ドイツ語書籍:Sten Nadolny: Weitlings Sommerfrische
例のごとく、日本のアマゾンにはないので、Koboで読めるepub版。
Sten Nadolny: Weitlings Sommerfrische
54000語
Wilhelm Weitling、退職した裁判官、68歳。趣味のボートで事故にあい、気がついたら、1958年、16歳の頃に戻っていた・・・。
といっても、16歳の自分になっているのではなく、幽霊になって当時の自分について回っては、あれこれと大人の視点から、自身や学校や先生、家族などを観察し、考察し、回想する。そんな話。
ただの昔話を聞かされるだけだと、退屈だなと思っていると、どうもWeitlingが戻った世界は記憶とは違っているらしい。そこからおもしろいストーリーの展開があるのか、と期待するものの、そんな展開はないままに、Weitlingさんのような時間旅行はよく起こっているらしいと、耄碌しかかった祖父から聞いたりして、なぜか元の時代に戻ることができる。
ところが、戻ってみると、こちらも記憶とは違っている。そもそも自分自身からして退職した裁判官ではなく、作家になっているのだ。裁判官嫌いで作家だった父親に反発して裁判官になったらしいのに、なぜか作家になっている自分、その他にも父親、母親、子供、妻など周囲の人々にも変化がある。SFなら並行宇宙かって話だが、SF的な説明があるわけもなく、Weitlingさんが最愛の妻には時間旅行の話をすると、なぜか信じてもらえる。それから、自分が時間旅行で祖父と話をしたように、今度は未来の孫が時間旅行をしてきて自分と話をするなんてエピソードもありつつ、もう歳も歳なので、死んで話はおしまい。
書評を読んだりすると、時間旅行とアイデンティティの探求を組み合わせた、哲学的小説、なんて書かれていたりするが、何をもって読者を楽しませようとしているのか、不明のまま終わってしまった。
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