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2013年7月26日 (金)

ドイツ語多読本:John Boyne: Der Junge im gestreiften Pyjama / Der Junge mit dem Herz aus Holz

数年前、本屋で"Der Junge im gestreiften Pyjama"の表紙を見て、囚人服みたいだなと思って読んでみたら、アウシュヴィッツの話だったJohn Boyne。

Der Junge im gestreiften Pyjama
Junge_pyjama



主人公の男の子、お父さんの転勤で引っ越すことなって、その行き先がアウシュヴィッツ。お父さんはナチスの将校。そういう基本的な事実すら、かなり先まで読まないと読者にはわからない仕組みになっている。物語は男の子の視点から語られていて、その子はアウシュヴィッツの発音すら聞き取れない・発音できないから。
いろいろなヒントからそこがアウシュヴィッツだと読者にはわかるけれども、主人公の男の子はそこがどういう場所なのか、最後までわからない。それがなんとも言えない気持ちにさせる。

アイルランドの作家らしく、オリジナルは英語。日本語訳(『縞模様のパジャマの少年』 )もあり。映画化もされているらしい。





児童書でアウシュヴィッツなんてチャレンジングな作家だなと記憶に残っていたので、他の本も読んでみることにした。

例のごとく日本のアマゾン(それからKoboストアにも)電子書籍版は売っていないので、ドイツのネット書店から、Koboで読めるepub版。


Der Junge mit dem Herz aus Holz
Jungemitherz

47000語

主人公はNoah、8歳。早朝、家を抜け出す場面から始まる。家出。森に入り、妙な村をいくつか通って、行き着いたのがおもちゃ屋。そこには木製のおもちゃを作るおじいさんがいて、Noahはおじいさんに自分のことを話し、おじいさんは自分が若かった頃の話をする。その中でようやくNoahの家での理由もわかってくる・・・。

直視できない厳しい現実があるからこその家出。自分の話をし、相手の話を聞くことで、厳しい現実に向かっていくための準備をする、それがNoahの物語。だが、主人公はもう一人。それがおじいさん。誰でも知っている児童文学の主人公が老いた姿で登場しているのだ。だから、かつての自分の物語を、老いた主人公自身が語るという、また別の意味で興味深い話になっている。

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