞書を開かなければならない。

この点、Koboではポップアップウィンドウ内の単語でも、長タップするだけでOK。意味を表示してくれる(全画面の表示になる)。これはあきらかに新旧Kindleよりすぐれている。

それから、Kindle Paperwhite新モデルにはできない、複数の辞書の切り替えもできる。
Kindle旧モデルの辞書ウィンドウ内での切り替えには及ばないが、デフォルトの辞書のウィンドウが出ている状態のまま、下部メニューの「辞書」マークをタップすれば、他の辞書も呼び出せる。そのまま選択単語の意味が表示される。そして、何語の辞書でも呼び出せる。

ついで言えば、単語選択状態のまま、下部メニューの虫眼鏡マークをタップすると、googleとウィキペディアの検索もできる。

もう少し追加:
辞書を引いて該当する単語が見つからなかった場合も、Koboのほうがずっと便利。
Kindleではどうしようもない。辞書ウィンドウの「その他」に進んでも、「辞書」の項目が消えてしまうので、それ以上どうにもできない。
上部メニューの検索マークをタップして、文字入力で調べようとしても、言語設定が日本語だと(メニューなどに使われる言語)、日本語の辞書を引くことになる。外国語を読んでいるときはメニューの検索欄は使えない。辞書を探して開いて、文字入力して・・・の作業をしなければならない。

Koboの場合は、該当する単語が見つからなくても、下部メニューの辞書マークを押せば、辞書の全画面表示になり、左上の虫眼鏡マークから検索できる。その上ありがたいことに、はじめに長タップで選択した単語が検索欄にすでに入っている。ちょっとした語尾変化なら2、3文字変更するだけでよい。Kindleの場合は、文字を頭から順に入力していかなければならない。

もう一つ、Koboの辞書の改善点(ファームウェア3.1.0以降)
ドイツ語は英語に較べて語形変化が大きいので、フリーの辞書は実質使い物にならないことが多い。フリーの辞書は語形変化に対応していないからだ。たとえば、"setzen"の過去形の"setzte"すら調べられなかったりする。
Kobo(FW3.1.0以降)の辞書は、ヒットしなくても近い単語があれば表示するようになった。たとえば、
「"setzte"に該当する項目はありません。最も近い項目は"setzen"です」という表示とともに、"setzen"の意味がウィンドウに表示される。
まったく違う単語の意味を表示することもあるが、それでもヒット率はこれまでよりあがっている。Koboの収録辞書はイマイチだが、それでもソフトウェア的に少しでもよくしようという努力の跡が見える。


というわけで、各言語のデフォルト辞書1冊しか検索してくれないKinlde Paperwhite新モデルより、Koboのほうが機能的にすぐれているのはあきらかだろう。

Koboの辞書の問題は、辞書の質と辞書の追加。
カスタム辞書の追加は不可能ではない。(たとえばポルトガル語辞書をドイツ語辞書に入れ替えるという形で可能。)
だが、Kobo用のフリーの辞書はあることはあるが、商用の辞書ほどの質は望めないだろう。
英辞郎ならKobo用に変換できるようだが、それ以外だと、ちょっとあやしげなBabylonの辞書はKobo用辞書に変換できるようだ。それなりの手間はかかるはず。


辞書の点から見ると、総合的にはどう考えてもKindle Paperwhite旧モデルがダントツのトップ。
あとは、使い勝手は悪いが辞書の質でKindle Paperwhite新モデルを選ぶか、辞書を探して追加するには手間がかかるが(もしくはあきらめて)、機能面でKoboを選ぶか、それぞれの考え方次第。って洋書を読む人はKindleしか眼中になさそうだが。

収録辞書さえよいものになれば、Kobo AuraのほうがKindle Paperwhite新モデルよりすぐれていると言い切れるのだが・・・。
KoboはAdobe DRMに対応しているから、洋書ならAmazonやKobo以外の書店からも買える。日本のアマゾン、Koboで売っていない洋書はいくらでもある。

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コメント

>辞書を引いて該当する単語が見つからなかった場合も、
>Kindleではどうしようもない。辞書ウィンドウの「その他」に進んでも、「辞書」の項目が消えてしまう
>上部メニューの検索マークをタップして、文字入力で調べようとしても、言語設定が日本語だと
>日本語の辞書を引くことになる。外国語を読んでいるときはメニューの検索欄は使えない。辞書を探して開いて、文字入力して・・・の作業をしなければならない。

やはりそうですか、電子書籍(kindle)を初めて購入したので比較もできず、初期不良かと疑っていました。
非常にストレスフルですよね。活用形や派生語など、ある程度は類推して調べてくれますが、それにも限界があるようで、見出し語をほんの数語さかのぼりたいだけなのに別書籍を開き直さなければならないのですから極めて不便です。
英語の単語を調べているのに大辞泉が開いて「あ」のページに飛ぶたびに気が狂いそうになってました。
情報ありがとうございました。

投稿: ky | 2014年1月 9日 (木) 08時52分

ポップアップの辞書ウィンドウの「その他」→「辞書を開く」と進んで、辞書を開いてしまえば、上部メニューの検索欄が使えます。

問題はタップした単語が辞書になかったときで、「辞書を開く」そのものがなくなって、もうどうしようもありません。どうしてこんな仕様になっているのか、意味不明です。

対策としては、仕方がないので辞書にありそうな別の単語を引いて「辞書を開く」まで進むか、

もしくは、Kindleの言語設定を英語にしてしまう、です。そうすれば、上部メニューの検索欄の辞書は英語の辞書に固定されます。

メニューなどすべて英語になりますが、何とかなるでしょう。
それで和書が読めなくなるなんてこともないですし。

やり方は、上部メニューの右上(三本線)→「設定」→「端末オプション」→「言語と辞書」→「言語」(Kindleで使用する言語を設定します)へ。

はっきり言って、読んでいる本の言語に合わせて、メニューの検索欄の辞書も自動的に切り替わるようにすべきだと思いますね。

投稿: soranoji | 2014年1月 9日 (木) 22時27分

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