ドイツ語書籍:Urs Richle: Das taube Herz
いつだったか、楽天から一日限りの1500円のクーポンが来たので、せっかくなので使っておこうと思って、紹介文で選んだ本。スイスの作家らしい。
「思考する機械を作るという人類の夢の物語」なんていう紹介文だが、舞台は18世紀、Wolfgang von Kempelenのチェスを指す自動人形「トルコ人」(実在した)が話題になった頃。このKempelenの「トルコ人」を凌駕する人形を作ろうとした、というか、作らされた時計職人の話。
Urs Richle: Das taube Herz
72000語
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時計博物館から、からくり時計が盗まれる。話を聞いてみると、それは愛する人の骨で作ったものだという。そのからくり時計の製作者の数奇な物語。
時計のメカニズムに魅せられた少年だったJean-Louisは、後年、いろんな時計から部品をかき集めて、ロゴだけ有名ブランドのものをつけた時計を作って、有名デザイナーの飾り時計に埋め込むという仕事をしている。
その腕を見込んで、Jean-Louisを拉致するのがMontallierという自動人形コレクター。MontallierはKempelenの「トルコ人」のいかさまを暴こうと決心している。「トルコ人」を同じ自動人形で負かして、実は自分の自動人形の中には人が隠れていたのだと暴露すれば、Kempelenのインチキも証明されるはずだ、と。人形の作り手は見つかった、あとは中に仕込む人間だ・・・。
それがAna。彼女は元々は貴族の娘なのだが、生まれた時から変わっていて、人に触れられると暴れてしまうし、言葉も話さない。父親はいろいろと医者を探すが、お手上げ状態。ただ父親の趣味のチェスには興味を示す。が、Anaを人に預けたままにして、両親とも死んでしまう。慈善施設の片隅で、頭がおかしいか悪魔に取り憑かれていると思われているAnaだが、偶然から彼女がチェスができることがわかり、それがとんでもなく強くて、評判になったところにやってくるのが、Montallier。さっそく誘拐する。
そして、Jean-Louisは、Anaが中から操作してチェスができる人形を作れ、とMontallierに命令される・・・。
今でこそ、人間より強いチェスなり将棋なりのコンピュータ・プログラムは想像できるが、マリー・アントワネットの時代に、人間に勝てるチェスの機械なんかありえないし、Kempelenの「トルコ人」もインチキに決まっていると思うけれども、当時の人はどう思ったんだろう。
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