前に児童書のDie tollkühnen Abenteuer von JanBenMaxとDie tollkühnen Abenteuer von JanBenMaxを紹介したことがあるZoran Drvenkarの、今度は14歳以上向けとあるので、ヤングアダルト作品。
サスペンス・ファンタジー(?)といったらいいのか、最後の天使になった少年と、天使をめぐって暗躍する2つの組織の話。
Zoran Drvenkar: Der letzte Engel: Band 1
100,000語
ストーリーのラインは2つ。最後にそれが重なりあう。
1つは、Motte(16歳男子)が、明日目覚めたら君は死んでいる、なんてメールをもらう場面から始まる。
誰かのいたずらだろうと思いつつも、ずっと起きていたら目覚めもしないんだし、死なないじゃないか、なんて冗談半分に思いながら、やっぱり気味が悪いので徹夜を決心。でも、寝てしまう、というお決まりの展開。
で、目覚めると、背中から翼が生えている。えっと思って、親友のLarsを呼ぶ。さらに驚きが待っている。寝室のベッドに自分の死体が横たわっている・・・。
そして、Motteの死体を発見した父親。どこかに電話をして「あと3年あると言ってたじゃないか」なんて、謎なセリフ、そして、どういうわけかガソリンに火をつけて、家を焼く・・・。
天使のMotteは親友のLars以外には、姿が見えない。誰にも気づかれず、父親も行動も見ている。そして、自分の埋葬も。その間に、いろいろな回想が入る。自分の母親の失踪とか、Larsとの友情の話とか、祖父のこととか。で、それらはほとんど何かの伏線になっているので注意。
もう1つのストーリーラインは、Mona(10歳)とEsko(20代後半?)がフェリーを待っている場面から始まる(本当はこっちが本の冒頭部分)。なぜか幽霊の少女たちに道案内され、急かされている様子。
Monaは少女を8人集めた、なにやらいわくありげな施設で暮らしていたが、Monaに人の記憶を読む能力が発現する。Monaが触れた記憶に登場する女王Theiaの存在も気になるが、能力の発現とともに、なぜか施設は傭兵集団に襲われ、Monaと彼女の世話役の2人を残して全員殺される(それが幽霊の少女たちになる)。
施設を運営しているのは「ファミリー」と呼ばれる組織。2人はエジンバラにある組織の「資料館」に向かうが、そこも襲撃される・・・。
その襲撃の際に、MonaはEskoと出会う、というか連れてくるのだが、Eskoの力もあって、そこからも脱出、ベルリンを目指して、フェリーを待っている、というのが、本の冒頭部分。
で、Motteに死の予告メールを送ったのがMona。
天使って何? Motteが「最後の天使」というのはどういうこと? Monaは何者? 「ファミリー」って何? 「ファミリー」を襲撃しているのは何者? なぜ襲撃される? などなど、次々に疑問が湧いてくるのだが、なかなか答えてくれない焦らし展開。
まんまとその焦らしに引っかかれば、先が気になって仕方がないが、ちょっと焦らしが長いので、途中で投げ出したくなる人もいるかもしれない。なので、導入としてもう少しヒントを出しておくと、始まりは19世紀前半、翼の生えた、天使と見られる氷漬けの2体の死体が見つかったこと。その翼には不思議な力があって・・・・。
で、ファミリーはロシア皇帝の後ろ盾も得て、その骨を使って天使の復活をもくろむ。そして、天使復活は人類の危機につながる、と敵対するのが、もうひとつの組織の「兄弟団」。
それからずっと現代にいたるまで兄弟団はファミリーの施設を襲い、やっとすべて片付けたかと思ったところに、Monaのいる施設が見つかる・・・という流れ。
最後にようやくMonaはMotteに会う。えっ、それが終わりの始まりなのか?? というところで、次巻に続く。(ちょっと内容ばらしすぎ?)
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作者の書斎。元はKornmühle(製粉所。水車小屋か風車小屋か?)だったそうで、かなり雰囲気がある。