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2013年8月 1日 (木)

ドイツ語書籍:Wolfgang Jeschke: Der letzte Tag der Schöpfung

もともとは1981年に出た本で、ドイツではタイムトラベルSFの古典みたいな作品らしい。
1982年のラスヴィッツ賞受賞。
今回は日本のアマゾンにもKindle版がある。

Wolfgang Jeschke: Der letzte Tag der Schöpfung

79000語

主人公のSteve Stanlyの紹介みたいな文章から始まり、キリスト教のある聖遺物とアルジェリアで19世紀に発掘された人工物の話が比較的詳しく語られる。現代のジープが19世紀に発掘されていた、とかそういう話。そんなことを嗅ぎつけたアメリカは、タイムトラベルの可能性へと突き進む。

で、アメリカ海軍とNASAが協力して、タイムマシン、Chronotronを開発。その背景にあるのは、1970年代の石油危機。石油産出国に振り回されては自国と西側世界の利益が損なわれるというので、地中海が干上がっていた500万年前に人を送り込んで、パイプラインを作ってヨーロッパに石油を運んでしまえ、というのだ。

このタイムマシン、過去へ人を送ることはできるが、過去から人を現在に戻すことはできない。にもかかわらず、海軍側が科学者の反対を押し切って(科学や技術の進歩で近い将来、過去から現在に戻す方法も見つかるはずだ)、プロジェクトは実行に移される。

で、主人公ほかプロジェクト参加者は500万年前に旅立つ。
着いてみると、そこは戦場。ソ連がアラブ側と組んで、アメリカの妨害をしているのだ。ミグ25とかソ連の戦闘機が爆弾を落としたりしている。ふさがっているジブラルタル海峡を爆破して、大西洋の水を地中海に入れようとしたり。

その上、タイムマシンには誤差というか、送り出す過去にばらつきがあって、主人公が着いた時にはもう何十年もそこで暮らしている人がいたり、さらには、過去に手を加えたため、歴史が変わり、別の時間線からやってきた人もいる。アメリカが弱小国で、メキシコが世界の覇権を握っている未来とか。

そんなわけでプロジェクトは失敗、元の時代に戻れる可能性もない。あとはもう、主人公たちのサバイバルの物語があるばかり・・・。

と、なんだか尻すぼみな感じの結末だという気もするが、過去から現代に戻る方法が確立していないという話が出た時点で、こうなるのは目に見えていた? 

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